5歳児クラス(年長)の1月は、小学校入学に向けた「仕上げの3学期」のスタートです。 年末年始の経験を友だちと共有したり、カルタやコマ回しなどの勝敗のある遊びに熱中したりする中で、社会性や規範意識がさらに高まります。
もくじ
1月の特徴と観察ポイント
クラスにとってどんな時期?
久しぶりの登園で生活リズムを整えつつ、お正月遊びを通してクラスの活気が戻ってきます。カルタ、すごろく、コマ回しなど、ルールのある遊びが盛り上がり、子どもたち自身で勝敗を判定したり、作戦を立てたりする姿が見られます。就学に向けて、午睡をなくしていく園もあります。
子どもにとってどんな時期?
「もうすぐ1年生」という期待と自覚が高まり、生活習慣や身の回りの整理整頓を自分で行おうとする意欲が増します。文字や数への関心も深まり、年賀状ごっこやカレンダー作りなどを楽しみます。寒さの中でも体を動かす心地よさを知り、縄跳びやドッジボールなどに挑戦します。
1月に特に観たい発達テーマ
- 社会性と規範意識(ルールの遵守、勝敗の受容、公平さ)
- 就学への見通しと自立(時間管理、持ち物の整理、午睡調整)
- 文字・数・図形への関心(読み書き、時計、計算の芽生え)
- 伝承遊びと手先の巧緻性(紐を巻く、折る、結ぶ)
🌿 養護(生活・情緒)
🩷 生命の保持(食事・睡眠・排泄・健康・着脱)
Q1. 年末年始明けの生活リズムと体調は?
- 久しぶりの登園でも、すぐに園の生活リズムを取り戻していた。
- 寒さに負けず、戸外で活発に体を動かしていた。
- 食欲があり、給食を時間内に完食していた。
- 鼻水が出ると自分でかみ、手洗いまできちんとしていた。
- 就学に向けて午睡時間が短くなったが、無理なく過ごせていた。
Q2. 寒さに応じた衣服の調節(自立)は?
- 室内に入ると「暑い」と言って、自分からトレーナーを脱いでいた。
- 遊び着の着脱を素早く行い、丁寧に畳んでいた。
- 寒い日は上着のファスナーをしっかり閉め、防寒していた。
- 肌着の乱れを気にし、鏡を見て直していた。
- 活動に合わせて、動きやすい服装に整えていた。
Q3. 健康管理(手洗い・うがい・衛生)の徹底は?
- 水が冷たくても、石鹸を使って手首まで洗っていた。
- 「ガラガラうがい」を習慣にし、風邪予防に努めていた。
- 咳エチケット(腕で口を覆う)が自然にできていた。
- 爪が伸びていることに気づき、「切ってくるね」と話していた。
- トイレの後、ハンカチで丁寧に手を拭いていた。
Q4. 食事のマナーと就学への意識は?
- 小学校を意識して、配膳から片付けまでスムーズに行っていた。
- 箸を正しく使い、米粒を残さずきれいに食べていた。
- 姿勢を正し、食器を持って食べていた。
- 時間を意識し、時計を見ながら食べ終わるようにしていた。
- 苦手なものも、「給食当番さんが作ってくれたから」と食べていた。
Q5. 排泄(トイレ)の習慣と清潔は?
- 活動の切れ目に自分からトイレに行き、次の準備をしていた。
- トイレットペーパーをきれいに使い、スリッパを揃えていた。
- 和式トイレの使い方にも慣れ、失敗なくできていた。
- ズボンの裾が濡れないように、まくり上げていた。
- 友だちと一緒でも遊びにならず、用を足していた。
💚 情緒の安定(安心感・自己発揮)
Q1. 休み明けの再会と友だち関係は?
- 「あけましておめでとう」と友だちと挨拶を交わし、再会を喜んでいた。
- 休み中の出来事を友だちと話し合い、盛り上がっていた。
- トラブルになっても、自分たちで話し合って解決しようとしていた。
- 困っている友だちに気づき、自然に助け舟を出していた。
- グループ活動で、協力して一つのことを成し遂げていた。
Q2. 勝敗のある遊びでの感情コントロールは?
