眠れない子への関わり方——「寝かせる」より「眠れる力を育てる」支援を

子どもの「なんで?」がわかる場所

夜、なかなか寝ない子ども。
「もう寝る時間だよ」「早くお布団に入って」と声をかけても、ゴロゴロして眠れない…。
そんな姿を見ると、つい焦ってしまいますよね。

でも実は、「眠れない」というのは、脳や感覚のバランスが整っていないサインでもあります。
今日は、眠れない子への関わり方を、発達や脳の仕組みから考えてみましょう。


💤 子どもの睡眠の発達を知ろう

子どもは成長とともに、必要な睡眠時間が少しずつ減っていきます。

年齢目安となる睡眠時間
新生児16〜17時間
生後6か月12〜14時間
1歳11〜13時間
2〜5歳10〜11時間
6歳以降8.5〜10.5時間

最初のうちは昼夜の区別がなく、短い睡眠を繰り返しますが、徐々に夜にまとまって眠れるようになります。
この時期は「寝る練習の期間」でもあり、眠りのリズムが育つ過程だと捉えることが大切です。


🧠 脳の仕組みと「眠れない理由」

脳の働きを簡単に分けると、次の3つの層があります。

脳の部分役割
脳幹生命を支える土台。眠りや覚醒をコントロールする
大脳辺縁系感情や意欲などをつかさどる
大脳新皮質考える・理解する・言葉を使う

眠たくてしょうがない時、「話しても聞いてない」「指示が入らない」と感じることがありますよね。
それは、覚醒を司る脳幹が“スリープモード”に入りかけているから。
この状態では、上の層である「考える脳」が働かず、言葉の理解も難しくなります。


🌙 眠れない子はタイプによって関わり方が違う

眠れない理由は一つではありません。
感覚の受け取り方や脳の覚醒レベルによって、関わり方が変わります。


① 鈍感で低覚醒タイプ(ぼーっとしている子)

日中からぼんやりしていて、夜になってもなかなかスイッチが切り替わらないタイプ。
日中の覚醒レベルが低いため、寝る時にも自然な「落差」が作れません。

関わり方のポイント

  • 日中に体をたくさん動かす遊びを取り入れる
  • 生活リズムのオン・オフをはっきりさせる
  • 寝る前は照明を落として静かな時間に切り替える

💡「たくさん動くほど、よく眠る」は本当です。
体のスイッチを“しっかり入れる”ことで、夜は“自然に切れる”流れができます。


② 過敏で過覚醒タイプ(敏感で寝付きにくい子)

音・光・人の動きなど、刺激を拾いやすいタイプ。
いつも少し緊張しているため、体が“戦闘モード”のまま眠れません。

関わり方のポイント

  • 照明を落とし、静かな環境をつくる
  • 寝る前のルーチン(同じ音楽や絵本)で安心感を持たせる
  • 寝室に余計な刺激(テレビ・会話・光)を入れない

💡刺激を減らすほど、脳幹が落ち着き「休むスイッチ」が入りやすくなります。


③ 自分の体の感覚がつかみにくい子

目を閉じると、自分の体の輪郭がわかりづらく、安心できない子もいます。
そういう子は「触覚」や「重さ」で体を感じると落ち着きやすくなります。

関わり方のポイント

  • 重めの布団やブランケットで体を包む
  • 軽くトントンしてリズムを感じさせる
  • お気に入りのぬいぐるみなど、触覚の安心材料を使う

💡「感じる安心」が眠りを誘います。
“眠る前のスキンシップ”は、心にも体にもよい刺激です。


☀️ 日中の「覚醒」と夜の「休息」をつなぐリズムを

理想的な睡眠は、日中にしっかり覚醒して、夜にスッと眠ること。
眠りだけを整えようとするのではなく、
「日中どれだけ目が覚めて活動できていたか」にも目を向けましょう。

  • 低覚醒タイプ → 日中にしっかり活動
  • 過覚醒タイプ → 刺激を減らし安心できる時間を作る

この“オンとオフの落差”が、眠りのスイッチを自然に切り替えてくれます。


🪄 まとめ:眠りは「整える」もの

眠れない子どもに必要なのは、「寝かせる工夫」よりも「眠れる状態を整える」こと。
脳や感覚のタイプに合わせて、環境を整え、体のリズムを支えることで、
子ども自身の“眠る力”は育っていきます。

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