4歳児クラス（年中）の6月は、梅雨により室内で過ごす時間が長くなる時期です。 エネルギーの発散場所が限られるため、友だちとの距離が近くなり、トラブルも増えがちですが、それは「自分たちで解決する力」を育てるチャンスでもあります。 また、時計（時の記念日）や衛生面（虫歯予防デー）への関心が高まる時期でもあります。
6月の特徴と観察ポイント
クラスにとってどんな時期？
雨の日が続き、室内での活動がメインになります。集団遊び（椅子取りゲーム、ハンカチ落とし等）や、じっくり取り組める制作活動を通して、クラスのまとまりを深める時期です。湿気が多く疲れやすいため、休息と活動のバランス配慮が必要です。
子どもにとってどんな時期？
「外に行きたい！」というエネルギーを、室内での運動遊びや制作に向けます。友だちと一緒に遊ぶ楽しさを感じる一方で、意見の食い違いから口喧嘩も増えます。自分の気持ちを言葉で伝え、相手の気持ちを知る経験を重ねていきます。
6月に特に観たい発達テーマ
- 集団遊びのルール理解（勝敗、順番、交代）
- 衛生・健康への意識（歯磨き、手洗い、汗の始末）
- 梅雨の自然や事象（雨、カエル、時の記念日）
- 友だちとの協同と葛藤（一緒に作る、言い合いと仲直り）
🌿 養護（生活・情緒）
🩷 生命の保持（食事・睡眠・排泄・健康・着脱）
Q1. 梅雨期の健康管理（汗・清潔）への意識は？
- 汗をかいたことに気づき、自分から着替えようとしていた。
- 濡れたタオルや服を、ビニール袋に入れて始末していた。
- 鼻水が出ると、ティッシュでかんでゴミ箱に捨てていた。
- 食後の歯磨き（またはブクブクうがい）を丁寧に行っていた。
- 爪の長さを気にしたり、泥汚れを洗ったりしていた。
Q2. 排泄（トイレ）の自立とマナーは？
- 遊びのキリが良い時に、自分からトイレに行っていた。
- 排泄後の始末（拭く・流す）を忘れずに行っていた。
- スリッパを揃えたり、ドアを閉めたりするマナーを守っていた。
- 我慢せずに早めに行くことができ、失敗がなかった。
- 和式トイレでも、衣服を汚さずに排泄できていた。
Q3. 食事の準備・片付け・マナーは？
- 配膳の手伝いをし、友だちの分も運んであげていた。
- 箸を正しく持ち、小さなおかずも掴んで食べていた。
- 姿勢を正し、肘をつかずに食べようと意識していた。
- 食べ終わった食器をきれいに重ねて片付けていた。
- 食事中の会話を楽しみつつ、時間内に食べ終わっていた。
Q4. 衣服の調節と着脱の自立は？
- 「暑いから」と言って、半袖になったり薄着になったりしていた。
- 脱いだ服をきれいに畳み、崩れないようにしまっていた。
- ボタンやファスナーを素早く操作し、着替えが早くなった。
- シャツの裾をズボンに入れ、身だしなみを整えていた。
- 左右を間違えずに靴を履き、かかとをトントンとしていた。
Q5. 睡眠（午睡）の質と休息は？
- 湿気が多く寝苦しい日も、静かに横になって体を休めていた。
- 絵本を見て気持ちを落ち着かせ、入眠の準備をしていた。
- 自分のタオルケットをかけ、リラックスして眠っていた。
- 目覚めた後、トイレに行ったり布団を畳んだりしていた。
- 咳が出る時は横を向くなど、自分で調整していた。
💚 情緒の安定（安心感・自己発揮）
Q1. 室内遊びでのストレスや発散は？
- 広い場所でリズム遊びをし、体を動かして発散していた。
- 友だちと笑い合い、楽しい気持ちを共有していた。
- 外に行けない不満を口にしていたが、遊び始めると忘れていた。
- 部屋の隅で一人になり、静かな時間を楽しんでいた。
- 製作に没頭し、集中することで気持ちを安定させていた。
Q2. 友だちとのトラブルと葛藤の処理は？
