【3歳児4月】今の姿を引き出す観察質問リスト&文例集(五領域+養護)

5領域メーカー

3歳児クラス(年少)の4月は、乳児クラスからの進級や、新入園による環境の変化で、子どもたちの心が大きく揺れ動く時期です。 「お兄さん・お姉さんになった」という期待感と、新しい環境への不安の間で、一人ひとりがどのように自分の居場所を見つけているかが観察のポイントです。

4月の特徴と観察ポイント

クラスにとってどんな時期?

保育者の人数が減り、子ども一人ひとりが「自分のことは自分でする」場面が増えます。新しいお部屋、新しいロッカー、新しい先生など、物理的・人的環境がガラリと変わるため、まずは子どもたちが安心して過ごせる「居場所づくり」と、基本的な「生活の流れ」を知ることが最優先の月です。

子どもにとってどんな時期?

「自分でやりたい」という意欲(自立心)が育っている一方で、環境の変化から甘えが出たり、トイレの失敗が増えたりする「揺れ戻り」も見られます。友だちへの関心が高まり、一緒に遊ぼうとする姿が増えますが、まだ貸し借りなどのルールが定着していないため、トラブルも頻発します。

4月に特に観たい発達テーマ

  1. 新しい環境への適応(不安の表出と解消、担任との関係づくり)
  2. 基本的生活習慣の自立(着替え、排泄、所持品の始末)
  3. 友だちとの関わりの第一歩(「入れて」「貸して」の経験)
  4. 春の自然や戸外遊びへの興味(体を動かす楽しさ、発見)

🌿 養護(生活・情緒)

🩷 生命の保持(食事・睡眠・排泄・健康・着脱)

Q1. 新しい環境での「食事」の様子は(意欲・マナー)?

  • 緊張からか食が進まない様子だったが、励ますと少しずつ口に運んでいた。
  • 「お兄さんだから」と張り切り、苦手な野菜も一口頑張って食べていた。
  • スプーンやフォークを下持ち(鉛筆持ち)にし、こぼさないように食べていた。
  • 食事中にお喋りが増えて箸が止まることがあったが、声をかけると再開した。
  • 完食すると「ピカピカだよ!」と誇らしげに空っぽの器を見せてくれた。

Q2. 衣服の着脱や「身辺整理」は自分でしていますか?

  • 登園後、自分のロッカーを探してカバンやタオルをしまおうとしていた。
  • ボタンの掛け外しに挑戦し、時間がかかっても自分でやろうとしていた。
  • ズボンやパンツの前後を確認し、「こっち?」と保育者に聞いていた。
  • 脱いだ服を畳もうとするが難しく、丸めてカゴに入れている姿が見られた。
  • 「手伝って」と甘えることもあるが、手を添えると自分でやり遂げていた。

Q3. 排泄(トイレ)の自立状況や失敗への対応は?

  • 遊びの途中でも尿意を感じ、「トイレ行く」と自分で行くことができた。
  • 環境の変化からか失敗することもあったが、「出ちゃった」と教えてくれた。
  • トイレットペーパーを適量取り、自分で拭こうと頑張っていた。
  • 排泄後、スリッパを揃えたり水を流したりする習慣がついていた。
  • トイレに行くのを嫌がったが、友だちが誘うと一緒に行っていた。

Q4. 睡眠(午睡)の入り方やリズムは?

  • 新しい部屋に興奮してなかなか眠れなかったが、静かな時間を作ると落ち着いた。
  • 自分の布団の場所を覚え、パジャマに着替えて横になっていた。
  • 保育者がそばについてトントンすると、安心して入眠していた。
  • 体力がつき、午睡時間が短くなったが、布団の上で静かに休息できた。
  • 目覚めた後、自分で布団を畳もうとする姿が見られた。

Q5. 健康状態や衛生面(手洗い等)への意識は?

  • 外から帰ると、自ら水道に行き、石鹸を使って手を洗っていた。
  • 鼻水が出ると、自分でティッシュを取り、鏡を見て拭こうとしていた。
  • 汗をかいたことに気づき、「着替えたい」と訴えていた。
  • 咳をする時、手で口を覆うマナーが身につき始めていた。
  • 疲れが出やすい時期だが、休息をとることで元気に過ごせていた。

💚 情緒の安定(安心感・自己発揮)

Q1. 登園時の様子や、新しい担任との関係は?

  • 朝は保護者と離れる際に涙が出たが、身支度を始めると気持ちが切り替わった。
  • 担任の名前を覚え、「先生、おはよう」と元気に挨拶してくれた。
  • 不安な時は保育者のそばに来て、スキンシップを求めて安心していた。
  • 困ったことがあると、泣かずに言葉で保育者に伝えに来ていた。
  • 担任の姿を目で追い、見守られていることを確認して遊んでいた。

Q2. 自分の気持ち(喜怒哀楽)を言葉で出せていますか?

