子どもの健全な成長と発達をサポートする保育士が、アタッチメント理論を理解することは、子どもの成長をより効果的に促すために欠かせません。
では、簡単にアタッチメント理論について触れておきましょう。
アタッチメント理論とは、愛着関係を理解するための理論です。イギリスの心理学者ジョン・ボウルビィ等によって提唱されました。
※ジョン・ボウルビィは心理学者ではなく、医学者、精神科医、精神分析家でした。また、アタッチメント理論はボウルビィ一人で全てのアタッチメント理論が展開されているわけでは無いという指摘をいただきましたので、等を加え訂正させていただきます。
子どもの愛着スタイル(アタッチメントタイプ)は、幼児期の養育環境によって大きく影響を受け作られていくとされています。
アタッチメントとは?
日本語にすると愛着の意味になります。
ボウルビィは『不安や恐れなど気持ちがマイナスな状態に陥った時、アタッチメント人物に物理的、表彰的に接近・接触して気持ちの回復を図る事ができる生まれ持ったシステム』と定義しました。
上記ボウルビィはこのような定義はしていないようです。訂正してお詫び申し上げます。
アタッチメントの発生する流れは以下の図のようになっています。
順番としては、マイナス(ネガティブな)情動になった時にアタッチメントのスイッチが入ります。
↓こんな感じ。
愛着スタイル(アタッチメントタイプ)
愛着スタイル(アタッチメントタイプ)とは何か、どのような種類があるのかを説明しましょう。
愛着スタイル(アタッチメントタイプ)とは、アタッチメントシステムの中身です。どのように考えどのように他者と関わっていくか。を4種類に分けています。IWM(内的ワーキングモデル)とも言います。(この部分にも間違いがありました為、消させていただきます)
4種類の愛着スタイル(アタッチメントタイプ)についてみてみましょう。
①安定型
安定型アタッチメントの特徴は、
- 困ったときや不安になったときに、信頼できる相手に助けを求めることができる
- 助けを求めた相手にすぐに応えてもらえた経験がある
- 自分自身を価値ある人間だと感じており、他者を信用することができる
安定型アタッチメントの子どもは、助けを求めると応えてもらえ、子どもが助けを求めることを受け入れてくれる保育者によって育てられるため、子どもは「助けを求めても意味がある」「自分は安心して過ごす事が出来る」という考えを身につけることができます。
安定型アタッチメントの子どもは、
- 困ったときや不安になったときに、適切に対処することができる。
- 自分自身を信頼することができ、自信を持って行動することができる。
- 他者を信用することができるため、対人関係が良好になりやすい。
助けてと訴えると(アタッチメント行動)すぐに助けてもらえる経験をしてきており、いざとなれば助けてもらえるんだという自信があり、必要以上に不安になる事も無く色々な事に恐れずにチャレンジできる為、多くの学びがある。
自分が価値のある人間であり、他者は助けてくれる存在であると感じているタイプ
②回避型
回避型アタッチメントの特徴は、以下のとおりです。
- 困ったときや不安になったときに、助けを求めない
- 助けを求めても、相手に拒否されたり、無視されたりした経験がある
- 自分は価値がある人間だと思っているが、他者を信用できない
- 一人で頑張ろうとする
回避型アタッチメントの子どもは、助けを求めても応えてもらえなかったり、助けを求めるのを拒まれたりした経験から、助けを求めることへの抵抗感や不安を抱えています。そのため、困っていても一人で抱え込みなかなか立ち直れないなどがあります。
また、回避型アタッチメントの子どもは、他者に助けを求められずに解決する経験から自分自身は価値ある人間だと感じているが、周りの人は助けてくれないという思いから、他者を信用しにくくなっています。そのため、他人との距離を置き、孤立しやすくなる傾向があります。
回避型アタッチメントの子どもは、以下のような問題を抱えることがあります。
- マイナスの感情を抱え込みやすく、ストレスを溜め込みやすい。
- 他人との距離を置き、孤立しやすくなる。
- 対人関係に問題を抱えやすくなる。
③抵抗型
抵抗型の愛着スタイルの子どもは、以下のような特徴があります。
- 不安感が強く、ちょっとしたことでもすぐに助けを求める。
- 助けを求めても、必ずしも助けてもらえるとは限らないため、不安が強まる。
- 助けてもらえなかったらどうしようという不安から、必要以上に助けを求めることがある。
- 助けてもらった後も、不安感から気持ちを立て直すのに時間がかかる。
これらの特徴を踏まえて、分かりやすく書き直すと以下のようになります。
抵抗型の子どもは、不安感が強く、助けを求めても助けてもらえるかどうかわからないため、必要以上に助けを求めてしまいます。また、助けてもらった後も、不安感から気持ちを立て直すのに時間がかかる傾向があります。
④無秩序型
色々な要素があるが、虐待を受けた環境で育った子に多いと言わ
自分には価値が無く、まわりの誰も自分を助けてくれないと感じている。
安定型を目指そう
保護者との間に築いた愛着スタイルと保育士との間に築いた愛着スタイルは相関しない。
という事は、家庭で抵抗型だとしても、保育園では安定型を構築していけるという事になる。
保育士が行う事は、子どもにとってのアタッチメント人物になりましょう。
アタッチメント人物になれる条件(Howes,1999)
①身体的、情緒的ケアをしている。
②子どもの生活の中における存在として持続性・一貫性がある。
③子どもに対して情緒的投資(今の自分の苦労が子どもの発達につながるなら、自分自身も喜ばしいという気持ち)をしている。
安定型アタッチメントの子どもを育てるためには、以下のようなことに気をつけましょう。
- 子どものSOSにしっかりと応える。
- 子どもが助けを求めることを認める。助けてもらって良いという事を伝えていく。
- 子どもが自分を信頼できるようにする
3歳未満には、アタッチメント人物への物理的な接近接触が必要です。
3歳以上には、表象的な接近接触が可能になってきます。可能になるだけで物理的な接近接触は必要。
最後に
子ども自身が「ここは安全だ、ここは安心だ」と感じられる場で過ごせる事がとても大切です。
そのために、保育士が子どもにとってのアタッチメント人物になれるようにSOSを素早く察知し、迅速かつ適切に対応できるよう心掛けましょう。
そうする事で、子どもの心が満たされ遊びや学習などに没頭し他社にも気持ちが向く余裕が生まれる。そして自分や他者を価値のあるものとみなせることで良好な人間関係を築く基盤が形成されます。
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