4歳児クラス(年中)の4月は、新しい名札やクラス名に誇りを感じ、「お兄さん・お姉さんになった」という自覚が行動に表れる時期です。 一方で、担任や部屋が変わったことによる緊張感もあり、甘えや反発が出ることもあります。子どもたちの「頑張りたい気持ち」と「不安な気持ち」の両方を受け止める視点が大切です。
4月の特徴と観察ポイント
クラスにとってどんな時期?
クラス替えや新しい友だちとの出会いがあり、新しい集団としての関係作りが始まります。「年中さんだからできるよね」という期待に応えようと張り切る一方で、まだ新しいルールや生活の流れに戸惑う場面も見られます。
子どもにとってどんな時期?
基本的生活習慣が自立し、身の回りのことを自分なりに工夫して行おうとします。友だちとの関わりでは、特定の仲良しグループができ始めたり、遊びの中で役割を決めたりと、社会性が一段階深まります。
4月に特に観たい発達テーマ
- 進級の自覚と環境適応(新しい部屋、先生、ルールへの慣れ)
- 生活習慣の定着と丁寧さ(畳む、並べる、箸の使用)
- 友だちとの協同の芽生え(ルールのある遊び、貸し借り)
- 春の自然への科学的な興味(図鑑で調べる、観察する)
🌿 養護(生活・情緒)
🩷 生命の保持(食事・睡眠・排泄・健康・着脱)
Q1. 新しい環境での「食事のマナー」や「箸」は?
- 箸を正しく持ち、豆などの小さな食材も掴んで食べていた。
- 姿勢を正し、お椀を持ってこぼさずに食べていた。
- おしゃべりが弾みすぎて手が止まることもあったが、声をかけると再開した。
- 苦手な野菜も、「年中さんだから」と自分から一口食べていた。
- 食後、食器の種類ごとにきれいに重ねて片付けていた。
Q2. 衣服の着脱と「整理整頓」の意識は?
- 脱いだ服をきれいに畳み、ロッカーの決まった場所にしまっていた。
- ボタンやファスナーを素早く留め、身だしなみを整えていた。
- 暑くなると「暑いから脱ぐ」と自分で判断して調節していた。
- 靴の左右を間違えずに履き、かかとをトントンと合わせていた。
- 着替える時間を意識し、遊びに遅れないように急いでいた。
Q3. 排泄(トイレ)の習慣とマナーは?
- 活動の合間に自分からトイレに行き、排泄を済ませていた。
- トイレットペーパーをきれいに折り畳んで使っていた。
- スリッパが乱れていると、次に使う人のために揃えていた。
- 排泄後の手洗いを丁寧に行い、ハンカチで拭いていた。
- 夜のオムツが外れたことを、嬉しそうに報告してくれた。
Q4. 健康管理(手洗い・うがい)の定着は?
- 外から帰ると、言われなくてもガラガラうがいをしていた。
- 指の間や手首まで、石鹸で丁寧に洗っていた。
- 鼻水が出ると自分でかみ、鏡を見て汚れていないか確認していた。
- 汗をかいた後、自分でタオルを使って体を拭いていた。
- 「喉が渇いた」と言って、水分補給をこまめに行っていた。
Q5. 休息(午睡)のとり方と体力の変化は?
- 新しい環境で疲れが見られ、布団に入るとすぐに眠っていた。
- 体力がつき、午睡をしなくても夕方まで元気に過ごせる日があった。
- なかなか寝付けない時も、静かに横になって体を休めていた。
- 目覚めが良く、すぐに布団を畳もうとしていた。
- パジャマの着替えが素早く、競争するように着替えていた。
💚 情緒の安定(安心感・自己発揮)
Q1. 進級したことへの「自覚」と「自信」は?
- 「年中組になったんだよ」と、嬉しそうに話していた。
- 年少クラスの子に対し、優しく声をかけたり手伝ったりしていた。
- 新しい名札を何度も触り、誇らしげな表情を見せていた。
- 難しいことにも「できるよ!」と意欲的に挑戦していた。
- 失敗しても「次は頑張る」と前向きな言葉が出ていた。
Q2. 新しい担任や環境への安心感は?
