3歳児クラス(年少)の3月は、進級に向けた期待感が最高潮に達する時期です。 1年間で培った「自分のことは自分で」という生活習慣が定着し、友だちとルールのある遊びを楽しんだり、思い出を言葉で振り返ったりする姿に大きな成長を感じられます。
もくじ
3月の特徴と観察ポイント
クラスにとってどんな時期?
進級に向けて、荷物の整理や部屋の掃除をしたり、新しいクラス(年中)への移行準備をしたりします。クラス全体に「お兄さん・お姉さんになるんだ」という一体感と自信が満ちており、次のステップへ向かうポジティブな空気が流れる時期です。
子どもにとってどんな時期?
着替え、排泄、食事などの生活習慣がほぼ自立し、困っている友だちを助けようとする余裕も生まれます。言葉でのコミュニケーションが豊かになり、自分の思いだけでなく、相手の気持ちにも少しずつ気づき始めます。春の訪れを感じながら、心身ともに進級への準備が整います。
3月に特に観たい発達テーマ
- 進級への期待と自信(「年中さんになれる」という誇り)
- 生活習慣の総仕上げ(清潔、整理整頓、マナー)
- 協同性の深まり(役割分担、ルールの共有、協力)
- 1年間の振り返り(記憶、経験の言語化)
🌿 養護(生活・情緒)
🩷 生命の保持(食事・睡眠・排泄・健康・着脱)
Q1. 食事のマナーや食具(箸)の完成度は?
- 箸を正しく持ち、豆などの小さな食材もつまんで食べていた。
- 背筋を伸ばして座り、お椀を持ってこぼさずに食べていた。
- 口に物が入っている時は喋らず、飲み込んでから話していた。
- 食後の食器をきれいに重ね、所定の場所に片付けていた。
- 苦手なものも「年中さんになるから」と、残さずに食べていた。
Q2. 排泄(トイレ)の自立と清潔習慣は?
- 遊びの途中でも尿意・便意を感じ、自分からトイレに行っていた。
- 排便の後、トイレットペーパーを使って自分でお尻を拭こうとしていた。
- ズボンや下着の乱れ(シャツを入れる等)を自分で整えていた。
- トイレのスリッパが乱れていると、次に使う人のために揃えていた。
- 排泄後の手洗いを丁寧に行い、ハンカチで拭いてポケットにしまっていた。
Q3. 衣服の着脱と整理整頓は?
- ボタン、ファスナー、ホックなどの留め外しを一人で行っていた。
- 脱いだ服をきれいに畳み、ロッカーの中に整頓して入れていた。
- 上着をハンガーにかけたり、フックにかけたりすることができた。
- 活動に合わせて、暑い・寒いを自分で判断して調節していた。
- 紐靴や上履きの左右を確認し、正しく履いていた。
Q4. 健康管理(手洗い・鼻かみ)の意識は?
- 外から帰ると、言われなくても手洗い・うがいを済ませていた。
- 鼻水が出ると自分でかみ、ゴミ箱に捨てて手を洗っていた。
- 咳エチケット(口を手や腕で覆う)が身についていた。
- 自分の体調(痛い、寒い)を言葉で保育者に伝えられた。
- 爪が伸びていることに気づき、「切らなきゃ」と話していた。
Q5. 睡眠(午睡)の様子と目覚めは?
- 自分の布団を敷く手伝いをし、寝る準備を整えていた。
- 布団に入ると静かに体を休め、スムーズに入眠していた。
- 体力がつき、午睡時間が短くなっても機嫌よく過ごせた。
- 目覚めが良く、起きてすぐにトイレに行き、身支度を整えていた。
- 咳が出る時は横向きになるなど、自分で体勢を調整していた。
💚 情緒の安定(安心感・自己発揮)
Q1. 進級への期待感と自信は?
- 「次は年中さんだね」と、進級を楽しみにする言葉が出ていた。
- 年下のクラス(2歳児)の子に、「やってあげる」と優しく接していた。
- 新しい名札やクラスカラーになることを喜んでいた。
- 「自分でできるもん」と、自信を持って行動していた。
- 不安な気持ちを言葉で伝え、励まされると笑顔になった。
Q2. 自分の気持ち(葛藤)のコントロールは?