- 言い合いになったが、手を出さずに言葉で解決しようとした。
- 自分の意見が通らず泣いたが、気持ちを切り替えて遊んだ。
- 「ごめんね」と言われて、「いいよ」と許すことができた。
- 悔しい気持ちを保育者に話し、共感してもらうと落ち着いた。
- 相手の言い分も聞き、譲ることができる場面があった。
Q3. 集団の中での自己発揮は？
- 「私がやる！」と、当番活動や手伝いに立候補していた。
- みんなの前で発表する時、恥ずかしがらずに大きな声で言えた。
- 自分の得意なこと（折り紙やダンス）を友だちに披露していた。
- グループ決めなどで、自分の希望をはっきり伝えていた。
- 友だちをリードして、遊びを進めようとしていた。
Q4. 保育者との信頼関係（相談）は？
- 自分たちで解決できない時、「先生、来て」と呼びに来た。
- 嬉しいことや発見したことを、真っ先に報告していた。
- 不安なことがあると、そばに来て甘えていた。
- 保育者の提案を受け入れ、信頼して活動に参加していた。
- 叱られた理由を理解し、納得して行動を改めていた。
Q5. 自信と意欲（挑戦）は？
- 難しいパズルに挑戦し、完成させて自信をつけていた。
- 苦手なこと（鉄棒など）も、「やってみる」と意欲を見せた。
- 友だちに教えることで、優越感や自信を感じていた。
- 「一人でできるよ」と、手伝いを断ることがあった。
- 失敗しても諦めず、繰り返し挑戦していた。
🌸 五領域（遊びと活動）
🩵 健康（身体機能・運動・安全）
Q1. 室内での運動能力（バランス・敏捷性）は？
- 音楽に合わせて、スキップやギャロップで移動していた。
- マットの上で前転がりをし、起き上がることができた。
- 平均台の上を、落ちないようにバランスを取って渡っていた。
- 信号ゲーム（ストップ＆ゴー）で、即座に反応して止まっていた。
- 片足立ちで数秒間キープし、ケンケンができた。
Q2. 手指の巧緻性（道具の操作）は？
- ハサミで曲線や丸を切り抜き、形を作っていた。
- 糊の量を調整し、端まできれいに塗って貼っていた。
- 粘土を細かくちぎったり、丸めたりして造形していた。
- 折り紙の角と角を合わせ、丁寧に折ろうとしていた。
- 紐通しやビーズ通しに集中し、長く繋げていた。
Q3. 集団遊びのルール理解（運動）は？
- 椅子取りゲームのルールを理解し、音楽をよく聞いていた。
- 鬼ごっこでタッチされたら鬼を交代し、ルールを守っていた。
- リレー遊びで、バトンを受け渡す流れを理解していた。
- 「だるまさんが転んだ」で、鬼の動きに合わせて止まっていた。
- 負けても泣かずに、次の回を楽しみにしていた。
Q4. 危険回避と安全への意識は？
- 室内では走らず、歩くことを意識していた。
- ハサミを人に向けないなど、道具の約束を守っていた。
- 友だちとぶつかりそうになると、避けることができた。
- 濡れている場所を避けて歩いていた。
- 高いところから飛び降りる際、安全を確認していた。
Q5. 自分の体の状態（疲労・不調）への気づきは？
- 「疲れたから休む」と言って、座って休憩していた。
- 喉が渇いたことを伝え、水分補給をしていた。
- 「お腹痛い」など、体調の変化を言葉で伝えていた。
- 暑いと感じて衣服を脱ぎ、調整していた。
- 鼻水が出ていることに気づき、自分で拭いていた。
🧡 人間関係（友だち・協同）
Q1. 友だちとの協同的な遊びは？
- 積み木で大きなお城を、友だちと協力して作っていた。
- ごっこ遊びで役割を決め、ストーリーを展開させていた。
- 「一緒にやろう」と声をかけ、仲間を増やしていた。
