5歳児クラス(年長)の3月は、卒園・就学を目前に控え、心身ともに大きく成長した姿が見られる時期です。 1年間(あるいは数年間)の園生活を振り返り、自信を持って次のステップへ進もうとする意欲や、友だちと深く結びついた関係性が観察の要となります。
もくじ
3月の特徴と観察ポイント
クラスにとってどんな時期?
卒園式に向けた活動を通して、クラスの一体感が最高潮に達します。お別れ会やプレゼント交換など、感謝の気持ちを伝え合う場面が増えます。小学校への接続を意識し、時間を見て行動したり、話を聞く姿勢を整えたりと、規律ある生活を送る時期です。
子どもにとってどんな時期?
「もうすぐ1年生」という喜びと、「お別れするのが寂しい」という感情が入り混じります。身の回りのことは完全に自立し、困っている友だちを助けたり、年下の子の世話をしたりする頼もしい姿が見られます。文字や数への関心も高まり、就学への準備が整います。
3月に特に観たい発達テーマ
- 就学への期待と自信(ランドセル、通学、学習への意欲)
- 自律的な生活習慣(時間管理、持ち物の整理、衛生)
- 協同性と社会性(対話による解決、感謝の気持ち)
- 文字・数・社会への関心(時計、カレンダー、文字の読み書き)
🌿 養護(生活・情緒)
🩷 生命の保持(食事・睡眠・排泄・健康・着脱)
Q1. 小学校を意識した食事のマナーと時間は?
- 「給食の時間内に食べるよ」と、時計を気にして食事をしていた。
- 姿勢を正し、食器を持ってこぼさずにきれいに食べていた。
- 苦手なものも、「給食当番さんがよそってくれたから」と完食していた。
- 箸の使い方が定着し、細かい食材も上手につまんでいた。
- 食後の片付け(牛乳パックを開く等)を、自分で行っていた。
Q2. 健康管理(清潔・安全)の自己判断は?
- 外遊びの後、手洗い・うがいを丁寧に行い、ハンカチで拭いていた。
- 鼻水が出ると自分でかみ、ゴミ箱に捨てていた。
- 「暑いから脱ぐ」と、体温調節を自分で行っていた。
- 危険な場所には近づかず、安全に遊ぶ判断ができていた。
- 自分の体調不良を、「頭が痛い」など具体的に言葉で伝えていた。
Q3. 排泄(トイレ)の習慣と始末は?
- 授業中(活動中)に行かなくて済むよう、休み時間にトイレに行っていた。
- 排便後の始末(拭く・流す・確認)まで、一人で完璧に行っていた。
- 和式トイレも洋式トイレも、どちらも適切に使えていた。
- スリッパが乱れていると、次に使う人のために揃えていた。
- 失敗することはなくなり、見通しを持って行動していた。
Q4. 身だしなみと持ち物の管理は?
- シャツの裾がズボンから出ていると、自分で直して整えていた。
- 名札やポケットの中身(ハンカチ)を自分で管理していた。
- 脱いだ服をきれいに畳み、ロッカーに整頓していた。
- 靴の踵を踏まずに、正しく履いていた。
- 忘れ物がないか、自分で確認しようとしていた。
Q5. 睡眠(午睡)からの移行とリズムは?
- 午睡がなくなり、午後は静かな活動(読書など)に集中していた。
- (午睡がある場合)短時間で休息を取り、すっきりと目覚めていた。
- 自分で布団を畳み、端を揃えて片付けていた。
- 早寝早起きの習慣について、家庭での様子を話していた。
- 活動と休息のメリハリをつけ、一日元気に過ごせていた。
💚 情緒の安定(安心感・自己発揮)
Q1. 就学への期待と不安のバランスは?
- 「ランドセルは〇色だよ」と、嬉しそうに友だちと話していた。
- 小学校に行くことを楽しみにし、自信に満ちた表情をしていた。
- 離れ離れになる友だちを気遣い、「また遊ぼうね」と約束していた。
- 不安な気持ちを言葉にし、保育者に聞いてもらうと安心していた。
- 「勉強頑張るんだ」と、新しい生活への意欲を見せていた。
Q2. 友だちとの深い絆と別れへの理解は?
- 卒園することを理解し、友だちとの時間を大切に過ごしていた。
- トラブルになっても、お互いの気持ちを言葉で伝え合い解決していた。
- 友だちの良いところを認め、「すごいね」と素直に褒めていた。
- グループで協力して活動し、達成感を共有していた。
- 困っている友だちがいると、自然に手を差し伸べていた。
Q3. 自信と自己肯定感(成長の自覚)は?
- 「こんなことができるようになった」と、自分の成長を喜んでいた。
- 難しいことにも「やってみる」と挑戦し、諦めない姿が見られた。
- 係活動や当番活動を、責任を持って最後までやり遂げていた。
- 年下の子に優しく接し、頼られる喜びを感じていた。
- 卒園式の練習に真剣に取り組み、堂々としていた。
Q4. 感謝の気持ちの表現は?
