4歳児クラス(年中)の1月は、新しい年を迎え、進級への意識が高まり始める時期です。
年末年始の経験を言葉で伝え合ったり、カルタやコマ回しなどの伝承遊びを通して友だちと競い合ったりする中で、心身ともにたくましさが増していきます。
もくじ
1月の特徴と観察ポイント
クラスにとってどんな時期?
休み明けの生活リズムを整えつつ、お正月遊びを通してクラスの活気が戻ってきます。カルタや双六などのルールのある遊びが盛り上がり、小グループでの活動が充実します。集団としての決まり事を再確認し、進級に向けた意識付けを行っていく時期です。
子どもにとってどんな時期?
寒さの中でも元気に戸外で遊び、体力や抵抗力がつきます。手先が器用になり、コマの紐を巻くなどの難しい動作にも挑戦します。勝負にこだわる姿が見られ、負けた悔しさをバネに努力したり、友だちを応援したりする心の成長が見られます。
1月に特に観たい発達テーマ
- 冬の健康管理と自立(手洗い・うがい、衣服の始末)
- 伝承遊びへの挑戦と習得(コマ、カルタ、凧揚げ)
- 社会性の深まり(ルールの遵守、勝敗の受容)
- 文字や数への関心(カルタの文字、双六の数)
🌿 養護(生活・情緒)
🩷 生命の保持(食事・睡眠・排泄・健康・着脱)
Q1. 寒さに応じた衣服の調節と管理は?
- 「暑くなってきた」と言って、遊びの合間に上着を脱いでいた。
- 脱いだ服を丁寧に畳み、崩れないようにロッカーに入れていた。
- トレーナーの袖をまくり、手洗いや活動の準備をしていた。
- ファスナーの噛み合わせを自分で行い、一番上まで上げていた。
- 肌着がはみ出ていることに気づき、自分でズボンに入れていた。
Q2. 冬の衛生習慣(手洗い・うがい)の徹底は?
- 水が冷たくても、石鹸を使って指の間まで洗っていた。
- 「ガラガラうがい」を習慣にし、風邪予防に努めていた。
- 鼻水が出ると自分でかみ、鏡を見て顔を拭いていた。
- 咳が出る時、手で口を覆ったり、顔を背けたりしていた。
- 食事の前に、テーブルを布巾で拭く手伝いをしていた。
Q3. 食事のマナーと箸の使い方は?
- 箸を正しく持ち、豆などの小さな食材もつまんでいた。
- 姿勢を正し、お椀を持ってこぼさずに食べていた。
- 苦手な野菜も、「元気が出ないから」と言って食べていた。
- 口に物が入っている時は手で合図し、飲み込んでから話していた。
- 食後、食器を種類ごとにきれいに重ねて片付けていた。
Q4. 排泄(トイレ)の自立と清潔は?
- 遊びのキリが良い時に、自分からトイレに行っていた。
- 排泄後の始末(拭く、流す、着衣)を一人で完璧に行っていた。
- 和式トイレでも、衣服を汚さずに排泄できていた。
- スリッパが乱れていると、手で揃えていた。
- 排泄後の手洗いを丁寧に行い、ハンカチで拭いていた。
Q5. 睡眠(午睡)の質と生活リズムは?
- 戸外でたくさん動いた日は、布団に入るとすぐに眠っていた。
- 休み明けでリズムが崩れていたが、数日で元の生活に戻った。
- 咳が出る時は横向きになるなど、自分で体勢を調整していた。
- 目覚めが良く、自分で布団を畳んで片付けていた。
- 静かに休息をとる習慣がつき、眠れなくても横になっていた。
💚 情緒の安定(安心感・自己発揮)
Q1. 休み明けの登園や友だちへの反応は?
- 「あけましておめでとう」と、元気よく挨拶をして登園した。
- 久しぶりに友だちに会い、照れくさそうにしながらも喜んでいた。
- 休み中の出来事を保育者に話し、安心感を得ていた。
- 友だちの輪に入り、すぐに遊び始めることができた。
- 少し不安そうにしていたが、活動が始まると笑顔になった。
Q2. 勝敗のある遊びでの感情コントロールは?