  • 嫌なことがあると「やめて」「イヤ」と言葉で主張できていた。
  • 嬉しい時に「楽しいね!」と保育者や友だちに伝えていた。
  • うまくいかずに癇癪を起こすこともあるが、理由を聞くと落ち着いて話せた。
  • 寂しい気持ちを我慢していたが、保育者が気づくと涙を見せて甘えた。
  • 「もっと遊びたい」など、自分の要求をはっきり伝えていた。

Q3. 進級したことへの「自覚」や「自信」は?

  • 「もう3歳だから」と言って、小さい子(2歳児)に優しくしようとしていた。
  • 新しい名札やマークを喜び、何度も触って確認していた。
  • 難しいことにも「自分でやる!」と挑戦し、自信を見せていた。
  • 失敗しても「次はできるもん」と前向きな言葉が出ていた。
  • 褒められると照れくさそうにしながらも、やる気に満ちた表情をしていた。

Q4. 不安や緊張のサインと、その解消法は?

  • 緊張から指しゃぶりが見られたが、遊びに夢中になると止まっていた。
  • 環境の変化で赤ちゃん返りのような甘えが出たが、十分に応えることで満足していた。
  • 部屋の隅や特定の場所を「安心できる場所」として過ごしていた。
  • お気に入りのタオルや玩具を持つことで、心を落ち着かせていた。
  • 友だちの様子をじっと観察し、安全だと分かると参加していた。

Q5. 遊びへの集中力や興味の対象は?

  • ブロック遊びなど、座って行う遊びにじっくりと取り組んでいた。
  • 好きな遊びを見つけ、繰り返し楽しむことで情緒が安定していた。
  • 新しい玩具に興味津々で、使い方を試行錯誤していた。
  • 友だちの遊びに興味を持ち、そばで同じことをして楽しんでいた。
  • 「これなあに?」と様々なものに興味を持ち、質問していた。

🌸 五領域(遊びと活動)

🩵 健康(身体機能・運動・安全)

Q1. 戸外での身体の動かし方(走る・登る)は?

  • 園庭を力強く走り回り、友だちと追いかけっこを楽しんでいた。
  • ジャングルジムや太鼓橋などの固定遊具に、手足を使って登っていた。
  • 両足ジャンプ(グーパージャンプ)や片足立ちなど、バランス感覚が育ってきた。
  • 転んでもすぐに手をついて体を守り、泣かずに立ち上がっていた。
  • 音楽に合わせて、スキップのようなリズムで体を動かしていた。

Q2. 指先を使った遊び(操作性)は?

  • 粘土をちぎる、丸める、伸ばすなどの操作を楽しんでいた。
  • クレヨンをしっかり握り、意図した形(丸や線)を描こうとしていた。
  • ハサミ(一回切り)に興味を持ち、保育者と一緒に切ろうとしていた。
  • パズルやブロックなど、指先を使う遊びに集中して取り組んでいた。
  • お弁当包みの結び目を、指先を使って解こうとしていた。

Q3. ルールのある運動遊びへの参加は?

  • 「よーい、ドン」の合図で走り出し、ゴールまで走りきっていた。
  • 「だるまさんが転んだ」のルールに興味を持ち、止まったり動いたりしていた。
  • ボールを投げる、蹴るなどの動作を楽しみ、友だちとパスし合おうとしていた。
  • しっぽ取りゲームで、追いかけることの楽しさを味わっていた。
  • 並んで順番を待つことが少しずつできるようになってきた。

Q4. 危険回避や安全への意識は?

  • 「危ない」と声をかけると、すぐに動きを止めることができた。
  • 友だちとぶつからないように、周りを見て走ろうとしていた。
  • 遊具の正しい使い方(滑り台を逆走しない等)を守ろうとしていた。
  • 散歩中、保育者の合図で止まったり、端を歩いたりしていた。
  • 階段の上り下りで、手すりを持って慎重に移動していた。

Q5. 自分の体の状態(疲労・不調)への気づきは?

  • 「疲れた」と言って、ベンチに座り休憩をとっていた。
  • 暑くなると「暑い」と言い、上着を脱ごうとしていた。
  • 「足が痛い」など、具体的な痛みの場所を伝えていた。
  • 喉の渇きを感じ、自分から水筒のお茶を飲んでいた。
  • 鼻水が出ていることに気づき、自分で処理しようとしていた。

🧡 人間関係(友だち・協同)

Q1. 友だちへの関心や関わり方は?

