【導入:環境って「掃除」のことだと思ってない?】
もくじ
「明日の保育環境を整えておいてね」
先輩にそう言われて、「はい!おもちゃ片付けます!掃除機かけます!」と答えたあなた。
半分正解ですが、半分足りません。
そして、保育所保育指針には、ちょっと背筋が凍るような「衝撃の事実」が書かれています。
今日は、ただの「お片付け」ではない、プロの仕事としての『保育の環境』について解説します。
これを読んだら、鏡を見ずにはいられなくなりますよ。
1. 最大のホラー。「あなた」は設備の一部です
指針における「環境」の定義。ここには、こう書かれています。
【原文】
「保育の環境には、保育士等や子どもなどの人的環境、施設や遊具などの物的環境、及び…自然や社会の事象が含まれる」
さらっと書いてありますが、とんでもないことです。
「人的環境」。つまり、私たち保育士は、机や椅子、積み木と同じ「環境の一部」だと言っているのです。
【超訳】
先生の機嫌が悪いのは、部屋のクーラーが壊れているのと同じだ!
もし、先生が朝からイライラして鬼のような形相をしていたら。
それは子どもにとって「今日の保育室は、悪天候(暴風雨)」という環境になります。
逆に、先生が穏やかでニコニコしていれば、それは「日当たり良好、空気清浄機フル稼働」の快適な環境です。
「私の笑顔は、0円で導入できる最高級のインテリア」。
プロなら、自分の顔(環境)を毎朝メンテナンスしてから部屋に入りましょう。
2. 部屋は「戦略的」に散らかせ
次に「物的環境(モノ・部屋)」。
多くの人が「環境整備=きれいに片付けること」と勘違いしていますが、指針が求めているのは「子どもが思わず手を出したくなる仕掛け」です。
おもちゃを整然と並べるのは、ただの「倉庫番」です。
保育士は「ダンジョンマスター」でなければなりません。
- 絵本をあえて表紙が見えるように置く(読みたくなる罠)
- 積み木を少しだけ積んでおく(続きをやりたくなる罠)
- 廃材を「ご自由にお使いください」とカゴに入れる(創作意欲への罠)
【超訳】
綺麗に並べるな。「触りてぇ〜!」と思わせるように、あざとく配置しろ!
子どもが散らかして遊んでいるなら、それは環境構成が大成功している証拠です。
「片付けなさい!」と怒る前に、「ふふふ、私の罠にかかったな」と心の中でニヤリとしましょう。
3. 子どもを叱るな、環境を疑え
「廊下を走らないで!」と毎日叫んでいる先生がいます。
指針の「環境」の考え方を使うと、これは「負け」です。
なぜ走るのか?
「走れるくらい長い直線があるから(環境が悪い)」です。
- 観葉植物を置いて、道をくねらせてみる。
- 床に「ケンケンパ」の輪っかを貼ってみる。
そうすれば、子どもは走れません。
口で注意するのではなく、「環境(レイアウト)」を変えて子どもの行動をコントロールする。
これがプロの技です。
【超訳】
子どもが悪いんじゃない。そこにそのモノを置いた「私」のセンスが悪いんだ!
こう考えると、怒る回数が激減します。
すべては「私の配置ミス」ですから、修正すればいいだけなのです。
4. 結論:私たちは「世界」を創る神である
「保育の環境」とは、人(先生)、モノ(おもちゃ)、自然、すべてを使って、子どもたちが生きる「世界そのもの」をデザインすることです。
- あなたの笑顔が、太陽です。
- あなたの置いたおもちゃが、宝物です。
- あなたの工夫した部屋が、冒険の舞台です。
私たちはただの子守りではありません。
子どもたちの毎日を彩る「空間プロデューサー」なのです。
【明日の一手】
明日の朝、保育室に入る前にトイレの鏡で自分の顔を見てください。
そして一言。
「よし、今日の『人的環境』はバッチリだ!」
最高の環境(あなた)で、子どもたちを迎えてあげてください。
(次回のテーマはついに最終回!「(5)社会的責任」。保育園は地域のCIA!?お楽しみに!)



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