- 友だちと意見が食い違っても、話し合いで解決しようとしていた。
- 遊びの時間が終わると、気持ちを切り替えて片付けを始めた。
- 悔し涙を流したが、「次は頑張る」と言葉にして立ち直った。
- 順番待ちや我慢が必要な場面で、落ち着いて待つことができた。
- 自分の非を認め、「ごめんね」と素直に謝ることができた。
Q3. 友だちとの関わりでの充実感は?
- 特定の友だちと深い関わりを持ち、毎日一緒に遊ぶことを楽しんでいた。
- 困っている友だちに気づき、「どうしたの?」と助けようとしていた。
- 集団ゲームで勝った喜びや負けた悔しさを、友だちと共有していた。
- 自分の思いを友だちに受け入れてもらい、満足そうな表情をしていた。
- 「一緒にやると楽しいね」と、協力する喜びを感じていた。
Q4. 保育者との信頼関係(自立への一歩)は?
- 困った時だけ相談し、基本的には自分たちで解決しようとしていた。
- 嬉しい出来事を報告し、一緒に喜んでもらうと満足していた。
- 「先生、大好き」と感謝や愛着を言葉で伝えていた。
- 卒園や進級の話を聞き、真剣な表情で頷いていた。
- 新しい担任や環境への興味を示し、質問していた。
Q5. 活動への意欲と集中力は?
- 難しいパズルや制作に、最後まで諦めずに取り組んでいた。
- 自分で目標を決め(鉄棒など)、達成するまで練習していた。
- 友だちとごっこ遊びの設定を話し合い、長く遊び続けていた。
- 絵本の読み聞かせを集中して聞き、物語の世界に入り込んでいた。
- 係活動(お当番)を責任を持って果たしていた。
🌸 五領域(遊びと活動)
🩵 健康(身体機能・運動・安全)
Q1. 全身運動の調整能力(走る・跳ぶ)は?
- スピードをコントロールしながら走り、急停止やカーブができた。
- スキップやギャロップなどのリズム動作を楽しんでいた。
- 片足立ちでバランスを取り、ケンケンパができた。
- 高いところから飛び降り、膝を使って柔らかく着地していた。
- ボールを投げたり蹴ったりする動作がスムーズになった。
Q2. 遊具や用具を使った運動能力は?
- 鉄棒で「前回り」や「足抜き回り」を一人で行っていた。
- ジャングルジムの頂上までスムーズに登り降りしていた。
- 縄跳び(大縄)のタイミングを見て、通り抜けたり跳んだりしていた。
- 三輪車やスクーターを乗りこなし、友だちと競走していた。
- 平均台の上を、落ちないようにスタスタと歩いていた。
Q3. 手指の巧緻性(道具の熟練)は?
- ハサミで曲線や複雑な形を切り抜くことができた。
- 糊の量を調整し、端まできれいに塗って貼っていた。
- 箸を使って、スポンジや豆を移動させる遊びに集中していた。
- 折り紙を角と角を合わせて、丁寧に折っていた。
- 紐結び(固結び)に興味を持ち、挑戦していた。
Q4. 集団遊びでのルール理解は?
- 「だるまさんが転んだ」で、静と動の動きをコントロールしていた。
- 鬼ごっこで、タッチされたら鬼を交代するルールを守っていた。
- ドッジボール(転がし)で、ボールから逃げたりキャッチしたりしていた。
- 椅子取りゲームで、負けてもルールに従って応援席に行けた。
- リレー遊びで、バトンを落とさずに次の人に渡していた。
Q5. 危険回避や安全への意識は?
- 友だちとぶつからないように、周りを見て動いていた。
- 遊具の正しい使い方を守り、危険な遊び方をしている子に注意していた。
- 散歩中、白線の内側を歩き、交差点では左右を確認していた。
- ハサミなどの道具を、座って安全に使っていた。
- 転んだ時にとっさに手をつき、体を守ることができた。
🧡 人間関係(友だち・協同)
Q1. 友だちとの協同的な遊び(ルールのある遊び)は?