- カルタで負けて悔しがっていたが、「次は頑張る」と切り替えた。
- 勝っても自慢しすぎず、相手を思いやる姿が見られた。
- ルール違反をした友だちに、感情的にならず注意していた。
- チームが負けた時、仲間を励ます言葉をかけていた。
- 悔し涙を流したが、最後までゲームに参加し続けた。
Q3. 就学への期待と不安は?
- 「ランドセル買ったよ」と嬉しそうに報告してくれた。
- 「小学校に行ったら勉強するんだ」と期待を膨らませていた。
- 卒園製作に取り組み、お世話になった園への感謝を持っていた。
- 少し不安な様子も見られたが、保育者に話して安心していた。
- 年下の子に優しく接し、年長としての自覚を見せていた。
Q4. 自分の気持ち(主張・葛藤)の表現は?
- 納得できないことがあると、「どうして?」と理由を尋ねていた。
- 自分の意見をはっきりと言葉で伝え、相手の話も聞いていた。
- 我慢が必要な場面で、自分を律して待つことができた。
- 遊びの中でリーダーシップをとり、みんなをまとめていた。
- 困った時に、「手伝ってほしい」と素直に言えていた。
Q5. 見通しを持った行動と安定感は?
- 時計を見て、「長い針が12になったら片付け」と行動していた。
- 一日の流れを理解し、自分から次の準備を始めていた。
- 落ち着いて保育者の話を聞き、指示を理解していた。
- 忘れ物がないか、自分でロッカーを確認していた。
- 遊びの途中で切り上げる際、納得して片付けていた。
🌸 五領域(遊びと活動)
🩵 健康(身体機能・運動・安全)
Q1. 寒さに負けない体づくり(運動)は?
- 寒くても「外に行こう」と誘い、マラソンや鬼ごっこをしていた。
- 縄跳び(後ろ跳び、あや跳び)に挑戦し、連続で跳べる回数が増えた。
- ドッジボールで、ボールを素早く避けたり力強く投げたりしていた。
- 鉄棒で「逆上がり」や「空中逆上がり」を練習していた。
- 音楽に合わせて体操をし、体を十分にほぐしていた。
Q2. 手指の巧緻性(道具の熟練・伝承遊び)は?
- コマの紐を芯に巻き付け、投げることができるようになった。
- ハサミで複雑な形を切り抜き、制作に活用していた。
- 雑巾を固く絞り、床拭き掃除を力強く行っていた。
- 鉛筆を正しく持ち、筆圧を調整して文字を丁寧に書いていた。
- 折り紙を角と角を合わせて、正確に折っていた。
Q3. 遊具や用具を使った運動能力は?
- 竹馬や一輪車に挑戦し、バランスを取って乗れるようになった。
- 大縄跳び(長縄)に入って、連続で跳び続けていた。
- 跳び箱の開脚跳びに挑戦し、手をついて体を押し出していた。
- ボールつき(ドリブル)を長く続けることができた。
- 登り棒をスルスルと登り、手足の力を使っていた。
Q4. 集団遊びでのルール理解(運動)は?
- ドッジボールの公式ルール(内野・外野・ボール権)を理解して遊んでいた。
- リレー遊びで、チームで作戦を立てて競い合っていた。
- サッカーの試合形式で、ボールをパスし合っていた。
- 「だるまさんが転んだ」のアレンジルールを楽しんでいた。
- 審判役を自分たちで行い、公平にジャッジしようとしていた。
Q5. 危険回避や安全への意識は?
- 友だちとぶつからないように、周りを見て動いていた。
- 遊具の安全な使い方を守り、小さい子にも教えていた。
- 散歩中、交通ルール(右側通行、信号)を自ら守っていた。
- 道具(彫刻刀や針など)の危険性を理解し、慎重に扱っていた。
- 氷で滑りやすい場所を避け、安全に歩いていた。
🧡 人間関係(友だち・協同)
Q1. 伝承遊びを通じた関わりは?
