3歳児クラスの6月は、梅雨入りにより室内で過ごす時間が長くなる時期です。 エネルギーの発散場所が限られるため、友だちとの距離が近くなり、トラブルが増える傾向にあります。一方で、トイレトレーニングが進んだり、身の回りのことを自分でやろうとする意識が高まったりと、生活習慣の自立に向けた重要な時期でもあります。
もくじ
6月の特徴と観察ポイント
クラスにとってどんな時期?
雨の日が続き、戸外に出られないストレスが溜まりやすいため、室内での運動遊び(サーキット、リズムなど)や、じっくり取り組める制作活動の環境設定が重要になります。また、湿度が高く汗をかきやすいため、衛生管理や衣服の調節など、快適に過ごすための配慮が必要な月です。
子どもにとってどんな時期?
「外に行きたい!」という欲求を抱えつつ、室内での友だちとの関わりや、新しい素材(粘土、新聞紙など)を使った遊びに興味を広げます。薄着になることで、トイレでの排泄に成功する子が増え、「お兄さん・お姉さんパンツ」への憧れや意欲が高まります。
6月に特に観たい発達テーマ
- 排泄の自立(尿意の感覚、トイレでの成功体験)
- 室内での身体制御(走らずに遊ぶ、友だちとの距離感)
- 友だちとのトラブルと解決(物の取り合い、言葉での交渉)
- 梅雨の自然や感触(雨音、カエル、時の記念日)
🌿 養護(生活・情緒)
🩷 生命の保持(食事・睡眠・排泄・健康・着脱)
Q1. 排泄(トイレトレーニング)の進み具合は?
- 遊びの途中でも尿意に気づき、「トイレ」と言って行けるようになった。
- 排泄の間隔が空き、午前中はパンツで過ごせる日が増えた。
- 失敗しても「出ちゃった」と事後報告し、着替えようとしていた。
- トイレのスリッパを揃えたり、水を流したりする習慣がついた。
- 友だちがトイレに行くのを見て、自分も行こうとする意欲が見られた。
Q2. 梅雨期の健康管理(汗・衛生)への意識は?
- 汗をかいたことに気づき、「着替えたい」と保育者に伝えていた。
- 外から帰ると、袖をまくって手洗い・うがいをしようとしていた。
- 鼻水が出ると、自分でティッシュを取り、鏡を見て拭いていた。
- 咳が出る時、手で口を覆ったり横を向いたりしていた。
- 湿気で食欲が落ち気味だったが、励ますと完食できていた。
Q3. 衣服の着脱(半ズボン・Tシャツ)はスムーズですか?
- Tシャツの裾を持って、一人で脱ぐことができた。
- ズボンの前後を確認し、立ったまま履き替えていた。
- 脱いだ服を畳もうとしたり、カゴに入れたりしていた。
- 靴の左右を間違えずに履き、マジックテープを留めていた。
- ボタンの掛け外しに集中し、時間がかかっても自分でやろうとしていた。
Q4. 食事のマナーや食具の使い方は?
- スプーンやフォークを下握り(鉛筆持ち)で使い、こぼさずに食べていた。
- 食器に手を添えて、姿勢良く食べようと意識していた。
- 苦手な野菜も、「雨に負けないよ」と励ますと食べていた。
- 口の中に物を入れたまま喋らず、飲み込んでから話していた。
- 食後、口の周りをタオルで拭き、きれいにしていた。
Q5. 睡眠(午睡)の質と寝苦しさへの対応は?
- 室内遊びだけでも十分に体を動かし、布団に入るとすぐに眠っていた。
- 湿気が多く寝苦しそうにしていたが、室温調整で落ち着いた。
- 自分のタオルを顔に当て、安心して眠りについていた。
- 途中で目が覚めても、静かに横になって体を休めていた。
- 目覚めた後、自分で布団を畳もうとする姿が見られた。
💚 情緒の安定(安心感・自己発揮)
Q1. 室内遊びでのストレスや機嫌は?
- 外に行けない不満からぐずっていたが、新聞紙遊びで発散できた。
- 広いホールで体操をし、声を上げてストレスを発散していた。
- 友だちとの距離が近くぶつかることもあったが、すぐに立ち直っていた。
- 部屋の隅の狭いスペースに入り、一人で静かに過ごす時間を求めていた。
- 窓の外の雨を見て、「アメいっぱい」と言いながら落ち着いていた。
Q2. 自分の気持ち(葛藤)を言葉で出せていますか?