- 「入れて」「いいよ」と声をかけ合い、遊びの仲間を増やしていた。
- 砂場で協力して大きな山や川を作り、役割分担をしていた。
- ブロックで一つの街を作り、イメージを共有して遊んでいた。
- ごっこ遊びで、「私はお母さんね」と役割を決めて進めていた。
- ゲームのルールを友だち同士で確認し合っていた。
Q2. トラブルの解決と交渉力は?
- 玩具の取り合いになっても、「あとで貸して」と言葉で交渉していた。
- 自分の意見を言うだけでなく、相手の話も聞こうとしていた。
- 「じゃあ、ジャンケンで決めよう」と解決策を提案していた。
- 喧嘩をしても、自分たちで「ごめんね」と言って仲直りしていた。
- 保育者に頼らず、当事者同士で解決しようとする姿が見られた。
Q3. 他者への思いやりや共感は?
- 泣いている友だちの背中をさすり、「大丈夫?」と励ましていた。
- 困っている友だちに、やり方を教えてあげていた。
- 友だちの成功を「すごいね!」と一緒に喜んでいた。
- 自分の持っている物を、快く貸してあげていた。
- 年下の子の手を引き、優しくお世話をしていた。
Q4. 集団での役割意識は?
- お当番活動(挨拶、配膳など)を、責任を持って行っていた。
- グループごとの活動で、友だちと協力しようとしていた。
- 片付けの時間になると、声をかけ合って片付けていた。
- みんなの前で発表する時に、恥ずかしがらずに言えた。
- クラスのルールを守り、みんなの手本になろうとしていた。
Q5. 競争心と仲間意識は?
- かけっこやゲームで「一番になりたい」と競争心を見せていた。
- チーム対抗戦で、「頑張れ!」と友だちを応援していた。
- 負けて悔しがり、「次は勝つぞ」と意欲を燃やしていた。
- みんなで一つのことをやり遂げた時、喜びを分かち合っていた。
- 友だちの頑張りを認め、拍手を送っていた。
💛 環境(自然・物・数量)
Q1. 春の自然(変化)への気づきは?
- 桜の蕾が膨らんでいるのを見つけ、「もうすぐ春だね」と話していた。
- テントウムシや蝶を見つけ、冬眠から覚めたことを知っていた。
- つくしやオオイヌノフグリなどの春の草花を探していた。
- 暖かくなった日差しを感じ、薄着になりたがっていた。
- 園庭のチューリップの芽が伸びていることに気づき、喜んでいた。
Q2. 数量・形・時間への関心は?
- 時計を見て、「長い針が〇〇になったら片付け」と理解していた。
- 人数を数えて、椅子の数やおやつの数を確認していた。
- 自分の年齢(3歳、もうすぐ4歳)を指で示し、理解していた。
- 形(丸、三角、四角)を組み合わせて、絵や形を作っていた。
- 「昨日」「明日」「今日」などの時間経過を正しく使っていた。
Q3. 文字やマークへの関心は?
- 自分の名前のひらがなを読み、書こうとしていた。
- 友だちの名前を文字で認識し、ロッカーや靴箱を探していた。
- 絵本の中の知っている文字を指差し、読んでいた。
- カレンダーの数字や曜日に関心を持っていた。
- 街中の看板や標識の意味を知りたがっていた。
Q4. 道具の操作や仕組みへの興味は?
- 楽器の鳴らし方を工夫し、きれいな音を出そうとしていた。
- 磁石がくっつく場所を探し、試していた。
- 風車の回る向きや速さを、風の強さで変えていた。
- 鍵の開け閉めや、蛇口のひねり方をマスターしていた。
- 玩具の電池の仕組みなどに興味を持ち、質問していた。
Q5. 整理整頓や公共心は?
- 玩具を種類ごとに分類し、写真を見て正しい場所に戻していた。
- ロッカーの中を整理し、持ち物をきれいに並べていた。
- 公園のゴミを拾い、「ゴミ箱に捨てなきゃ」と言っていた。
- みんなで使うものを大切に扱い、壊さないようにしていた。
- 散歩中、地域の人に元気に挨拶をしていた。
💚 言葉(理解・発語・会話)
Q1. 会話(論理的思考)の力は?
