5歳児クラス(年長)の9月は、プール遊びが終わり、運動会や遠足といった秋の行事に向けて活動がシフトする「動の時期」です。 「勝ちたい」「上手になりたい」という目標を持ち、友だちと励まし合いながら挑戦する姿や、自分たちで作戦を立てて遊びを進める姿など、集団としての成熟が見られます。
もくじ
9月の特徴と観察ポイント
クラスにとってどんな時期?
運動会に向けた取り組みが本格化し、リレーや組体操、パラバルーンなど、友だちと協力しなければできない活動が増えます。個々の力を発揮するだけでなく、チームやクラス全体で一つの目標に向かう団結力が育つ時期です。
子どもにとってどんな時期?
夏の経験を経て体力がつき、走る・跳ぶ・支えるなどの運動機能が向上します。勝負にこだわるようになり、負けた悔しさをバネに練習したり、友だちと作戦会議をしたりする姿が見られます。また、秋の虫や植物の変化にも敏感になり、探索活動も深まります。
9月に特に観たい発達テーマ
- 運動機能の向上と調整力(リレーのバトンパス、隊形移動)
- 協同性と競争心(チーム意識、作戦、励まし合い)
- 秋の自然への関心(虫の観察、季節の変わり目)
- 見通しを持った行動(練習と遊びの切り替え、準備)
🌿 養護(生活・情緒)
🩷 生命の保持(食事・睡眠・排泄・健康・着脱)
Q1. 夏の疲れや、食欲の変化はありますか?
- 運動量が増えてお腹が空き、「大盛りにして」とリクエストしていた。
- 練習の後は少し疲れが見えたが、食事をとると回復していた。
- 苦手な食材も、「力がつかないから」と意識して食べていた。
- 食事中の姿勢(足裏を床につける、背筋)を保ち、マナーを守っていた。
- 友だちと楽しく会話しながらも、時間内に食べ終わっていた。
Q2. 健康管理(汗・衛生・安全)への意識は?
- 練習の後、「汗かいたから着替える」と自分で判断していた。
- 手洗い・うがいを丁寧に行い、風邪予防に努めていた。
- 爪が伸びていることに気づき、整える必要性を理解していた。
- 怪我をした時、すぐに保育者に報告し、処置を受けていた。
- 水分補給のタイミングを自分で判断し、水筒のお茶を飲んでいた。
Q3. 休息(午睡)のとり方と体力の回復は?
- たくさん体を動かした日は、布団に入るとすぐに熟睡していた。
- 自分の布団を敷き、枕の位置などを整えていた。
- なかなか寝付けない時も、体を横にして静かに休息していた。
- 目覚めが良く、自分で布団を畳んで片付けていた。
- 「疲れた」と言って、遊びの合間にベンチで休憩していた。
Q4. 排泄(トイレ)の自立と生活リズムは?
- 活動の合間に自分からトイレに行き、次の活動に備えていた。
- 和式トイレの使い方(しゃがむ位置など)が定着していた。
- 排泄後、トイレットペーパーをきれいに畳んで使っていた。
- スリッパが乱れていると、次に使う人のために揃えていた。
- ズボンの裾が濡れないように、まくり上げていた。
Q5. 衣服の調節(運動着・気候)は?
- 運動しやすい服装に着替え、脱いだ服をきれいに畳んでいた。
- 「暑い」と言って上着を脱ぎ、体温調節をしていた。
- シャツの裾が出ていることに気づき、ズボンに入れていた。
- 靴の左右を確認し、かかとをトントンと合わせて履いていた。
- 運動会の衣装を自分で着て、友だちと見せ合っていた。
💚 情緒の安定(安心感・自己発揮)
Q1. 運動会等の行事への意欲・自信は?
- 「絶対勝つぞ!」と、リレーや競技に強い意欲を見せていた。
- 難しい技に挑戦し、できた時に「見て!」と自信に満ちた顔をしていた。
- 失敗して悔し涙を流したが、「もう一回やる」と立ち直った。
- 友だちに応援され、照れながらも嬉しそうに張り切っていた。
- 自分の役割(始めの言葉など)に責任を持ち、練習していた。
Q2. 葛藤のコントロール(勝ち負け)は?