- 玩具を取られて怒ったが、手を出さずに「返して」と言葉で伝えた。
- 自分の思い通りにならず泣いたが、理由を聞くと話し始めた。
- 「貸して」と言われたが、まだ使いたくて「あとで」と断っていた。
- 遊びに入れてほしい時、「入れて」と勇気を出して言っていた。
- 寂しい時に保育者に甘え、スキンシップをとると満足していた。
Q3. 保育者との信頼関係(拠点)は?
- 困ったことがあると、すぐに担任のところへ来て助けを求めた。
- 遊びの中で発見したことを、「先生、見て!」と報告に来ていた。
- 叱られた後も、気持ちを切り替えて保育者に甘えていた。
- 担任以外の職員にも親しみを持ち、挨拶や会話をしていた。
- 絵本を読んでほしくて、持ってきて膝に座った。
Q4. 友だちへの関心とトラブルへの反応は?
- 友だちが泣いていると心配し、顔を覗き込んだり頭をなでたりしていた。
- トラブルになった時、保育者の仲立ちで「ごめんね」と言えた。
- 友だちの持っている玩具が欲しくて、じっと見てチャンスを伺っていた。
- 好きな友だちの真似をして、同じ遊びを楽しんでいた。
- 順番を守れずに割り込んだが、注意されると後ろに並び直した。
Q5. 自信や達成感の表現は?
- トイレで成功した時、「出たよ!」と誇らしげに報告してくれた。
- 着替えが一人でできた時、「見て!」とアピールしていた。
- 難しいパズルを完成させ、満足そうな顔をしていた。
- 褒められると照れながらも、次への意欲を見せていた。
- 「自分でやる」と言って、手伝いを断ることがあった。
🌸 五領域(遊びと活動)
🩵 健康(身体機能・運動・安全)
Q1. 室内での運動遊び(バランス・ジャンプ)は?
- 平均台の上を、落ちないようにバランスを取って歩いていた。
- 音楽に合わせて、その場で両足ジャンプをしていた。
- マットの上でゴロゴロ転がり、全身運動を楽しんでいた。
- トンネルを四つん這いで進み、出口で笑顔を見せていた。
- 階段の上り下りを、手すりを持って慎重に行っていた。
Q2. 指先を使った遊び(操作・制作)は?
- 粘土をちぎる、丸める、伸ばすなどの操作を楽しんでいた。
- 糊を指に適量とり、紙に塗って貼ることができた。
- クレヨンをしっかり握り、力強く円や線を描いていた。
- ハサミ(一回切り)に挑戦し、チョキンと切れる感触を楽しんでいた。
- 洗濯バサミをつまんで、指先の力加減を調整していた。
Q3. 体の使い方の調整(止まる・避ける)は?
- 走っていて「ストップ」と言うと、ピタッと止まることができた。
- 友だちとぶつかりそうになり、体をひねって避けていた。
- 音楽が止まると動きを止め、即時反応を楽しんでいた。
- 狭い隙間を、体を小さくして通り抜けていた。
- 転びそうになった時、手をついて防御していた。
Q4. 雨の合間の戸外活動(危険回避)は?
- 水たまりや泥で滑らないように、気をつけて歩いていた。
- 濡れている遊具を触り、「濡れてるね」と確認していた。
- ダンゴムシを見つけ、踏まないようにそっと観察していた。
- 友だちと手を繋ぎ、列からはみ出さないように歩いていた。
- 「危ない」と声をかけると、すぐに手を止めていた。
Q5. 自分の体の状態(疲労・不調)への気づきは?
- 「疲れた」と言って椅子に座り、休憩をとっていた。
- 喉が渇いたことを伝え、水筒のお茶を飲んでいた。
- 「お腹痛い」など、具体的な痛みの場所を伝えていた。
- 暑くて顔が赤くなっていたが、服を脱いで調整していた。
- 鼻水が出ていることに気づき、自分で処理しようとしていた。
🧡 人間関係(友だち・協同)
Q1. 友だちとの関わり(貸し借り・交渉)は?