- 困ったことがあると、すぐに新しい担任に相談に来ていた。
- 「先生、見て!」と、発見や作品を報告しに来ていた。
- 朝の受け入れ時、笑顔で挨拶をして部屋に入っていった。
- 緊張している様子だったが、好きな遊びを見つけると表情が和らいだ。
- 甘えたい時にスキンシップを求め、安心すると離れていった。
Q3. 自分の気持ち(葛藤)のコントロールは?
- 友だちと意見が食い違った時、手を出さずに言葉で言い返していた。
- 遊びを切り上げる際、「もっとやりたい」と言いつつも片付け始めた。
- 悔し涙を流したが、友だちに慰められると落ち着いた。
- 順番待ちでイライラしていたが、ルールを思い出して我慢していた。
- 自分の非を認め、「ごめんね」と謝ることができた。
Q4. 友だち関係の変化と広がりは?
- 特定の仲良しグループができ、いつも一緒に遊んでいた。
- 一人でいる子に「入れて」と声をかけ、仲間に入れようとしていた。
- 遊びのイメージが合わず揉めることもあったが、話し合おうとしていた。
- 友だちの成功を「すごいね」と認め、一緒に喜んでいた。
- 困っている友だちがいると、保育者に知らせていた。
Q5. トラブル時の対応力は?
- 玩具の取り合いで、ジャンケンや「かして」「あとで」で解決しようとした。
- 強い口調で言い合いになったが、保育者の仲立ちで仲直りした。
- 自分の気持ちだけでなく、相手の気持ちも聞こうとしていた。
- 「先生に言いつける」と言わず、自分たちで解決しようとする姿があった。
- 解決した後、ケロっとして一緒に遊び始めていた。
🌸 五領域(遊びと活動)
🩵 健康(身体機能・運動・安全)
Q1. 全身運動(走る・跳ぶ・登る)の向上は?
- 園庭をスピードを上げて走り、急な方向転換もスムーズにできていた。
- ジャングルジムや登り棒など、少し高い遊具にも挑戦していた。
- ケンケン(片足跳び)で長く進むことができていた。
- ボールを投げたり蹴ったりする動作が、力強くなった。
- 音楽に合わせて、スキップやギャロップを楽しんでいた。
Q2. 手指の巧緻性(道具の操作)は?
- ハサミを使って、線に沿って丸や四角を切り抜いていた。
- 糊の量を加減し、端まできれいに塗って貼っていた。
- 粘土で細かいパーツ(目や口)を作り、表現していた。
- 折り紙を角と角を合わせて、丁寧に折ろうとしていた。
- お弁当包みを結んだり、解いたりすることができた。
Q3. 集団遊びのルール理解(運動)は?
- 鬼ごっこのルールを理解し、タッチされたら鬼を交代していた。
- 「だるまさんが転んだ」で、ピタッと止まる動作を楽しんでいた。
- リレー遊びで、バトンを受け取って走る流れを理解していた。
- 整列の合図で、前にならえをして並ぶことができた。
- 順番を守り、友だちを抜かさずに待っていた。
Q4. 危険回避と安全への意識は?
- 友だちとぶつからないように、周りを見て走っていた。
- 遊具の正しい使い方を守り、危険なことをしている子に注意していた。
- 散歩中、道路の端を歩き、横断歩道で手を挙げていた。
- ハサミを持ち歩く時、刃を閉じて持っていた。
- 高いところから飛び降りる際、安全な場所か確認していた。
Q5. 体力の向上と活動量は?
- 広い公園で長時間走り回っても、疲れを見せなかった。
- 散歩で長い距離を歩ききり、「まだ歩けるよ」と言っていた。
- 鉄棒にぶら下がり、長い時間耐えることができていた。
- 息を切らしながらも、何度も繰り返し鬼ごっこをしていた。
- 遊び疲れると、自分でベンチに座って休憩していた。
🧡 人間関係(友だち・協同)
Q1. 友だちとの協同的な遊びは?
- 砂場で協力して大きな川や山を作っていた。
- ブロックで一つの街や基地を作り、イメージを共有していた。
- ごっこ遊びで、「ここはお店ね」「私はお客さん」と設定を決めていた。
- 「一緒に作ろう」と誘い合い、一つの作品を完成させていた。
- 長縄跳び(へび)を友だちと持ち、回して遊んでいた。
Q2. 言葉によるコミュニケーションは?