- 負けて悔しがっていたが、相手チームに拍手を送ることができた。
- 「次はこうしよう」と、気持ちを切り替えて作戦を立てていた。
- 思い通りにいかず怒ったが、深呼吸をして落ち着こうとしていた。
- 友だちと意見がぶつかった時、手を出さずに話し合おうとしていた。
- 自分の失敗を認め、「ごめんね」と謝ることができた。
Q3. 友だち関係での安心感と絆は?
- チームの仲間と円陣を組み、団結力を高めていた。
- 困っている友だちに「大丈夫?」と声をかけ、助けようとしていた。
- 自分の弱みや悩みを、信頼できる友だちに相談していた。
- 友だちの成功を自分のことのように喜び、抱き合っていた。
- 仲良しグループだけでなく、クラス全体に関わろうとしていた。
Q4. 保育者との関わり(信頼と自立)は?
- 困った時はすぐに保育者に相談し、アドバイスを求めていた。
- 嬉しい出来事を、「先生聞いて!」と真っ先に報告に来た。
- 新しいことに挑戦する時、保育者に見守りを求めていた。
- 叱られた後も、素直に謝って関係を修復していた。
- 保育者を信頼し、対等な立場で会話を楽しんでいた。
Q5. 見通しを持った行動と安定感は?
- 今日の予定を把握し、「次は〇〇だね」と友だちに伝えていた。
- 遊びの切り替え時に、「続きは明日」と納得して片付けた。
- 興奮しすぎた時に、自分で気づいてクールダウンしていた。
- 落ち着いて話を聞き、状況を判断して動いていた。
- 自分の役割を理解し、責任を持って行動していた。
🌸 五領域(遊びと活動)
🩵 健康(身体機能・運動・安全)
Q1. 走る・跳ぶなどの運動能力の向上は?
- 腕を大きく振って力強く走り、コーナーもスピードを落とさず曲がれていた。
- 縄跳び(走り跳び)ができるようになり、リレーのように走っていた。
- 片足立ちでバランスを取り、ケンケンパを楽しんでいた。
- 高いところから飛び降り、膝を使って柔らかく着地していた。
- スキップやギャロップのリズムで、隊形移動をしていた。
Q2. 遊具や用具を使った運動は?
- 鉄棒で「逆上がり」に挑戦し、足の振り上げを意識していた。
- ジャングルジムの頂上まで登り、遠くの景色を楽しんでいた。
- 竹馬や一輪車に挑戦し、バランスを取って進もうとしていた。
- 登り棒をスルスルと登り、手足の力を使っていた。
- 跳び箱に手をつき、飛び越えようと踏み切っていた。
Q3. 手指の巧緻性(道具の操作)は?
- ハサミで複雑な曲線を切り、制作に活用していた。
- 雑巾を固く絞り、床拭き掃除を行っていた。
- 紐結び(蝶結び)ができ、鉢巻やエプロンを自分で結んでいた。
- 細かいビーズを糸に通し、アクセサリーを作っていた。
- 鉛筆を正しく持ち、筆圧を調整して文字を書いていた。
Q4. 集団遊びでのルール理解(運動)は?
- リレーのバトンパスで、リードしながら受け取る工夫をしていた。
- ドッジボールのルール(内野・外野)を理解し、ゲームを進めていた。
- 玉入れで、カゴを狙って玉を投げ入れていた。
- 綱引きで、合図に合わせてチームで力を合わせて引いていた。
- 「氷鬼」で、鬼の動きを見ながら助けに行っていた。
Q5. 危険回避や安全への意識は?
- 友だちとぶつからないように、周りを見て走っていた。
- 遊具の正しい使い方を守り、危険なことをしている子に注意していた。
- 「危ない」と声をかけると、すぐに動作を止めていた。
- 散歩中、交通ルール(右側通行、横断歩道)を自ら守っていた。
- 転んだ時、すぐに手をついて顔を守っていた。
🧡 人間関係(友だち・協同)
Q1. 協同的な活動(チームワーク)は?
