「うちの子、なんでこんなに不器用なの?」と感じたことはありませんか?
もくじ
「よく物にぶつかる」「着替えがいつも一苦労」「体の動きがぎこちない」
そんなお子さんを見て、「運動が苦手なのかな?」と心配する保護者の方も多いでしょう。
実はその背景には、“ボディーイメージの発達”が関係していることがあります。
ボディーイメージとは、「自分の体の大きさ・位置・動かし方」を頭の中で正しくイメージする力のこと。
この発達がうまくいかないと、体の使い方が不器用になったり、運動や着替えが苦手になったりするのです。
この記事では、
✅ ボディーイメージとは何か
✅ どんな困りごとが起きるのか
✅ 家でできる遊びによる発達支援方法
を、発達支援の専門家がわかりやすく解説します。
ボディーイメージとは? ― 静的と動的の2つの側面
ボディーイメージには、大きく分けて2つの側面があります。
● 静的ボディーイメージ
「自分の体の形・大きさ・重さ」を感じ取る力です。
たとえばプールに入ったときに水圧を感じたり、狭い通路を通るときに「通れるかな?」と感じたりする感覚。
これが発達していると、自分の体の“アウトライン”をしっかり把握できます。
● 動的ボディーイメージ
「自分の体をどのように動かせばいいか」を感じ取る力です。
階段を上るときに「どのくらい足を上げたらいいか」、ボールを投げるときに「どのくらい力を入れたら届くか」など、動作のイメージを作る感覚です。
この静的・動的ボディーイメージがうまく育たないと、体の動かし方がわからず、生活の中でさまざまな困りごとが生じます。
ボディーイメージが未発達な子に見られる特徴・困りごと
お子さんにこんな様子はありませんか?
当てはまる場合は、ボディーイメージの発達に課題があるサインかもしれません。
- 物や人によくぶつかる
- 運動会のダンスや体操で“真似っこ”が苦手
- 着替えがスムーズにできない(袖やズボンの位置がわからない)
- ボールを投げる・キャッチするのが苦手
- イスに座るとすぐに体勢が崩れる
- 手先の動きがぎこちない(ハサミ・お箸・鉛筆など)
こうした行動の背景には、「自分の体がどこにあるか」「どう動くか」がつかめていないという発達上の理由があります。
決して“怠けている”“不器用な性格”ということではありません。
ボディーイメージはどうやって発達するのか?
発達のカギは、ずばり「自分の体を使って環境に関わること」です。
子どもたちは、日々の遊びや動きを通して
「ここまでは届く」「ここは通れない」といった体験を積み重ねながら、
少しずつ自分の体の大きさや動かし方を学んでいきます。
例えば――
- 何度も階段を上り下りする
- トンネルをくぐる
- ソファに登ったり降りたりを繰り返す
一見「なんでそんなことばかりするの?」と思う行動も、
実は自分の体を知るための大切な実験なのです。
家でできる!ボディーイメージを育む具体的な遊び
ボディーイメージを伸ばすには、「触覚的な刺激」と「失敗を通じた学習」がポイントです。
ここでは、家庭でも簡単にできる遊びを紹介します。
🟢 静的ボディーイメージを育てる遊び(体のアウトラインを知る)
1. プール・お風呂遊び
水の抵抗(圧力)を通して、自分の体の大きさや重さを感じやすくなります。
2. トンネルゲーム
段ボールや布トンネルを使って「通れるかな?」を試してみましょう。
トンネルを少しずつ狭くしていくと、自分のサイズ感を掴みやすくなります。
3. マットの壁くぐり
マットやクッションを立てて、少しずつ幅を狭めながら通る遊び。
触覚刺激と空間認知の両方を育てます。
🔵 動的ボディーイメージを育てる遊び(動かす感覚をつかむ)
1. 川渡りゲーム
床にクッションや新聞紙を並べて「ここまで跳べるかな?」と実験。
届かなかったり、成功したりを繰り返すことで、自分の力加減を調整できるようになります。
2. ジャンプ・バランス遊び
ケンケンパ、平均台、石飛びなどもおすすめ。
動きのイメージと体の反応をつなげる練習になります。
💡ポイント:
「失敗してもOK!」の環境が大切です。
子どもは失敗から“自分の体のリアルな感覚”を学びます。
大人が先回りして手を出すより、試行錯誤を見守ることが発達を促します。
まとめ:遊びは「体を知る」ための大切な仕事
「運動が苦手」「よくぶつかる」「着替えがうまくできない」――
そんな困りごとの背景には、“ボディーイメージの未発達”があるかもしれません。
でも、心配はいりません。
遊びを通して体をたくさん動かすことで、子どもは少しずつ「自分の体を感じる力」を育てていきます。
子どもの遊びは、ただの遊びではなく、
**「自分の体を知り、思い通りに動かせるようになるための大切な仕事」**です。
今日からは「また同じことしてる…」ではなく、
「今、自分の体を確かめているんだな」と温かく見守ってみてください。
感覚の発達ともつながっています。感覚の発達についてはこちらとこちら

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