- 一つの作品（大きな絵など）を、数人で描いていた。
- パズルを協力して完成させ、喜び合っていた。
Q2. トラブル解決と交渉力は？
- 「貸して」「あとでね」「いいよ」のやり取りができていた。
- 順番を守れない子に、「並んで」と注意していた。
- 言い合いになったが、自分たちで解決策を見つけていた。
- 「じゃあ、ジャンケンで決めよう」と提案していた。
- 謝られたら「いいよ」と許すことができた。
Q3. 他者への思いやりや共感は？
- 泣いている友だちにティッシュを持ってきてあげていた。
- 転んだ友だちに「大丈夫？」と声をかけ、助け起こしていた。
- 困っている友だちに、やり方を教えてあげていた。
- 友だちの成功を「すごいね」と褒めていた。
- 年下の子（3歳児未満）に優しく接していた。
Q4. 集団での役割意識は？
- 給食当番を張り切って行い、配膳をしていた。
- 片付けの時間に、みんなで協力して重いものを運んでいた。
- グループのリーダー的な存在になり、まとめていた。
- 先生の話を聞く時、お喋りしている子に「シーッ」としていた。
- 自分の役割（お母さん役など）を理解し、演じていた。
Q5. 競争心と仲間意識は？
- 椅子取りゲームで負けて悔しがっていた。
- チーム対抗戦で、「頑張れ！」と友だちを応援していた。
- 勝ったチームを見て、「すごいね」と認めていた。
- 「次は勝つぞ」と意欲を燃やしていた。
- みんなで一つのことをやり遂げた時、喜びを分かち合っていた。
💛 環境（自然・物・数量）
Q1. 梅雨の自然（雨・生き物）への興味は？
- 窓ガラスをつたう雨粒の動きを、じっと観察していた。
- カタツムリやカエルを見つけ、図鑑で調べていた。
- アジサイの花の色や形に興味を持ち、観察していた。
- 雨上がりの水たまりに入り、深さや泥の感触を確かめていた。
- 傘を差して歩き、雨音を楽しんでいた。
Q2. 数量・時間への関心（時の記念日）は？
- 時計を見て、「長い針が6になったら」と時間を意識していた。
- 「1、2、3…」と数を数え、かくれんぼをしていた。
- おやつの数を数え、足りないことに気づいていた。
- 「3つちょうだい」など、数を指定してやり取りしていた。
- カレンダーを見て、「今日は〇日だね」と確認していた。
Q3. 道具の操作や仕組みへの興味は？
- 傘の開閉に挑戦し、仕組みを理解しようとしていた。
- 鍵の開け閉めや、ドアノブの操作に関心を持っていた。
- 楽器（カスタネット、トライアングル）の正しい持ち方を知ろうとした。
- 磁石がつく場所を探して、園内を探索していた。
- 虫眼鏡を使って、小さなものを拡大して見ていた。
Q4. 感触遊び（粘土・寒天・新聞紙）への反応は？
- 粘土を丸めたり伸ばしたりして、色々な形を作っていた。
- 新聞紙をビリビリ破り、音や感触の変化を楽しんでいた。
- 寒天の冷たさや感触に驚き、型抜きなどを楽しんでいた。
- 泥んこ遊びで、泥の固さの違いに気づいていた。
- 糊のベタベタした感触を気にせず、制作に取り組んでいた。
Q5. 整理整頓や公共心は？
- 玩具の種類や場所を覚え、きれいに片付けていた。
- 落ちているゴミを見つけ、ゴミ箱に捨てていた。
- 絵本を大切に扱い、本棚にきれいに並べていた。
- 共用の道具（マーカーなど）を、譲り合って使っていた。
- ロッカーの中を整理し、持ち物を管理していた。
💚 言葉（理解・発語・会話）
Q1. 会話（説明・報告）の力は？
- 「昨日、〇〇を買ってもらったよ」と、過去の出来事を話していた。
- 「お腹が痛いから、トイレに行く」と、理由を説明できていた。
- トラブルの状況を、「〇〇ちゃんが取った」と具体的に伝えていた。