- チーム対抗のゲームで、作戦を立てて協力していた。
- パラバルーンや組体操で、友だちと息を合わせて動いていた。
- グループで相談して、リレーの走る順番を決めていた。
- 意見が割れた時、話し合いで解決しようとしていた。
- 「一緒に頑張ろう」と声をかけ合い、励まし合っていた。
Q2. リーダーシップとフォロワーシップは?
- 遊びの中心になり、みんなに指示を出したりまとめたりしていた。
- リーダーの提案に協力し、自分の役割を果たしていた。
- 困っている友だちに気づき、助け舟を出していた。
- 集団遊びで、ルールの確認や審判役を自分たちでしていた。
- 当番活動で、みんなの前で号令をかけていた。
Q3. 競争心と仲間意識は?
- リレーで「勝ちたい」という強い気持ちを見せていた。
- 負けて悔しがり、「次は絶対勝つ」と闘志を燃やしていた。
- 勝ったチームを称え、拍手を送ることができていた。
- チームの仲間を全力で応援し、一体感を感じていた。
- 「みんなで力を合わせたからできた」と、達成感を共有していた。
Q4. 他者への思いやりや共感は?
- 転んだ友だちに駆け寄り、「大丈夫?」と声をかけていた。
- 年下の子(3歳児以下)に対し、優しく接したり手伝ったりしていた。
- 友だちが褒められているのを見て、一緒に喜んでいた。
- 苦手なことがある友だちを応援し、支えようとしていた。
- 相手の痛みが分かり、乱暴なことをしなくなっていた。
Q5. 公共心とマナーの意識は?
- みんなで使う玩具や道具を大切にし、整理整頓していた。
- 廊下や階段での歩き方(右側通行)を守っていた。
- 挨拶を自分から進んで行い、場に応じた言葉遣いをしていた。
- 順番待ちの列を守り、割り込みなどを注意していた。
- 落ちているゴミを拾い、環境美化に努めていた。
💛 環境(自然・物・数量)
Q1. 秋の自然(虫・植物)への探究心は?
- バッタやコオロギを捕まえ、図鑑で種類やエサを調べていた。
- ドングリや松ぼっくりを拾い、大きさや形の違いを観察していた。
- 落ち葉の色の変化(緑→赤・黄)に気づき、言葉にしていた。
- 秋の空(うろこ雲など)を見て、天気の変化を予測していた。
- トンボの飛ぶ高さを観察し、季節の移ろいを感じていた。
Q2. 数量・図形・時間への関心は?
- 時計を見て、「あと5分で片付けだね」と見通しを持っていた。
- 得点板を見て、「あと何点で勝てる」と計算していた。
- カレンダーを見て、運動会までの日数を数えていた。
- 隊形移動の際、円や直線の形を意識して動いていた。
- 物の長さを測ったり、重さを比べたりしていた。
Q3. 科学的な興味(観察・実験)は?
- 影踏み遊びをして、時間による影の向きや長さの変化に気づいていた。
- 風車を作り、風の力で回る様子を観察していた。
- 虫眼鏡を使って、小さな花や虫を拡大して見ていた。
- 砂の湿り具合による固まり方の違いに気づいていた。
- 転がるものと転がらないものを探し、理由を考えていた。
Q4. 道具の操作と工夫は?
- 運動会の小道具を、自分たちで工夫して作っていた。
- 楽器の構造に興味を持ち、音の出る仕組みを考えていた。
- 磁石を使って、砂場の砂鉄を集めていた。
- 壊れた玩具を、テープなどで修理しようとしていた。
- 廃材を使って、動くおもちゃを発明していた。
Q5. 整理整頓や物の管理は?
- 玩具の片付け場所を分類し、きれいに並べていた。
- 自分のロッカーの中を整理し、持ち物を大切に扱っていた。
- グループで使う道具(マーカーなど)の数を確認し、管理していた。
- 落ちているゴミを見つけ、分別して捨てていた。
- 友だちが片付けていないと、手伝ってあげていた。
💚 言葉(理解・発語・会話)
Q1. 論理的な会話(理由・説明・交渉)は?