- 「~しようよ」「いいよ」と、遊びの相談をしていた。
- 自分の意見を言うだけでなく、友だちの話も聞こうとしていた。
- 遊びのルールを友だち同士で確認し合っていた。
- 「ありがとう」「ごめんね」が、状況に合わせて自然に出ていた。
- 秘密話を楽しみ、友だちとの親密さを深めていた。
Q3. 集団の中での役割意識は?
- お当番活動(挨拶や配膳)を、張り切って行っていた。
- 片付けの時間に、みんなで協力して重いものを運んでいた。
- グループごとの活動で、友だちをリードしようとする姿があった。
- 小さい子(年少以下)に対して、お世話をしようとしていた。
- 先生の話を聞く時、お喋りしている子に「静かに」と教えていた。
Q4. 競争心と仲間意識は?
- かけっこで負けて悔しがり、「次は勝つ」と言っていた。
- チーム対抗のゲームで、「頑張れ!」と応援していた。
- 勝ったチームを見て、「すごいね」と認めていた。
- 「みんなでやると楽しいね」と、共感し合っていた。
- 友だちが休んでいると、「どうしたのかな」と心配していた。
Q5. 新しい友だちへの関わりは?
- 新入園児や新しいクラスの友だちに、「名前なんていうの?」と聞いていた。
- 玩具を貸してあげたり、遊び方を教えてあげたりしていた。
- 手を繋いで、ロッカーやトイレの場所を案内していた。
- 最初は遠巻きに見ていたが、遊びを通して打ち解けていた。
- 「一緒に遊ぼう」と声をかけ、仲間に入れていた。
💛 環境(自然・物・数量)
Q1. 春の自然(植物・虫)への興味・探究心は?
- 園庭でダンゴムシを見つけ、オスとメスの違いを議論していた。
- チューリップやタンポポの種類や色の違いに気づいていた。
- 図鑑を持ってきて、見つけた虫や花の名前を調べていた。
- 桜の花びらを集め、色水遊びやままごとに使っていた。
- チョウチョの幼虫を見つけ、飼育ケースに入れて観察していた。
Q2. 数量・形・時間への関心は?
- 時計を見て、「長い針が6になったら片付け」と理解していた。
- グループの人数を数え、「あと一人足りない」と言っていた。
- 「丸い形を探そう」と言って、園内の丸いものを集めていた。
- 積み木を数えながら積み上げ、高さを競っていた。
- カレンダーを見て、「今日は〇曜日だね」と確認していた。
Q3. 道具の仕組みや科学的な興味は?
- 磁石を持って歩き、くっつく場所とくっつかない場所を探していた。
- 鏡を使って、光の反射(キラキラ)を楽しんでいた。
- 砂の湿り具合によって、固まりやすさが違うことに気づいていた。
- 楽器の鳴らし方を工夫し、音色の違いを試していた。
- 風車の回る向きや速さを、風の強さで変えて遊んでいた。
Q4. 整理整頓や公共心は?
- 玩具の種類や場所を覚え、きれいに並べて片付けていた。
- 落ちているゴミを見つけ、ゴミ箱に捨てていた。
- 公園の水道を使い終わった後、しっかりと止めていた。
- 絵本を大切に扱い、破れているところを見つけると報告していた。
- 共有の玩具を独占せず、順番に使おうとしていた。
Q5. 栽培や飼育への関心は?
- 夏野菜の苗植えに興味を持ち、土や苗を触っていた。
- 「大きくなあれ」と声をかけながら、水やりをしていた。
- 金魚やカメの餌やりを、当番活動として行っていた。
- 植物の生長に気づき、「葉っぱが増えた」と喜んでいた。
- 生き物を優しく扱うことを、経験を通して学んでいた。
💚 言葉(理解・発語・会話)
Q1. 会話(説明・報告)の力は?
