保育園のお昼寝の時間(午睡)。
それは、子ども達の休息の時間であることはもちろん、保育士にとっては溜まった書類を一気に進められる貴重な時間でもあります。
保育士の心の声はただ一つ。
「頼む。寝てくれ。」
出来ればスッと寝てほしい。出来なくても……やっぱり寝てほしい。
しかし、現実はそう甘くありません。
「お昼寝の時間だよ!」「うるさくしない!」「寝ようね!」
そんな保育士の声が飛び交う中、布団に入った子ども達はおしゃべりに大忙し。
今回は、そんな「お昼寝で寝ない・うるさい」問題に悩み、試行錯誤の末にたどり着いた「子どもが自ら寝るようになる環境構成」についてお話しします。
「寝ない・うるさい」にイライラして失敗した過去
以前の私の保育は、まさに「戦い」でした。
暇を持て余した子が友達にちょっかいを出し、ゴロゴロと転がり始める。
一人が騒ぎ出すと、連鎖してみんなが騒ぎ出す。
私は血眼になって「おしゃべりチルドレン」を探し、トントンする手は段々と早く、強くなっていく。
明らかに自分の中のイライラポイントが増えていくのが分かります。
そしてついに爆発!
「静かにしなさぁぁぁぁぁぁい!!」
「布団片づけるよ!お昼寝の時間でしょ!!」
「こっちに来なさい!」
布団ごと先生の近くに移動させたり、ひどい時には隣のクラスに布団が敷かれることもありました。
それは……今思えば、完全に「駄目なやつ」です。
そんな「管理する保育」を続けていても、子どもは寝ないし、自分も疲れるだけでした。
なぜ子どもは午睡の時間に騒ぐのか?
「見直そう。見直そう。」
そう反省して、改めてお昼寝の時間を見つめ直した時に、ある違和感に気づきました。
「お昼寝の時間になったから寝る」
一見当たり前のようですが、これだと「寝たい子」も「寝たくない子」も一斉に布団にINすることになります。
・寝たくない子:眠くないのに布団に入れられるのは苦痛。暇で騒ぐ。最後には走り回る。
・寝たい子:うるさくて眠れない。いい迷惑。
これでは、どちらにとってもマイナスです。
「トイレに行きたくないのにトイレに座らされている」のと同じで、強制されればされるほど、子どもは反発したくなるものです。
解決策:「寝かせる」のではなく「寝る環境」を作る
「これじゃダメだなぁ」と思った私は、視点をガラリと変えてみました。
「子どもを寝かせる」のではなく、「環境ありき」にしてみることにしたのです。
具体的には、お昼寝の導入で子どもたちにこう伝えました。
「さぁ、これから寝る時間だよ」
さらに続けます。
「布団の部屋は『寝るお部屋』になっています。だから、寝ようと思った子だけ入りましょう」
そして、一番大切なルールを伝えます。
「まだ眠たくないなぁ、おしゃべりしていたいなぁと思ってるお友達は、寝るお部屋には入ってはいけません。寝たいなぁと思って寝ている子の邪魔になっちゃうからね」
「寝なさい」と命令するのではなく、「寝る場所」と「そうでない場所」を区切り、子ども自身に選ばせることにしたのです。
子どもの「主体性」に任せた結果
私は保育室の入り口に立ち、子どもたちの選択を待ちました。
すると、「寝るー」と自ら入ってくる子が一人、また一人。
私はその子たちにハグをして「おやすみ」を伝えて送り出します。
驚いたのはその後の行動です。
さすが、自分から「寝よう」と思って入ってきた子たちです。
おしゃべりもせず、ふざけることもなく、自分の布団に一直線。
ゴロンと横になり、スッと入眠していきます。
「先生に言われたから寝る」のではなく、「自分で寝ると決めた」から寝る。
たったこれだけの違いで、あれだけ響き渡っていたおしゃべりが嘘のように消えました。
それでも「眠くない」子への対応は?
もちろん、中には「まだ眠くない」と言って入室しない子もいます。
以前なら無理やり寝かせていましたが、今は違います。
眠くない子には、静かに絵本を読むスペースや、横になって体を休めるだけの場所(コットなど)を用意します。
大切なのは「一斉に眠ること」ではなく、「心身の休息を取ること」だからです。
結果的に、静かに過ごしているうちに眠くなる子もいれば、そのまま休息だけで終わる子もいます。
でも、「寝ている子の邪魔をする」という一番のトラブルはなくなりました。
まとめ:Nursery is life.
最後の一人まで、自分で寝ると決めて保育室に入っていきました。
今日はとても穏やか。
「なーんかうまくいったなぁ」
保育士が必死になって「寝かせよう」とするよりも、環境を整えて子どもの主体性を信じる方が、結果的にみんなが幸せになれる。
そんなことに気づけた出来事でした。
子どもが寝てくれないと焦る気持ちは痛いほど分かりますが、一度深呼吸して、「どうやったらこの子が『寝よう』と思えるかな?」と視点を変えてみると、解決のヒントが見つかるかもしれません。



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