- 「~だから、~したい」と、理由や目的を話していた。
- 「もし~だったら、どうなる?」と、仮定の話をしていた。
- 過去の出来事を順序立てて説明し、相手に伝えていた。
- 相手の話を聞いて、適切な返答や質問をしていた。
- 丁寧語(です、ます)を使おうとする姿が見られた。
Q2. 語彙の豊かさと表現力は?
- 形容詞や副詞を使い、状況を詳しく説明していた。
- 気持ちを表す言葉(悔しい、嬉しい、残念)を使い分けていた。
- しりとり遊びが続き、たくさんの言葉を知っていた。
- 季節や行事に関する言葉(ひな祭り、春分の日)を使っていた。
- 絵本の中の言葉を引用して、会話に取り入れていた。
Q3. 物語の理解と創造は?
- 長いストーリーの絵本も集中して聞き、内容を理解していた。
- 続きのお話を自分で想像して、友だちに話していた。
- 紙芝居を見て、感想や登場人物の気持ちを言葉にしていた。
- 自分で絵本を作り、読み聞かせごっこをしていた。
- ごっこ遊びの設定を言葉で説明し、共有していた。
Q4. 文字への興味と読み書きは?
- 自分の名前をなぞり書きしたり、真似して書いたりしていた。
- 手紙ごっこで、文字のようなものを書いて友だちに渡していた。
- 絵本の文字を指で追いながら、拾い読みをしていた。
- 友だちの名前に興味を持ち、「これ〇〇ちゃんの字?」と聞いていた。
- 街中の看板の文字を読もうとしていた。
Q5. コミュニケーションの広がりは?
- 異年齢の子(年長児など)とも、敬語や優しい言葉で話していた。
- 担任以外の先生や保護者にも、自分から話しかけていた。
- 電話ごっこで、見えない相手との会話を楽しんでいた。
- クイズやなぞなぞを出し合い、言葉遊びを楽しんでいた。
- 秘密の話をして、友だちとの絆を深めていた。
💜 表現(創造・感性)
Q1. 描画(イメージの表現)の充実は?
- 楽しかった思い出(遠足、行事)を、画用紙いっぱいに描いていた。
- 人物の表情や服装、背景まで詳しく描こうとしていた。
- 自分の描いた絵について、ストーリーを説明していた。
- 塗り絵で、枠からはみ出さないように丁寧に塗っていた。
- 観察した春の花や虫を、特徴を捉えて描いていた。
Q2. 制作活動(工夫・構成)は?
- 廃材を組み合わせて、自分のイメージした立体物を作っていた。
- ハサミ、糊、テープなどを使い分け、工夫して作っていた。
- 折り紙を折って、チューリップや飛行機を作っていた。
- 友だちと協力して、大きな共同制作(壁面など)に取り組んでいた。
- 完成した作品を大切にし、「お家に持って帰る」と喜んでいた。
Q3. 音楽・リズム表現の豊かさは?
- 曲の雰囲気に合わせて、歌い方や動きを変えていた。
- 友だちと動きを合わせて、ダンスや遊戯を楽しんでいた。
- 楽器を使って、指揮者の合図に合わせて演奏していた。
- 即興で歌を作り、楽しそうに口ずさんんでいた。
- 「うれしいひなまつり」などの季節の歌を、歌詞を理解して歌っていた。
Q4. 劇遊びや身体表現は?
- 役になりきって、大きな声でセリフを言ったり動いたりしていた。
- 動物や乗り物の動きを、体全体でダイナミックに表現していた。
- 衣装や小道具を身につけ、ごっこ遊びを盛り上げていた。
- 友だちとストーリーを考え、劇ごっこを展開していた。
- 絵本の場面を再現し、感情を込めて演じていた。
Q5. 感動や発見の表現は?
- 春の花を見て「わあ、きれい!」と感動を伝えていた。
- 友だちの作品を見て、「上手だね」「すごいね」と褒めていた。
- できた喜びを「やったー!」と全身で表現していた。
- 面白いことを見つけ、友だちと顔を見合わせて大笑いしていた。
- 自然の不思議さや美しさに、心を動かされていた。



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