【事例で見る】2歳児のトイレ対応——イヤイヤ期でも“自分で行く”を引き出す関わり方

子どもの「なんで?」がわかる場所

自由遊び中のトイレ誘導。

毎日のようにある小さなやり取りですが、2歳児にとっては「自分で決めたい」気持ちと「まだ上手くいかない」現実がぶつかる難しい時間でもあります。

今回は、2歳児18人の自由遊び中に行ったトイレ対応の実践をもとに、

イヤイヤ期でも子どもが“自ら行く”ようになる関わり方を紹介します。

🚪1. まずは全体への声かけからスタート

自由遊びが盛り上がる中、まずはクラス全体に向けて、

「そろそろトイレ行こうか〜」

と声をかけます。

この段階で、素直に来てくれるのはほんの数人。

多くの子は遊びに夢中だったり、行く気分ではなかったりします。

けれど、まず全体に声をかけることで「トイレの時間」という意識を共有できます。

この後は、一人ひとりのペースや気持ちに合わせた個別対応が基本になります。

🧩2. 布パンツの子には「行く?行かない?」の確認を

布パンツの子どもたちには、

「トイレ大丈夫?」

と一人ずつ声をかけていきます。

このタイミングで行く子もいれば、行かない子も多いです。

そんな時は無理に誘わず、

「おしっこ行きたくなったら、我慢しないで行ってね」

と伝えておきます。

この声かけは、子どもが自分の体の感覚に気づく力を育てることにもつながります。

🚼3. 紙パンツの子には“名前+優しい誘い方”で

紙パンツの子には、一人ずつ名前を呼んで、

「〇〇くん、トイレ行こっか?」

と声をかけます。

この時、すんなり行く子は半分ほど。

行くのを嫌がる子には、

「今遊んでいる遊びが終わったら行ってね」

と伝えます。

それでも「やだー」という子もいます。

そんな時は、言葉の意味が十分に伝わっていない可能性を考え、

同じテンションで繰り返します。

「この遊びが終わったら行ってね」

それでも「いやだ」と言う場合は、無理に誘わず保留。

後で個別に丁寧に関わるようにします。

💡4. 「OK」を出すのは大人ではなく“子ども自身”

遊びが一段落すると、すぐにトイレに行く子と行かない子に分かれます。

行かない子は“忘れている”だけのこともあるので、再度声をかけて確認します。

この時に大切なのが、

大人が勝手に「OKだよね!」と判断しないこと。

トイレに行くかどうかを決めるのは子ども自身の意思です。

「自分で決めた」という実感があると、行動への納得感が生まれます。

🌼5. トイレを嫌がる子には“対話”で寄り添う

この日、どうしてもトイレに行きたがらない子が5人いました。

同じテンションで、

「トイレ行こう」

と誘っても、

「行かなーい!」

ここで焦らず、落ち着いて対応します。

「行きたくないのか…。オムツ濡れてる?

濡れてたら交換しないとなんだけど、ちょっと見せてね」

少し濡れていたため、

「少し出てるね。交換しにトイレ行こう」

と誘いましたが、「やだ」。

そこで聞き方を変えます。

「オムツの交換が嫌なの?トイレが嫌なの?」

「トイレ」と答えたので、数秒沈黙してから、

「そしたらオムツだけ交換しようか。トイレの前にオムツあるから、そこまで行こう」

と提案すると、子どもがうなずきました。

交換中に

「トイレ嫌いなの?座るのが嫌なの?」

と会話しながら、

「次はトイレ行ってみようよ」

と伝えます。

“次は”という提案は受け入れやすく、子どもが前向きに考えるきっかけになります。

🤝6. 「行きたくない」理由を一緒に探す

他の行きたくない子たちにも、一人ずつ丁寧に関わります。

理由を聞いたり、質問をしたりして、

“何が嫌なのか”を一緒に探していきます。

理由が分かると、その子に合った対応ができます。

結果的に「自分から行ってみよう」と思える子が増えていきます。

イヤイヤ期でも、丁寧に聞く・待つ・寄り添うことで、うまくいくことが多いです。

⏰7. どうしてもダメな日は「今日はやめちゃおう!」

どんなに丁寧に関わっても、まったく動かない日もあります。

そんな時は、無理せず環境を変えてみましょう。

人を変える 場所を変える 時間を変える

それでもうまくいかない時は、

「今日はもうやめちゃおう!」

と潔く切り替えます。

“トイレ=イヤな時間”にならないことが、一番大切です。

🌱まとめ:「行かせる」ではなく「行けるように支える」

トイレ誘導は、排泄の練習だけでなく、

「自分のことを自分で決める」練習の時間でもあります。

大人が無理に誘導するよりも、

子どもの意思を尊重しながら「自分でOKを出す」経験を積み重ねることが、

自立への第一歩です。

イヤイヤ期でも、丁寧に言葉を交わしていけば、

“うまくいく瞬間”は必ず訪れます。

焦らず、子どものペースで見守っていきましょう。

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