- 「昨日、〇〇に行って、△△を見たよ」と、時系列で話していた。
- 遊びのルールや状況を、保育者や友だちに説明していた。
- 「だって〇〇だから」と、理由をつけて話していた。
- 自分の気持ちだけでなく、相手の気持ちも言葉にしようとしていた。
- 想像したことや夢の話を、物語のように話してくれた。
Q2. 言葉の理解力(指示・物語)は?
- 複数の指示(「帽子を被って、水筒を持って、並んでね」)を理解していた。
- 長めの絵本や紙芝居を集中して聞き、内容を理解していた。
- クイズやなぞなぞに興味を持ち、答えを考えていた。
- 「どうしてこうなったと思う?」という質問に、自分なりに答えていた。
- 約束事やマナーについての話を、真剣に聞いていた。
Q3. 文字や記号への関心は?
- 自分の名前のひらがなを読み、持ち物を探していた。
- 絵本の中の知っている文字を指差し、読もうとしていた。
- 友だちの名前の文字に興味を持ち、「これ〇〇ちゃんの字?」と聞いていた。
- 街中の看板や標識の意味を知りたがっていた。
- お手紙ごっこで、文字のようなものを書いていた。
Q4. 言葉遊びやしりとりは?
- しりとり遊びのルールを理解し、言葉を繋げて楽しんでいた。
- 「あ」のつく言葉集めなど、言葉遊びをしていた。
- 面白い響きの言葉や、早口言葉を繰り返し言っていた。
- 歌の歌詞を替え歌にして、友だちと笑い合っていた。
- 反対言葉(大きい・小さい等)を理解し、使っていた。
Q5. 挨拶や丁寧な言葉遣いは?
- 「おはようございます」「さようなら」と、相手を見て挨拶していた。
- 「ありがとうございます」「ごめんなさい」が自然に出ていた。
- 職員室に入る時、「失礼します」と言おうとしていた。
- 目上の人に対して、丁寧な言葉を使おうとする姿が見られた。
- 食事の挨拶を、みんなと声を合わせて行っていた。
💜 表現(感性・創造)
Q1. 描画(表現力)の向上は?
- 顔から胴体、手足が出る人間らしい絵(頭足人からの卒業)を描いていた。
- 地面や空を描き、空間を意識した絵になってきた。
- 経験したこと(散歩、給食)を、思い出して描いていた。
- 好きな色を選び、画面いっぱいに力強く塗っていた。
- 描いた絵にストーリーがあり、説明しながら描いていた。
Q2. 制作活動(工夫・構成)は?
- 廃材(空き箱など)を組み合わせて、立体の作品を作っていた。
- 折り紙を角と角を合わせて折り、チューリップなどを作っていた。
- 糊やセロハンテープを適切に使い、パーツを組み立てていた。
- ハサミを使って、自分のイメージした形に切ろうとしていた。
- 友だちと協力して、大きなこいのぼりを作っていた。
Q3. 音楽・リズム表現の豊かさは?
- 曲の雰囲気に合わせて、スキップしたりゆっくり歩いたりしていた。
- 歌詞を覚えて、大きな声で元気よく歌っていた。
- 楽器(カスタネット、鈴)をリズムよく叩き、合奏を楽しんでいた。
- 友だちと手を繋ぎ、円になって回るダンスを喜んでいた。
- 即興で歌を作り、楽しそうに口ずさんでいた。
Q4. ごっこ遊びの世界観は?
- 「お店屋さん」「お客さん」になりきり、言葉のやり取りを楽しんでいた。
- ヒーローやプリンセスになりきり、ポーズやセリフを決めていた。
- 積み木やブロックで見立てたものを使い、遊びを展開していた。
- 絵本の世界を再現し、劇ごっこのように遊んでいた。
- 「遠足ごっこ」で、リュックを背負って園内を歩いていた。
Q5. 感動や発見の表現は?
- きれいな花や珍しい虫を見つけ、「わあ、すごい!」と歓声を上げていた。
- 春の風を感じて、「気持ちいいね」と友だちと言い合っていた。
- 友だちの作品を見て、「上手だね」「かっこいいね」と褒めていた。
- できた喜びを全身で表現し、自信に満ちた顔をしていた。
- 面白いことを見つけ、友だちと顔を見合わせて大笑いしていた。



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