- 自分の発見や感動を、保育者や友だちに伝えようとしていた。
- 「～したい」と、自分の希望を明確に伝えていた。
Q2. 友だちとの言葉によるやり取りは？
- 「入れて」「いいよ」「ダメ」などの言葉で交渉していた。
- ごっこ遊びの中で、役になりきって会話を続けていた。
- 「それは違うよ」と、友だちに優しく教えていた。
- 名前を呼び合い、楽しそうにお喋りしていた。
- 相手の話を聞いて、相槌を打ったり質問したりしていた。
Q3. 言葉の理解力（指示・物語）は？
- 「帽子を被って、水筒を持ってきて」という二つの指示を理解していた。
- 紙芝居の内容を理解し、感想を言葉で言っていた。
- なぞなぞやクイズに興味を持ち、答えを考えていた。
- 約束事やルールを言葉で聞き、守ろうとしていた。
- 「どうして？」という質問に、自分なりの考えを答えていた。
Q4. 虫歯予防デー（歯・健康）に関する言葉は？
- 「虫歯」「歯磨き」などの言葉を知り、話題にしていた。
- 「甘いもの食べると虫歯になるよ」と友だちに教えていた。
- 歯磨きの歌を歌い、磨き方を言葉で確認していた。
- 自分の歯を見て、「白いね」と話していた。
- 歯科検診の意味を理解し、「口をあける」と言っていた。
Q5. 歌や言葉遊びへの興味は？
- 季節の歌（カエルの歌、時計の歌）を、歌詞を覚えて歌っていた。
- しりとり遊びのルールを理解し、言葉を繋げていた。
- 絵本のフレーズを真似して、言葉のリズムを楽しんでいた。
- 面白い響きの言葉を見つけ、繰り返し言って笑っていた。
- 自分の名前の文字（ひらがな）に興味を持っていた。
💜 表現（感性・創造）
Q1. 描画（イメージの表現）の充実は？
- 雨や傘、アジサイなど、季節の絵を描いていた。
- 家族の顔を描き、目・鼻・口の位置が正しくなってきた。
- 好きな色を選び、画用紙いっぱいに力強く塗っていた。
- 描いた絵にストーリーがあり、説明してくれた。
- 閉じた丸を描き、色を塗りつぶそうとしていた。
Q2. 制作活動（時計・季節）の工夫は？
- 廃材を使って、自分だけの時計を作っていた。
- 折り紙を折って、カエルやアジサイを作っていた。
- 糊やセロハンテープを使い分け、素材を組み合わせていた。
- 自分のイメージした形にするために、ハサミで調整していた。
- 完成した作品を友だちと見せ合い、満足そうにしていた。
Q3. 音楽・リズム表現の豊かさは？
- 曲の雰囲気に合わせて、スキップしたり行進したりしていた。
- 歌詞の意味を理解し、強弱をつけて歌っていた。
- 楽器（カスタネット、鈴）をリズムよく叩き、合奏を楽しんでいた。
- 即興で歌を作り、楽しそうに口ずさんでいた。
- リトミックで、音の高低を聞き分けて動いていた。
Q4. ごっこ遊びの世界観と展開は？
- 傘を差して「雨だね」と言い、散歩ごっこをしていた。
- 家族ごっこで、食事や寝かしつけの真似をしていた。
- お店屋さんごっこで、「いらっしゃいませ」と威勢よく言っていた。
- ヒーローになりきって、友だちと戦いごっこをしていた。
- 友だちとイメージを共有し、遊びを長時間続けていた。
Q5. 感動や発見の表現は？
- 虹が出ているのを見つけ、「きれい！」と感動していた。
- カタツムリの動きを見て、「遅いね」「可愛い」と言っていた。
- できた喜びを「やったー！」と全身で表現していた。
- 面白いことを見つけ、友だちと顔を見合わせて大笑いしていた。
- 雨上がりの空を見て、「晴れたね」と嬉しそうにしていた。
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