- 「貸して」「いいよ」「あとで」と言葉でやり取りしていた。
- まだ貸したくない気持ちがあり、玩具を抱え込んで守ろうとしていた。
- 「どうぞ」と友だちに玩具を渡す優しさが見られた。
- 欲しい玩具があっても、友だちが終わるのを待とうとしていた。
- 言葉で伝えられず手が出そうになったが、保育者の代弁で落ち着いた。
Q2. 集団遊び(ごっこ遊び)の芽生えは?
- おままごとで「ママ」「赤ちゃん」などの役割を決めて遊んでいた。
- 友だちとイメージを共有し、「バスごっこ」で列になっていた。
- 病院ごっこで、「お熱ありますね」とやり取りを楽しんでいた。
- ブロックで同じテーマ(車や家)のものを作り、見せ合っていた。
- 複数人で集まり、同じ場所で遊ぶことを楽しんでいた。
Q3. 他者への思いやりや共感は?
- 泣いている友だちに気づき、「どうしたの?」と声をかけていた。
- 転んだ友だちに、保育者を呼びに行ったり心配そうに見たりしていた。
- 困っている友だちに、玩具やティッシュを持って行ってあげた。
- 友だちが褒められていると、一緒になって喜んでいた。
- 年下の子(2歳児)の手を引いたり、優しく接したりしていた。
Q4. 集団でのルール理解は?
- 手洗いの順番待ちで、友だちの後ろに並んでいた。
- 「お片付け」の音楽が流れると、片付けを始めようとしていた。
- 紙芝居が始まると、座って静かに見ていた。
- 給食の歌に合わせて、手を叩いていた。
- 散歩の時、前の友だちを抜かさないように歩いていた。
Q5. 保育者との関わり(仲立ち)は?
- トラブルになった時、保育者に状況を説明しようとしていた。
- 「一緒にやろう」と保育者を遊びに誘っていた。
- 保育者の提案する遊び(リズムなど)に、喜んで参加していた。
- 甘えたい時はスキンシップを求め、安心すると離れていった。
- 一斉活動の時、保育者の話を聞いて行動しようとしていた。
💛 環境(自然・物・数量)
Q1. 梅雨の自然(雨・生き物)への興味は?
- 窓ガラスをつたう雨粒を、指で追いかけていた。
- カエルの鳴き声を聞いて、「ケロケロ」と真似していた。
- 紫陽花の花を見て、「きれい」「青いね」と話していた。
- カタツムリを見つけ、ツノが出るのをじっと待っていた。
- 雨上がりの水たまりに入り、水が跳ねる様子を楽しんでいた。
Q2. 数量や時間への関心(時の記念日など)は?
- 時計を見て、「長い針が上になったら」という約束を意識していた。
- 「1、2、3」と玩具の数を数える真似をしていた。
- 「大きい」「小さい」を理解し、物を比べていた。
- 「おやつまだ?」と時間を気にする様子が見られた。
- 数字の形に興味を持ち、読もうとしていた。
Q3. 感触遊び(粘土・素材)への反応は?
- 粘土の柔らかさを楽しみ、丸めたりちぎったりしていた。
- 新聞紙をビリビリ破り、音や感触の変化に大笑いしていた。
- 寒天の冷たさに驚き、慎重に指でつついていた。
- 濡れた砂と乾いた砂の違いに気づき、使い分けていた。
- 糊のベタベタした感触を気にしながらも、制作に取り組んでいた。
Q4. 道具の操作や仕組みへの興味は?
- 傘の開閉に興味を持ち、やってみたがっていた。
- 鍵の開け閉めや、ドアノブの操作に関心を持っていた。
- 楽器(鈴やカスタネット)を鳴らし、音の違いを楽しんでいた。
- ハサミやテープなどの道具を使ってみたがっていた。
- 玩具の電池を入れる場所などを気にしていた。
Q5. 探索活動(発見・観察)の様子は?
- 散歩中に新しい看板や花を見つけ、「これなに?」と質問していた。
- 影踏み遊びをして、自分の影が動く不思議さを楽しんでいた。
- 虫眼鏡を使って、葉っぱや虫を拡大して見ていた。
- 音のなる方を探し、耳を澄ませていた。
- 鏡に映る部屋の様子を、不思議そうに見ていた。
💚 言葉(理解・発語・会話)
Q1. 会話の広がり(二語文・三語文)は?
