どんなところが改定されたの?なんで改定されたの?
注)児童福祉法では、生後0日から満一歳未満までの子を乳児と言います。
※5点が基本的な方向性
1つ目・・・乳児(0歳)・1歳以上3歳未満児の保育に関する記載の充実
・乳児(0歳)から2歳児までは、心身の発達の基盤が形成される上で極めて重要な時期です。
・ この時期の子どもが、生活や遊びの様々な場面で主体的に周囲の人やものに興味をもち、直接関わっていこうとする姿は、「学びの芽生え」である。
・ そしてそれは、生涯の学びの出発点にも結び付くものである。
上記を踏まえて・・・
※3歳未満児の保育の意義をより明確化し、その内容について一層の充実を図った。
※特に乳児(0歳)期は、
「健やかに伸び伸びと育つ」
「身近な人と気持ちが通じ合う」
「身近なものと関わり感性が育つ」
※三つの視点から保育内容を整理して示し、実際の保育現場で取り組みやすいものとなるようにした。
☆(解説の文章)保育所の役割や保育の目標など保育所保育に関する基本原則を示した上で、養護は保育所保育の基盤であり、保育所保育指針全体にとって重要なものであることから、「養護に関する基本的事項」を総則において記載することとした。また、「保育の計画及び評価」についても総則で示すとともに、改定前の保育所保育指針における「保育課程の編成」については、「全体的な計画の作成」とし、幼保連携型認定こども園教育・保育要領及び幼稚園教育要領との構成的な整合性を図った。さらに、「幼児教育を行う施設として共有すべき事項」として、「育みたい資質・能力」及び「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を、新たに示した。
2つ目・・・保育所保育における幼児教育の積極的な位置づけ
保育所保育においては、子どもが現在を最も良く生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎を培うために、環境を通して養護及び教育を一体的に行っている。
こども園や幼稚園と共に、幼児教育の一翼を担う施設として、教育に関わる側面のねらい及び内容に関して、幼保連携型認定こども園教育・保育要領・幼稚園教育要領との更なる整合性を図った。
※幼児教育において育みたい子どもたちの資質・能力として、
「知識及び技能の基礎」
「思考力、判断力、表現力等の基礎」
「学びに向かう力、人間性等」を示した。
上記を踏まえて・・・
※健康・人間関係・環境・言葉・表現の各領域におけるねらい及び内容に基づいて展開される保育活動全体を通じて育まれていった時、幼児期の終わり頃には具体的にどのような姿として現れるかを、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」として明確化した。
保育に当たっては、これらを考慮しながら、子どもの実態に即して計画を作成し、実践することが求められる。
※計画と実践を振り返って評価し、その結果を踏まえた改善を次の計画へ反映させていくことが、保育の質をより高めていく上で重要である為、保育の計画の作成と評価及び評価を踏まえた改善等についても、記載内容を充実させた。
☆(解説の文章)保育所における教育については、幼保連携型認定こども園及び幼稚園と構成の共通化を図り、「健康・人間関係・環境・言葉・表現」の各領域における「ねらい」「内容」「内容の取扱い」を記載した。その際、保育所においては発達による変化が著しい乳幼児期の子どもが長期にわたって在籍することを踏まえ、乳児・1歳以上3歳未満児・3歳以上児に分けて示した。また、改定前の保育所保育指針第2章における「子どもの発達」に関する内容を、「基本的事項」に示すとともに、各時期のねらい及び内容等と併せて記載することとした。乳児保育については、この時期の発達の特性を踏まえ、生活や遊びが充実することを通して、子どもたちの身体的・社会的・精神的発達の基盤を培うという基本的な考え方の下、乳児を主体に、「健やかに伸び伸びと育つ」「身近な人と気持ちが通じ合う」「身近なものと関わり感性が育つ」という三つの視点から、保育の内容を記載した。さらに、年齢別に記載するのみでは十分ではない項目については、別途留意すべき事項として示した。
3つ目・・・子どもの育ちをめぐる環境の変化を踏まえた健康及び安全の記載の見直し
・社会状況の様々な変化に伴い、家庭や地域における子どもの生活環境や生活経験も変化、多様化している。
・乳幼児一人一人の健康状態や発育の状態に応じて、子どもの健康支援や食育の推進に取り組むことが求められる。
・食物アレルギーをはじめとするアレルギー疾患への対応
・ 保育所内における事故防止体制の構築や環境面での配慮及び関係機関との連携
・ 最近の科学的知見等に基づき必要な対策を行い、危険な状態の回避に努めなければならない。
・ 東日本大震災を経験し、安全、防災の必要性に対する社会的意識が高まっている。