  • 特定の友だちの名前を呼び、「一緒に遊ぼう」と誘っていた。
  • 友だちが遊んでいる玩具に興味を持ち、「何してるの?」と覗き込んでいた。
  • 一人で遊んでいても、友だちの存在を意識し、時々顔を見合わせていた。
  • 好きな友だちの真似をして、同じ遊びを楽しんでいた。
  • 登園時、友だちを見つけると嬉しそうに駆け寄っていた。

Q2. 物の貸し借りやトラブルへの対応は?

  • 玩具の取り合いになったが、「貸して」「いいよ」「あとで」と言葉でやり取りした。
  • 自分の使いたい玩具を主張し、譲れない場面もあったが、保育者の仲立ちで納得した。
  • 「どうぞ」と友だちに玩具を渡す優しさが見られた。
  • 友だちが使っているものを無理に取らず、終わるのを待とうとしていた。
  • トラブルの後、「ごめんね」と謝り、仲直りすることができた。

Q3. 集団遊び(ごっこ遊び等)の様子は?

  • おままごとで「お母さん」「赤ちゃん」などの役割を決めて遊んでいた。
  • 友だちとイメージを共有し、「電車ごっこ」で列になって歩いていた。
  • 砂場で協力して大きな山を作ったり、トンネルを掘ったりしていた。
  • 病院ごっこで、「お腹痛いですか?」とやり取りを楽しんでいた。
  • ブロックで同じテーマ(車や家)のものを作り、見せ合っていた。

Q4. 他者への思いやりや共感は?

  • 泣いている友だちに気づき、「どうしたの?」と声をかけたり頭をなでたりしていた。
  • 転んだ友だちに、保育者を呼びに行ったり心配そうに見たりしていた。
  • 困っている友だちに、玩具やティッシュを持って行ってあげた。
  • 友だちが褒められていると、一緒になって喜んでいた。
  • 年下の子(2歳児)の手を引いたり、優しく接したりしていた。

Q5. 保育者との関わりや信頼関係は?

  • 遊びの中で「見て見て!」と保育者に声をかけ、共感を求めていた。
  • 困った時にすぐに保育者に助けを求め、解決しようとしていた。
  • 保育者の提案する遊びに興味を持ち、喜んで参加していた。
  • 「先生、大好き」とスキンシップを求めて甘えていた。
  • 一斉活動の時、保育者の話を聞いて行動しようとしていた。

💛 環境(自然・物・数量)

Q1. 春の自然(植物・虫)への興味は?

  • 園庭でダンゴムシやアリを見つけ、触ったり観察したりしていた。
  • チューリップやタンポポを見つけ、「咲いたね」「きれい」と喜んでいた。
  • 桜の花びらを拾い集め、「ごはん」に見立てて遊んでいた。
  • チョウチョが飛んでいるのを追いかけ、捕まえようとしていた。
  • 春の暖かさを感じ、「ポカポカするね」と話していた。

Q2. 数量や形、色への関心は?

  • 自分の靴箱やロッカーのマーク(形・色)を認識していた。
  • 「赤」「青」などの色の名前を言いながら、ブロックを集めていた。
  • おやつや玩具の数を「いーち、にー」と数える真似をしていた。
  • 「大きい」「小さい」を理解し、物を比べていた。
  • 丸、三角、四角の形を見分け、パズルや型はめを楽しんでいた。

Q3. 道具や玩具の扱い方は?

  • 玩具をカゴから出し、使い終わると元の場所に戻そうとしていた。
  • 糊やハサミなどの道具に興味を持ち、使ってみたがっていた。
  • スコップやバケツなどの道具を、目的に合わせて使っていた。
  • 絵本を大切に扱い、ページを破らないようにめくっていた。
  • 壊れた玩具を見つけると、保育者に知らせていた。

Q4. 時間や生活の流れへの理解は?

  • 「お片付けの音楽」が流れると、片付けを始めようとしていた。
  • 「給食の後は寝るんだよね」と、次の活動を予測して話していた。
  • 時計を見て、「長い針がここに来たら」という保育者の言葉を意識していた。
  • 「まだ遊びたい」と言いつつも、切り替えの時間を守ろうとしていた。
  • 朝の会、帰りの会の流れを理解し、参加していた。

Q5. 探索活動(発見・不思議)の様子は?

  • 散歩中に新しい道や建物に気づき、「これなに?」と質問していた。
  • 影踏み遊びをして、影が動く不思議さを楽しんでいた。
  • 雨上がりの水たまりを見つけ、覗き込んだり入ってみたりしていた。
  • 虫眼鏡を使って、葉っぱや虫を拡大して見ていた。
  • 風で揺れるこいのぼりを見て、風の存在を感じていた。

💚 言葉(理解・発語・会話)

Q1. 会話の広がり(文の長さ)は?