- カルタで負けて悔し涙を流したが、「次は勝つ」と切り替えた。
- 勝った時に大喜びし、自信に満ちた表情をしていた。
- 負けた友だちを「惜しかったね」と励ましていた。
- ルールを守って遊ぶ楽しさを感じ、夢中になっていた。
- 自分の思い通りにならなくても、我慢する姿が見られた。
Q3. 自分の気持ち(主張・葛藤)の表現は?
- 友だちと意見がぶつかった時、言葉で自分の思いを伝えていた。
- 納得できないことがあると、「どうして?」と理由を聞いていた。
- 遊びを中断されると怒ったが、時計を見て気持ちを整理した。
- 困った時に「手伝って」と素直に助けを求めることができた。
- 自分の非を認め、「ごめんね」と謝ることができた。
Q4. 保育者との信頼関係(共有)は?
- コマが回せるようになったことを、一番に報告に来た。
- 遊びの中で発見したことを、「先生、見て!」と教えてくれた。
- 甘えたい時はスキンシップを求め、安心すると離れていった。
- 叱られた後も、理由を理解して納得していた。
- 進級の話を聞き、期待と不安を保育者に話していた。
Q5. 自信と意欲(挑戦)は?
- 難しいことにも「やってみる!」と意欲的に挑戦していた。
- 友だちに教えてあげることで、自信を深めていた。
- 失敗しても諦めずに、何度も繰り返し練習していた。
- 係活動(お当番)を責任を持って果たしていた。
- みんなの前で発表する時に、堂々としていた。
🌸 五領域(遊びと活動)
🩵 健康(身体機能・運動・安全)
Q1. 寒さに負けない体づくり(運動)は?
- 寒くても「外に行こう」と誘い、元気に走り回っていた。
- 縄跳び(前跳び)に挑戦し、連続で跳べる回数が増えた。
- 鬼ごっこで、息を切らすほど全力で走り、体を温めていた。
- 音楽に合わせて体操をし、体を十分にほぐしていた。
- マラソン遊びに意欲的に取り組み、最後まで走りきっていた。
Q2. 手指の巧緻性(コマ・制作)は?
- コマの紐を芯に巻き付け、投げることができるようになった。
- ハサミで細かい形を切り抜き、制作に活用していた。
- 凧の紐を結んだり、調整したりしようとしていた。
- 折り紙を角と角を合わせて、丁寧に折っていた。
- 雑巾を絞る時、手首をひねって固く絞っていた。
Q3. 遊具や用具を使った運動は?
- 鉄棒で「前回り」や「逆上がり」に繰り返し挑戦していた。
- ボールをドリブルしながら進むことができていた。
- 竹馬やポックリに挑戦し、バランスを取って歩こうとしていた。
- 登り棒に手足でしがみつき、上まで登ることができた。
- 長縄跳び(大縄)のタイミングを見て、入り込んでいた。
Q4. 集団遊びでのルール理解(運動)は?
- ドッジボールのルール(内野・外野)を理解し、逃げていた。
- 「だるまさんが転んだ」で、鬼の動きに合わせて止まっていた。
- リレー遊びで、バトンを落とさずに次の人に渡していた。
- 鬼ごっこでタッチされたら鬼を交代し、ルールを守っていた。
- 順番を守り、友だちを抜かさずに待っていた。
Q5. 危険回避や安全への意識は?
- ポケットに手を入れたまま走らないように気をつけていた。
- 友だちとぶつからないように、周りを見て走っていた。
- 遊具の正しい使い方を守り、安全に遊んでいた。
- 「危ない」と声をかけると、すぐに動作を止めていた。
- 転んだ時、手をついて顔を守ることができた。
🧡 人間関係(友だち・協同)
Q1. 伝承遊びを通じた関わりは?