・ 災害発生後には、保育所が被災者をはじめとする地域住民の生活の維持や再建を支える役割を果たすこともある。
・子どもの生命を守るために、災害発生時の対応を保護者と共有するとともに、平時からの備えや危機管理体制づくり等を行政機関や地域の関係機関と連携しながら進めることが求められる。
上記を踏まえて・・・
※食育の推進や安全な保育環境の確保等を中心に記載内容を見直し、更なる充実を図った。
☆(解説の文章) 子どもの育ちをめぐる環境の変化や様々な研究、調査等による知見を踏まえ、アレルギー疾患を有する子どもの保育及び重大事故の発生しやすい保育の場面を具体的に提示しての事故防止の取組について、新たに記載した。 また、感染症対策や食育の推進に関する項目について、記載内容の充実を図った。さらに、子どもの生命を守るため、施設・設備等の安全確保や災害発生時の対応体制及び避難への備え、地域の関係機関等との連携など、保育所における災害への備えに関する節を新たに設けた。
4つ目・・・保護者・家庭及び地域と連携した子育て支援の必要性
・前回の保育所保育指針改定により「保護者に対する支援」が新たに章として設けられたが、その後も更に子育て家庭に対する支援の必要性は高まっている。
・多様化する保育ニーズに応じた保育や、特別なニーズを有する家庭への支援、児童虐待の発生予防及び発生時の迅速かつ的確な対応など、保育所の担う子育て支援の役割は、より重要性を増している。
・子ども・子育て支援新制度の施行等を背景に、保育所には、保護者と連携して子どもの育ちを支えるという視点をもち、子どもの育ちを保護者と共に喜び合うことを重視して支援を行うとともに、地域で子育て支援に携わる他の機関や団体など様々な社会資源との連携や協働を強めていくことが求められている。
上記を踏まえて・・・
※改定前の保育所保育指針における「保護者に対する支援」の章を「子育て支援」に改めた上で、記載内容の整理と充実を図った。
☆(解説の文章) 改定前の保育所保育指針と同様に、子育て家庭に対する支援について基本的事項を示した上で、保育所を利用している保護者に対する子育て支援と、地域の保護者等に対する子育て支援について述べる構成となっている。基本的事項については、改定前の保育所保育指針の考え方や留意事項を踏襲しつつ、記載内容を整理するとともに、「保護者が子どもの成長に気付き子育ての喜びを感じられるように努める」ことを明記した。また、保育所を利用している保護者に対する子育て支援については、保護者の子育てを自ら実践する力の向上に寄与する取組として、保育の活動に対する保護者の積極的な参加について記載するとともに、外国籍家庭など特別なニーズを有する家庭への個別的な支援に関する事項を新たに示した。地域の保護者等に対する子育て支援についても、改定前の保育所保育指針において示された関係機関等との連携や協働、要保護児童への対応等とともに、保育所保育の専門性を生かすことや一時預かり事業などにおける日常の保育との関連への配慮など、保育所がその環境や特性を生かして地域に開かれた子育て支援を行うことをより明示的に記載した。
5つ目は・・・職員の資質・専門性の向上
保育所に求められる機能や役割が多様化し、保育をめぐる課題も複雑化している。
保育所が組織として保育の質の向上に取り組むとともに、一人一人の職員が、主体的・協働的にその資質・専門性を向上させていくことが求められている。
各保育所では、保育において特に中核的な役割を担う保育士をはじめ、職員の研修機会の確保と充実を図ることが重要な課題となる。
一人一人の職員が、自らの職位や職務内容に応じて、組織の中でどのような役割や専門性が求められているかを理解し、必要な力を身に付けていくことができるよう、キャリアパスを明確にし、それを見据えた体系的な研修計画を作成することが必要である。
職場内外の研修機会の確保に当たっては、施設長など管理的立場にある者による取組の下での組織的な対応が不可欠である。
こうした状況を背景に、平成 29 年4月には、保育現場におけるリーダー的職員等に対する研修内容や研修の実施方法について、「保育士等キャリアアップ研修ガイドライン」が定められた。今後、各保育所において、このガイドラインに基づく外部研修を活用していくことが期待される。
上記を踏まえて・・・
※施設長の役割及び研修の実施体制を中心に、保育所において体系的・組織的に職員の資質・向上を図っていくための方向性や方法等を明確化した。
☆(解説の文章) 職員の資質・専門性とその向上について、各々の自己研鑽とともに、保育所が組織として職員のキャリアパス等を見据えた研修機会の確保や研修の充実を図ることを重視し、施設長の責務や体系的・計画的な研修の実施体制の構築、保育士等の役割分担や職員の勤務体制の工夫等、取組の内容や方法を具体的に示した。
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