「食べない」「野菜だけ出す」その裏にある“理由”
もくじ
子どもがごはんを食べない、野菜だけ残す…。
つい「好き嫌いしないの!」と言いたくなってしまいますよね。
でも、実はその“食べない”には、ちゃんと理由があります。
偏食は単なるわがままではなく、感覚や発達の特性、そして経験の積み重ねから起きていることが多いのです。
🌱 偏食の3つの主な要因
① 口腔(こうくう)面の要因
噛む力や飲み込む力など、「口の動きの発達」が関係します。
- 硬いものを噛み切れない
- 口の中で食べ物を上手に動かせない
- 大きな塊や繊維質のものが苦手
このような子は、食感がやわらかいものや、口の中でまとまりやすいものを好む傾向があります。
② 感覚面の要因
感覚が敏感で、食べ物の見た目・におい・舌触り・音などが気になる場合です。
- 見た目が前回と違うと食べられない
- においや味が強いものを嫌がる
- 舌触りや食感が苦手
- 食べている音(自分や他人)が不快
感覚の敏感さは人によって違い、複数の感覚が重なっていることもあります。
③ 認知面の要因
「こだわり」や「見通しの持ちにくさ」が関係するタイプです。
- 同じメーカー・同じパッケージのものしか食べられない
- 手作りよりレトルトなど“見た目が毎回同じ”なものを好む
- どんな食材でできているか分からないと怖くて食べられない
これは、発達障害のある子どもに多く見られる傾向で、
「食べ物に対して安心感を持てない」ことが大きな理由です。
🍴 重度の偏食と軽い偏食の違い
🔸重度の偏食(発達特性が関わる場合)
食べられるものが極端に少なかったり、新しい食べ物を強く拒否する場合があります。
この場合、無理に食べさせようとすると“食事そのものがストレス”になってしまいます。
まずは、「どんな理由で食べられないのか?」を一緒に探ることから始めましょう。
たとえば——
- 匂い? 見た目? 舌触り?
- 加熱の仕方を変えたら?
- 一緒に調理して“中身”を知る体験を増やしてみる?
このように、「安心して食卓に座れる環境づくり」から始めるのが大切です。
🔹軽い偏食(苦手な食材がある程度)
多くの子どもがこのタイプです。
例えば「トマトは酸っぱくて苦手」「ピーマンはにおいがイヤ」など。
この場合は、楽しい食事の時間を過ごすことが一番の支援になります。
😊 軽い偏食は“楽しい食卓”で自然と変わる
① 食卓の雰囲気が安心を生む
「食べなさい!」と言われ続けるより、
「これ美味しいね」「今日はこんなの作ったよ」と笑顔がある食卓の方が、
子どもは自然と“食べてみようかな”と思えます。
② まねっこが育つ
子どもは、家族の食べる姿をよく見ています。
お父さん・お母さんが楽しそうに食べる姿が、最高のお手本です。
「お母さんが食べてるなら食べてみよう」——
そんな気持ちの積み重ねが、偏食克服の第一歩です。
③ 一口の成功体験を大切に
「今日はにんじんを一口食べられた!」
この小さな成功体験が、明日の自信になります。
食卓で「すごいね!食べられたね」と笑顔で褒めてもらうことが、
子どもにとって最高のモチベーションになります。
🌿 まとめ
偏食は、「食べたくない」ではなく「食べにくい」「安心できない」ことのサインかもしれません。
重度の偏食の子には、無理せず、安心できる環境づくりから。
軽い偏食の子には、楽しい食卓の時間を重ねることが一番の近道です。
食事の時間は、栄養をとるだけでなく「心が育つ時間」。
焦らず、比べず、笑顔の中で“食べる楽しさ”を育てていきましょう。

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