- 「〇〇だから、こうしたいと思う」と、筋道立てて意見を言っていた。
- 作戦会議で、「こうしたら速く走れるよ」と提案していた。
- トラブルの経緯を、第三者に分かるように説明していた。
- 「もし雨が降ったら、こうしよう」と、仮定の話をしていた。
- 相手の意見を聞き、「なるほど」と理解を示していた。
Q2. グループでの話し合い(討議)は?
- 司会役になり、友だちの発言を促していた。
- 挙手をして発言し、人の話を遮らずに聞いていた。
- 少数意見にも耳を傾け、取り入れようとしていた。
- 結論が出るまで、粘り強く話し合っていた。
- 決まったことを守り、協力して実行していた。
Q3. 語彙の豊かさと表現力は?
- 「悔しい」「誇らしい」など、複雑な感情を表す言葉を使っていた。
- オノマトペや比喩を使って、生き生きと表現していた。
- 敬語(丁寧語)を意識して、目上の人と話していた。
- しりとりで、「ん」がつかないように言葉を選んでいた。
- 絵本に出てくる難しい言葉の意味を質問していた。
Q4. 文字の読み書きへの意欲は?
- 自分の名前だけでなく、友だちへの手紙もひらがなで書いていた。
- 絵本をスラスラと読み、友だちに読み聞かせをしていた。
- 運動会のプログラムの文字に興味を持ち、読もうとしていた。
- 五十音表を見て、書き順を確認しながら書いていた。
- 街中の看板やポスターの漢字に興味を持っていた。
Q5. 物語の創作と共有は?
- 経験したことを日記のように話し、聞かせてくれた。
- 続きのストーリーを想像し、友だちと語り合っていた。
- 自分たちで作ったお話を、劇にして演じていた。
- 登場人物になりきって、感情を込めてセリフを言っていた。
- 素話を聞いて、頭の中でイメージを映像化していた。
💜 表現(感性・創造)
Q1. 描画(観察画・構成画)の表現力は?
- 運動会の様子を、人物の動きや表情まで細かく描いていた。
- 観察した虫や植物を、特徴を捉えてリアルに描いていた。
- 遠近法や重なりを意識して、空間を描いていた。
- 自分の感じたことや想像したことを、自由に表現していた。
- 共同画で、友だちと全体のバランスを考えて描いていた。
Q2. 制作活動(素材の活用・工夫)は?
- 様々な廃材を組み合わせ、応援グッズなどを作っていた。
- 自然物(ドングリ、枝)を使い、リースやケーキを作っていた。
- 色の配色を考え、美しく仕上げようとしていた。
- 必要な材料を自分で選び、工夫して使っていた。
- 壊れにくいように、接着方法を考えていた。
Q3. 音楽・リズム表現の豊かさは?
- 曲のイメージに合わせて、即興でダンスを考えていた。
- 楽器(木琴、太鼓など)の音階やリズムに関心を持っていた。
- 輪唱や合奏に挑戦し、友だちと音を合わせる楽しさを感じていた。
- 歌詞の意味を理解し、感情を込めて歌っていた。
- 手拍子や足踏みで、複雑なリズムを刻んでいた。
Q4. 劇遊びや身体表現は?
- 応援団になりきって、大きな声と振り付けで応援していた。
- 動物や忍者の動きを、体全体で表現していた。
- 友だちとポーズを合わせ、組体操の技を決めていた。
- 衣装や小道具を身につけ、ごっこ遊びを盛り上げていた。
- 曲の雰囲気に合わせて、表情を変えて踊っていた。
Q5. 感動や美しさへの感性は?
- 秋の空を見て、「高いね」「雲がきれい」と感動していた。
- 友だちの作品の素晴らしい点を具体的に褒めていた。
- 音楽を聴いて、「元気が出る曲だね」と感じていた。
- 自然の中の不思議さ(影、風など)に驚き、興味を持っていた。
- みんなで力を合わせてできた時の喜びを、全身で表現していた。



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