  • 「ママ、車で来たよ」「今日、公園行く?」など、三語文以上で話していた。
  • 「~だから、~したい」と、簡単な理由をつけて話していた。
  • 過去の出来事(昨日の夕飯など)を思い出して話してくれた。
  • 自分の名前(フルネーム)や年齢を、はっきりと言えていた。
  • 助詞(て・に・を・は)を使い、文章で話そうとしていた。

Q2. 保育者や友だちとのやり取りは?

  • 保育者の質問に対して、適切な言葉で答えていた。
  • 友だちとのお喋りが弾み、笑い合ったり共感したりしていた。
  • 「おはよう」「さようなら」「ありがとう」などの挨拶が自然に出ていた。
  • 相手の話を聞き、それに反応して言葉を返していた。
  • 遊びの中で、言葉を使って役割を決めたりルールを作ったりしていた。

Q3. 言葉の理解力(指示・物語)は?

  • 二つの指示(「帽子を被って、外に行こう」等)を理解して動けていた。
  • 絵本の読み聞かせを集中して聞き、内容を理解して楽しんでいた。
  • 「どうして?」という質問に対し、自分なりの言葉で説明しようとしていた。
  • 集団への呼びかけを聞いて、自分も動くことができた。
  • 約束事やルールを言葉で聞き、守ろうとしていた。

Q4. 知的好奇心(質問・名称)は?

  • 「これなあに?」「なんで?」と、言葉で盛んに質問していた。
  • 図鑑を見て、知っている動物や乗り物の名前を次々に言っていた。
  • 新しい言葉を覚えると、嬉しそうに繰り返し使っていた。
  • 友だちの名前を覚え、呼びかけ合っていた。
  • 色や形、大きさなどを表す言葉を使っていた。

Q5. ごっこ遊びでの言葉の使用は?

  • 「いらっしゃいませ」「これください」など、役になりきって話していた。
  • 「もしもし、元気?」と電話ごっこで会話を楽しんでいた。
  • 「病院ですよ」「注射しますね」と、状況に合わせた言葉を使っていた。
  • ぬいぐるみに話しかけ、お世話をする言葉をかけていた。
  • 友だちとセリフのようなやり取りをして、イメージを共有していた。

💜 表現(感性・創造)

Q1. 歌やリズム遊びの様子は?

  • 季節の歌(チューリップ等)を、歌詞を覚えて元気よく歌っていた。
  • ピアノの音に合わせて、走る、止まる、寝るなどの即時反応を楽しんでいた。
  • 手遊びの振りを覚え、歌いながら楽しそうに表現していた。
  • 好きな曲が流れると、オリジナルのダンスを踊っていた。
  • 楽器(鈴やカスタネット)を持ち、リズムに合わせて鳴らしていた。

Q2. 描画(お絵描き)の表現は?

  • グルグル描きから、閉じた円(丸)を描けるようになってきた。
  • 「これはママ」「アンパンマン」と、描いたものに意味づけをしていた。
  • 好きな色を選び、画用紙いっぱいにのびのびと描いていた。
  • 顔のパーツ(目・口)を描こうとする姿が見られ始めた。
  • 複数の色を使って、カラフルな表現を楽しんでいた。

Q3. 制作活動(糊・シール等)への意欲は?

  • 糊の感触を楽しみながら、適量を指につけて貼ろうとしていた。
  • シールを剥がして、枠の中や狙った場所に貼っていた。
  • 折り紙を折ったり、ちぎったりして、何かに見立てていた。
  • 廃材(空き箱など)を組み合わせて、自分の作りたいものを作っていた。
  • 完成した作品を「見て!」と嬉しそうに保育者に見せていた。

Q4. ごっこ遊びや劇遊びでの表現は?

  • 好きな絵本の登場人物になりきり、セリフを言ったり動いたりしていた。
  • ヒーローやプリンセスの真似をして、ポーズを決めていた。
  • 布や衣装を身につけ、役になりきることを楽しんでいた。
  • 「オオカミだぞー」と追いかけるなど、簡単なストーリーを楽しんでいた。
  • 友だちと一緒に、イメージの世界に入り込んで遊んでいた。

Q5. 感動や発見の表現は?

  • きれいな花を見て「うわあ、すごい」と感嘆の声を上げていた。
  • ダンゴムシが丸まるのを見て、驚きと喜びを表現していた。
  • できた喜びを「やったー!」と全身で表現し、ハイタッチを求めてきた。
  • 面白いことを見つけ、友だちと顔を見合わせて大笑いしていた。
  • 悲しい絵本を見て、神妙な顔つきをしていた。

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