【導入:世間の誤解を解く】
もくじ
「保育園?ああ、親が働いてる間、子どもを見ててくれる場所でしょ?」
居酒屋で友人にこう言われて、生ビールをかけそうになった経験はありませんか?
確かに「預かる」場所です。でも、それだけならただの「ベビーシッター」。
保育所保育指針には、私たちが「ただ預かっているわけではない理由」が、これでもかと書かれています。
今日は、指針の冒頭にして最大の山場、「保育所の役割」を翻訳します。これを読めば、自分の仕事がもっと誇らしくなるはずです。
1. 「養護」と「教育」の奇跡の融合
まず、指針にはこう書いてあります。
【原文】
「保育所は…養護と教育が一体となって、豊かな人間性をもった子どもを育成する…」
出ました、「一体となって」。これが曲者です。
- 養護(ようご)= 命を守る、世話をする、安心させる(お母さん的役割)
- 教育(きょういく)= 知識やルールを教える、発達を促す(学校の先生的役割)
世間は「保育園は養護(世話)だけ」「幼稚園は教育だけ」と思いがちですが、指針は「保育園はその両方を同時にやれ」と言っています。
【超訳】
「あたたかいお母さん」と「プロの教師」。この二重人格を同時に演じるのが保育士だ!
【現場のリアル:これが「一体」だ!】
例えば「給食」の時間。
- こぼした服を拭いてあげて「大丈夫だよ」と安心させる ➡ これが養護。
- 同時に「スプーンはこう持つとかっこいいよ」と指導する ➡ これが教育。
これを息をするように同時にこなす。
「抱きしめながら(養護)、順番を教える(教育)」。
まさに聖母マリアと熱血教師のハイブリッド。これが保育所の役割の正体です。
2. 家庭支援という「裏ミッション」
もう一つ、指針には重要な役割が書かれています。
【原文】
「家庭や地域社会と連携を図りながら、保護者に対する支援及び地域の子育て家庭に対する支援等を行う…」
子どもを見るだけじゃダメなんです。「親」も見るんです。
【超訳】
子どもを育てるだけじゃなく、崖っぷちの親御さんの「メンタルセーバー」になれ!
【現場のリアル】
お迎えに来たお母さんの顔が死んでいる時がありますよね。
そこで「今日、〇〇ちゃんがこんな面白いこと言ったんですよ!」と伝えて、お母さんが「フフッ」と笑う。
その瞬間、お母さんのHPが「赤」から「黄色」くらいに回復します。
保育園は、子どもを育てる場所であると同時に、「親が親として頑張るためのガソリンスタンド」でもあるのです。これも立派な「指針に書かれた役割」です。
3. 結論:私たちは何のプロか?
保育所保育指針が言う「保育所の役割」をまとめると、こうなります。
- 1. 子どもの命を守り、安心させる(養護)
- 2. 同時に、人間として育てる(教育)
- 3. さらに、親のメンタルも支える(子育て支援)
これを全部ひっくるめてやっている場所。それが保育所です。
ただの「託児所」なんて呼ばせない。
私たちは、「子どもの育ちと家族の幸せを支える、マルチタスクの超プロフェッショナル集団」なのです。
【明日の一手】
明日、誰かに「保育士さんって大変だね、遊んでるだけに見えるけど」と言われたら、心の中でこう呟きましょう。
「私は今、養護と教育を一体的に展開しながら、あなたの偏見という環境にアプローチしているのよ」と。
(次回のテーマは「(2)保育の目標」です!お楽しみに!)



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