- 「カルタしよう」と友だちを誘い、ルールを守って遊んでいた。
- コマ回し大会をし、誰が長く回るか競い合っていた。
- 福笑いをして、変な顔ができたことを友だちと笑い合っていた。
- 凧揚げで、糸が絡まないように友だちと距離をとっていた。
- 羽根つき(風船)で、ラリーを続けようと協力していた。
Q2. トラブルの解決と交渉力は?
- カルタの同時手つきで揉めたが、ジャンケンで解決した。
- 「貸して」「あとでね」と言葉で交渉していた。
- 自分の気持ちを伝えつつ、相手の話も聞こうとしていた。
- 順番抜かしをした子に、「並んで」と注意していた。
- 保育者に頼らず、自分たちで解決しようとする姿が見られた。
Q3. ごっこ遊びの展開と役割は?
- お正月ごっこ(初詣、おせち料理)を楽しんでいた。
- お店屋さんごっこで、店員と客の言葉のやり取りを楽しんでいた。
- 郵便屋さんごっこで、年賀状を配達する真似をしていた。
- 家族ごっこで、それぞれの役割になりきって遊んでいた。
- 友だちの提案を受け入れ、遊びのストーリーを発展させていた。
Q4. 集団での役割意識は?
- 給食当番やお片付け当番を、張り切って行っていた。
- グループ活動で、リーダーシップをとる子がいた。
- みんなの前で名前を呼ばれると、大きな声で返事をしていた。
- 先生の話を聞く時、お喋りしている子に「静かに」と教えていた。
- 困っている友だちに、やり方を教えてあげていた。
Q5. 競争心と仲間意識は?
- かけっこやコマ回しで「一番になりたい」と競争心を見せていた。
- 負けて悔しがり、「次は勝つ」と意欲を燃やしていた。
- チーム対抗戦で、「頑張れ!」と友だちを応援していた。
- 勝ったチームを見て、「すごいね」と認めていた。
- みんなで一つのことを楽しむ喜びを感じていた。
💛 環境(自然・物・数量)
Q1. 冬の自然(氷・霜・息)への興味は?
- 水たまりに氷が張っているのを見つけ、踏んで音を楽しんでいた。
- 霜柱を手に取り、冷たさや溶ける様子を観察していた。
- 吐く息が白くなるのに気づき、「ハァー」として見せ合っていた。
- 冬の空を見て、「雲が速いね」と風の強さを感じていた。
- 日向と日陰の温度差に気づき、暖かい場所を探していた。
Q2. お正月遊び・伝承遊びの用具への関心は?
- コマの紐の巻き方に興味を持ち、工夫して巻いていた。
- 凧が風を受けて上がる仕組みを、体感して楽しんでいた。
- カルタの絵と文字を照らし合わせ、探そうとしていた。
- 福笑いのパーツ(目、鼻、口)の位置を考えて置いていた。
- けん玉の皿に玉を乗せようと、膝を使って調節していた。
Q3. 数量・文字への関心は?
- カルタの読み札の文字(ひらがな)を読もうとしていた。
- 双六のサイコロの目を見て、その数だけ進めていた。
- コマが回っている時間を数え、長さを比べていた。
- 自分の名前の文字を見つけ、「これ私の字」と言っていた。
- 時計の数字を見て、時間の約束を守ろうとしていた。
Q4. 道具の操作や仕組みへの興味は?
- 磁石がつく場所を探して、園内を探索していた。
- 鏡を使って、光の反射を楽しんでいた。
- 楽器(カスタネット、鈴)をリズムよく鳴らしていた。
- ハサミや糊を適切に使い、制作活動に取り組んでいた。
- 蛇口をひねって、水の量を調整していた。
Q5. 整理整頓や物の管理は?
- 玩具の片付け場所を理解し、種類ごとに分けてしまっていた。
- 自分のロッカーの中を整理し、持ち物を大切に扱っていた。
- 脱いだ靴を揃えて靴箱に入れていた。
- 落ちているゴミを拾い、分別して捨てていた。
- 友だちが片付けていないと、手伝ってあげていた。
💚 言葉(理解・発語・会話)
Q1. 経験したことの報告・説明は?