- 「カルタ大会しよう」と企画し、読み手と取り手を交代していた。
- コマ回しで「せーの」と競争し、勝敗を楽しんでいた。
- 羽根つき(風船など)で、ラリーを続けようと協力していた。
- 福笑いをして、できた顔を見てみんなで大笑いしていた。
- 凧揚げで、糸が絡まないように友だちと距離をとっていた。
Q2. グループ活動や話し合いは?
- 卒園制作のテーマについて、グループで話し合っていた。
- 意見が割れた時、多数決やジャンケンで決めようとしていた。
- 友だちの意見を聞き、「それいいね」と認めていた。
- リーダー役がみんなをまとめ、活動を進めていた。
- 協力して一つの作品(壁面など)を作り上げていた。
Q3. トラブルの解決と交渉力は?
- 言い合いになっても、手を出さずに言葉で解決しようとした。
- 第三者が仲裁に入り、「順番にすれば?」と提案していた。
- ルール違反について議論し、新しいルールを作っていた。
- 自分の非を認め、素直に「ごめんね」と謝っていた。
- 相手の気持ちを考え、譲ることができる場面があった。
Q4. 他者への思いやりや共感は?
- 転んだ友だちに駆け寄り、「大丈夫?」と助け起こしていた。
- 縄跳びができない友だちに、コツを教えてあげていた。
- 泣いている子がいると、ティッシュを持ってきて慰めていた。
- 友だちの成功を自分のことのように喜び、拍手を送っていた。
- 年下の子(異年齢)に対して、優しくお世話をしていた。
Q5. 公共心とマナーの意識は?
- みんなで使う玩具や道具を大切にし、整理整頓していた。
- 廊下や階段での歩き方(右側通行)を守っていた。
- 挨拶を自分から進んで行い、場に応じた言葉遣いをしていた。
- 順番待ちの列を守り、割り込みなどを注意していた。
- 落ちているゴミを拾い、環境美化に努めていた。
💛 環境(自然・物・数量)
Q1. 冬の自然(氷・霜)への科学的な関心は?
- バケツに水を張って氷を作り、厚さや溶け方を観察していた。
- 霜柱を踏んで、「ザクザクする」と音や感触を楽しんでいた。
- 吐く息が白くなる理由を、「寒いからかな」と考えていた。
- 冬の星座や月の満ち欠けに興味を持ち、話していた。
- 枯れ木や冬芽を観察し、春の準備をしていることに気づいた。
Q2. 文字や言葉への関心(カルタ・年賀状)は?
- カルタの読み札をスラスラと読み、進行役をしていた。
- 友だちの名前や「あけましておめでとう」を文字で書いていた。
- 街中の看板やカレンダーの漢字に興味を持ち、読み方を聞いていた。
- 五十音表を見て、書き順を確認しながら書いていた。
- しりとり遊びで、語尾の文字を意識して言葉を探していた。
Q3. 数量・図形・時間への関心は?
- トランプや双六で、数の大小や足し算(合わせていくつ)を楽しんでいた。
- 時計を見て、「あと10分で片付け」と時間を計算していた。
- カレンダーを見て、卒園までの日数を数えていた。
- 縄跳びの回数を数え、記録に挑戦していた。
- 図形(立体)に興味を持ち、箱を使って工作をしていた。
Q4. 道具の操作や仕組みへの興味は?
- コマの紐の巻き方を工夫し、長く回る方法を探していた。
- 凧が風を受けて上がる仕組みを、体感して理解していた。
- 磁石や鏡などの性質を利用して遊んでいた。
- 楽器の音が出る仕組みに興味を持ち、観察していた。
- 編み機(リリアン等)を使い、仕組みを理解して編んでいた。
Q5. 整理整頓や物の管理は?
- 玩具の片付け場所を分類し、きれいに並べていた。
- 自分のロッカーの中を整理し、不要なものを処分していた。
- 共有の道具(マーカー、糊)の蓋を閉め、大切に使っていた。
- 落ちているゴミを拾い、分別して捨てていた。
- 掃除の時間に、雑巾がけや掃き掃除を丁寧に行っていた。
💚 言葉(理解・発語・会話)
Q1. 経験したことの報告・説明(時系列)は?