- 「雨、降ってるね」「ママ、お迎え、まだ?」など、文章で話していた。
- 「~だから、~したい」と、簡単な理由をつけて話していた。
- 過去の出来事(昨日の夕飯など)を思い出して話してくれた。
- 自分の名前(フルネーム)や年齢を、はっきりと言えていた。
- 「なんで?」「どうして?」と、理由を知りたがって質問していた。
Q2. 友だちとの言葉のやり取りは?
- 「おはよう」「さようなら」と、友だちに挨拶していた。
- 「貸して」「いいよ」などの貸し借りの言葉を使っていた。
- ごっこ遊びの中で、役割に応じた言葉(いらっしゃいませ等)を使っていた。
- 友だちの名前を呼び、遊びに誘っていた。
- 喧嘩の後、「ごめんね」と言葉で謝ることができた。
Q3. 言葉の理解力(指示・物語)は?
- 「帽子を被って、靴を履こうね」という二つの指示を理解して動けていた。
- 絵本の読み聞かせを集中して聞き、内容を理解して楽しんでいた。
- 「どうしたの?」という質問に対し、状況を説明しようとしていた。
- 集団への呼びかけを聞いて、自分も動くことができた。
- 約束事やルールを言葉で聞き、守ろうとしていた。
Q4. 知的好奇心(質問・名称)は?
- 「これなあに?」と、物の名前を盛んに聞いていた。
- 図鑑を見て、知っている動物や乗り物の名前を言っていた。
- 新しい言葉を覚えると、嬉しそうに繰り返し使っていた。
- 色や形を表す言葉(赤、丸など)を使っていた。
- 雨や雷などの自然現象について、不思議がって質問していた。
Q5. 歌や手遊びの言葉は?
- 「カエルの歌」や「カタツムリ」など、季節の歌を歌っていた。
- 手遊びの言葉に合わせて、指や体を動かして楽しんでいた。
- 絵本のフレーズを覚え、保育者と一緒に唱えていた。
- リズムに合わせて、「トントン」などの擬音語を言っていた。
- 替え歌を作ったり、言葉遊びを楽しんだりしていた。
💜 表現(感性・創造)
Q1. 描画(お絵描き)の表現は?
- グルグル描きから、閉じた円や雨のような線を描くようになってきた。
- 「これはママ」「アンパンマン」と、描いたものに意味づけをしていた。
- 好きな色を選び、画用紙いっぱいに力強く描いていた。
- 複数の色を使い分け、カラフルな表現を楽しんでいた。
- 描いた絵を保育者に見せ、嬉しそうに説明していた。
Q2. 制作活動(糊・シール等)への意欲は?
- 糊を使って、紫陽花の花びらを貼る制作を楽しんでいた。
- シールを並べて貼ったり、重ねて貼ったりして模様を作っていた。
- 新聞紙を丸めて、てるてる坊主を作っていた。
- 時計の制作(時の記念日)で、パーツを貼って顔を作っていた。
- 完成した作品を「見て!」と誇らしげに見せていた。
Q3. 音楽やリズム遊びの様子は?
- ピアノの音に合わせて、カエルやウサギなどの動物になりきって動いていた。
- 音楽が止まるとピタッと止まり、即時反応を楽しんでいた。
- 楽器(鈴やカスタネット)を持ち、リズムに合わせて鳴らしていた。
- 友だちと手を繋ぎ、輪になって歌うことを楽しんでいた。
- 雨音に耳を傾け、「ポツポツ」とリズムを感じていた。
Q4. ごっこ遊びや見立て遊びは?
- 傘を差す真似をして、部屋の中を散歩していた。
- ブロックを電話に見立てて、「もしもし」と会話していた。
- 粘土を「お団子」に見立てて、食べる真似をしていた。
- ぬいぐるみをおんぶして、お母さんになりきっていた。
- 病院ごっこで、聴診器を当てる真似をしていた。
Q5. 感動や発見の表現は?
- 虹が出ているのを見つけ、「うわあ!」と声を上げていた。
- カタツムリが動くのを見て、驚きと喜びを言葉にしていた。
- できた喜びを全身で表現し、ジャンプしていた。
- 面白いことを見つけ、友だちと顔を見合わせて大笑いしていた。
- きれいな花や石を見つけ、宝物のように扱っていた。



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