- 「お正月に〇〇へ行ったよ」と、休み中の出来事を詳しく話していた。
- 「お餅を3個食べたよ」と、数を交えて話していた。
- 遊びのルールを、友だちに言葉で説明していた。
- 「~だから、~したい」と、理由をつけて話していた。
- 相手の目を見て、伝わるように話そうとしていた。
Q2. 正月遊びでの言葉(カルタ等)は?
- カルタの読み札をよく聞き、素早く反応していた。
- 「あけましておめでとうございます」と、新年の挨拶をしていた。
- 双六で「次は〇〇ちゃんの番だよ」と教えていた。
- 「もう一回やろう」「負けないぞ」と、意欲的な言葉が出ていた。
- 伝承遊びの名前(コマ、タコ、ハゴイタ)を覚えて言っていた。
Q3. 友だちとの言葉によるやり取りは?
- 「貸して」「いいよ」「あとで」などのやり取りがスムーズだった。
- ごっこ遊びで、役になりきってセリフを言っていた。
- 「それはダメだよ」と、友だちにルールを教えていた。
- 名前を呼び合い、楽しそうにお喋りしていた。
- 秘密話をして、友だちとの特別感を共有していた。
Q4. 歌や言葉遊びへの興味は?
- 「お正月」や「雪」などの季節の歌を歌っていた。
- しりとり遊びのルールを理解し、長く続けようとしていた。
- 絵本の文字に興味を持ち、拾い読みをしていた。
- 早口言葉や面白い響きの言葉を、繰り返し言っていた。
- 自分の名前の文字(ひらがな)を書こうとしていた。
Q5. 丁寧な言葉や挨拶は?
- 朝、「おはようございます」と元気に挨拶していた。
- 帰る時、「さようなら、また明日」と言っていた。
- 何かしてもらった時、「ありがとう」と自然に言えていた。
- ぶつかった時、「ごめんね」と謝ることができた。
- 職員室に入るとき、「失礼します」と言おうとしていた。
💜 表現(感性・創造)
Q1. 描画(イメージの表現)の充実は?
- お正月の経験(お餅、凧揚げ)を、絵に描いて表現していた。
- 獅子舞やダルマなど、特徴を捉えて描こうとしていた。
- 好きな色を選び、画用紙いっぱいに力強く描いていた。
- 顔のパーツ(目・口・鼻)を正しい位置に描いていた。
- 描いた絵にストーリー性を持たせ、説明してくれた。
Q2. 制作活動(工夫・構成)は?
- 折り紙を折って、コマやコップを作っていた。
- ハサミで切った紙を糊で貼り、福笑いの顔を作っていた。
- 廃材を使って、オリジナルの凧を作っていた。
- 粘土で「鏡餅」を作り、大小を重ねて表現していた。
- 完成した作品を友だちと見せ合い、認め合っていた。
Q3. 音楽・リズム表現の豊かさは?
- 曲の雰囲気に合わせて、速く動いたりゆっくり動いたりしていた。
- 友だちと手を繋ぎ、円になって回るダンスを楽しんでいた。
- 楽器(和太鼓の真似など)を使って、リズムを楽しんでいた。
- 歌詞の意味を理解し、感情を込めて歌っていた。
- わらべうた(あぶくたった等)に合わせて、鬼ごっこを楽しんでいた。
Q4. ごっこ遊びの世界観と展開は?
- 郵便屋さんごっこで、年賀状を配達する真似をしていた。
- お店屋さんごっこで、「いらっしゃいませ」とやり取りを楽しんでいた。
- 家族ごっこで、お正月の団欒を再現していた。
- ヒーローになりきって、かっこいいポーズを決めていた。
- 友だちとイメージを共有し、遊びを長時間続けていた。
Q5. 感動や発見の表現は?
- 霜柱を見つけ、「キラキラしてる」と感動していた。
- 氷の冷たさに驚き、「冷たい!」と声を上げていた。
- コマが回っている様子を見て、「きれいだね」と言っていた。
- 友だちの作品を見て、「すごいね」「上手だね」と褒めていた。
- できた喜びを全身で表現し、自信に満ちた顔をしていた。



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