- 「お正月に〇〇へ行って、お年玉をもらったよ」と詳しく話していた。
- 「~だから、~したんだよ」と、理由を筋道立てて話していた。
- トラブルの経緯を、順序立てて客観的に説明していた。
- 相手の質問に対して、的確な答えを返していた。
- 想像したことや夢の話を、物語のように話してくれた。
Q2. 文字の読み書きへの意欲は?
- 自分の名前だけでなく、友だちへの年賀状も宛名を書いていた。
- 絵本を黙読したり、友だちに読み聞かせをしたりしていた。
- カタカナや簡単な漢字に興味を持ち、書こうとしていた。
- わからない字があると、図鑑や表で調べていた。
- お当番表の名前を読んで、誰が当番か確認していた。
Q3. グループでの話し合い(討議)は?
- 司会役になり、「他に意見はありますか?」と進行していた。
- 挙手をして発言し、人の話を遮らずに聞いていた。
- 友だちの意見を聞き、「それもいいね」と受け入れていた。
- 結論が出るまで話し合い、決まったことを守っていた。
- 話し合いの結果を、保育者に報告していた。
Q4. 語彙の豊かさと表現力は?
- 「悔しい」「残念だ」「誇らしい」など、心情を表す言葉を使っていた。
- 敬語(丁寧語)を意識して、園長先生やお客様と話していた。
- ことわざや四字熟語に興味を持ち、意味を知ろうとしていた。
- なぞなぞを出し合い、言葉の意味を考えて遊んでいた。
- しりとりで、「ん」がつかないように言葉を選んでいた。
Q5. 物語の創作と共有は?
- 続きのストーリーを想像し、友だちと劇遊びに発展させていた。
- 自分で絵本を作り、ストーリーを書き込んでいた。
- 素話を聞いて、頭の中でイメージを映像化し楽しんでいた。
- ペープサートや人形劇で、役になりきってセリフを言っていた。
- 経験したことを日記のように話し、聞かせてくれた。
💜 表現(感性・創造)
Q1. 描画(イメージの表現)の充実は?
- お正月の経験(初詣、凧揚げ)を、細部まで丁寧に描いていた。
- 人物の動き(コマを投げるポーズなど)を捉えて描いていた。
- 背景や周りの様子も描き込み、画面全体を使っていた。
- 混色を楽しみ、自分だけの色を作って塗っていた。
- 描いた絵にストーリー性があり、説明しながら描いていた。
Q2. 制作活動(素材の活用・工夫)は?
- 廃材を組み合わせて、オリジナルのすごろくや福笑いを作っていた。
- 折り紙で複雑な形(コマ、箱)を折れるようになった。
- 編み物(マフラー作りなど)に根気強く取り組んでいた。
- 必要な材料を自分で選び、設計図を描いてから作っていた。
- 友だちと協力して、大きな共同制作に取り組んでいた。
Q3. 音楽・リズム表現の豊かさは?
- 曲の雰囲気に合わせて、歌い方や表情を変えていた。
- 楽器(木琴、太鼓など)の合奏で、自分のパートを責任を持って演奏していた。
- 輪唱や合唱に挑戦し、ハーモニーを楽しんでいた。
- 歌詞の意味を理解し、感情を込めて歌っていた。
- 複雑なリズムを手拍子や足踏みで表現していた。
Q4. 劇遊びやごっこ遊びの演出は?
- 役になりきって、抑揚をつけたセリフ回しをしていた。
- 衣装や小道具を自分たちで作り、世界観を表現していた。
- 劇のストーリーをみんなで考え、アレンジしていた。
- 観客を意識して、大きな声や動作で演じていた。
- 効果音や背景を工夫し、劇を盛り上げていた。
Q5. 感動や美しさへの感性は?
- 霜柱が光る様子を見て、「宝石みたい」と感動していた。
- 友だちの作品の工夫した点や良いところを具体的に褒めていた。
- 音楽を聴いて、「元気が出る曲だね」と感じていた。
- 自然の中の不思議さ(氷の結晶など)に驚き、興味を持っていた。
- みんなで力を合わせて成し遂げた瞬間に、喜びを共有していた。



コメント