- 「先生、ありがとう」と、感謝の言葉を伝えていた。
- 給食を作ってくれる人や、用務員さんにも挨拶をしていた。
- お家の人へのプレゼント作りで、心を込めて作っていた。
- 使った部屋や道具に感謝し、きれいに掃除していた。
- お別れ会で、歌や言葉で感謝を表現していた。
Q5. 葛藤のコントロールと自律心は?
- 自分のやりたいことを我慢し、全体のルールを優先できた。
- 順番待ちや話を聞く場面で、静かに待つことができた。
- 失敗して悔し涙を流したが、「次は頑張る」と切り替えた。
- 自分の非を認め、言い訳せずに謝ることができた。
- イライラした時に深呼吸をするなど、自分で落ち着こうとしていた。
🌸 五領域(遊びと活動)
🩵 健康(身体機能・運動・安全)
Q1. 運動能力の完成度(縄跳び・鉄棒)は?
- 縄跳び(二重跳び、あや跳び)に挑戦し、連続で跳べるようになった。
- 逆上がりや連続前回りなど、鉄棒の技を軽々とこなしていた。
- ドッジボールで、ボールを素早く避けたり力強く投げたりしていた。
- 登り棒や雲梯(うんてい)を、最後まで渡り切ることができた。
- 跳び箱の開脚跳びで、手をついてきれいに跳び越えていた。
Q2. 全身運動の調整力(走る・止まる)は?
- リレーでスピードを落とさずにカーブを曲がり、バトンを繋いでいた。
- 信号ゲームで、急な合図にも反応して止まることができた。
- 高いところから飛び降り、膝を使って柔らかく着地していた。
- 音楽に合わせて、複雑なステップやリズム運動を楽しんでいた。
- 友だちとぶつからないように、周りを見て動いていた。
Q3. 手指の巧緻性(道具の熟練)は?
- 鉛筆を正しく持ち、筆圧を調整して文字を丁寧に書いていた。
- 雑巾を固く絞り、床拭き掃除を力強く行っていた。
- 紐結び(蝶結び)をマスターし、靴紐やリボンを結んでいた。
- ハサミで細かい曲線を切り抜き、制作に活用していた。
- 折り紙の角と角をきっちり合わせ、複雑な作品(鶴など)を折っていた。
Q4. 交通安全と通学路への意識は?
- 散歩中、信号を見て左右を確認し、手を挙げて渡っていた。
- 白線の内側を歩き、広がらないように意識していた。
- 「右、左、右」と声に出して確認していた。
- 曲がり角や見通しの悪い場所で、一旦停止していた。
- 小学校までの通学路について、話題にしていた。
Q5. 体力の向上と持続力は?
- 鬼ごっこやサッカーで、長時間走り回っても元気だった。
- 息を切らしながらも、最後まで諦めずに活動していた。
- 縄跳び大会で、目標の回数を目指して跳び続けていた。
- 散歩で長い距離を歩き、「まだ歩けるよ」と言っていた。
- 自分の体力を知り、適度に休憩をとっていた。
🧡 人間関係(友だち・協同)
Q1. 協同的な活動(卒園制作・劇)は?
- グループで相談し、卒園制作のデザインや役割を決めていた。
- 劇遊びで、友だちと息を合わせてセリフを言ったり動いたりしていた。
- みんなで協力して、部屋の壁面装飾を作り上げた。
- 意見が割れた時、話し合いで妥協点を見つけていた。
- 一つの目標に向かって、クラス全員で団結していた。
Q2. リーダーシップと役割意識は?
- グループのリーダーとして、友だちの意見をまとめていた。
- 当番活動を忘れずに行い、責任を持って果たしていた。
- 困っている友だちに気づき、手助けやアドバイスをしていた。
- 小さい子のお世話係を、優しく丁寧に行っていた。
- 遊びのルールを提案し、みんなが楽しめるように工夫していた。
Q3. トラブル解決と交渉力は?
- 自分たちで話し合い、納得いくまで解決策を探していた。
- 「ごめんね」「いいよ」と素直に言い合い、関係を修復していた。
- 相手の気持ちを考え、譲ったり我慢したりすることができた。
- ルール違反をした子に、理由を説明して注意していた。
- 第三者が仲裁に入り、公平に判断しようとしていた。
Q4. 公共心とマナーの意識は?
- 廊下を静かに歩く、挨拶をするなどのマナーが身についていた。
- みんなで使う場所(図書室、ホール)をきれいに片付けていた。
- 順番待ちの列を守り、割り込みなどを注意していた。
- 落ちているゴミを拾い、環境美化に努めていた。
- 物を大切に扱い、壊れたら直そうとしていた。
Q5. 競争心とスポーツマンシップは?
- ドッジボール大会で、勝つためにチームで作戦を立てていた。
- 負けても相手チームに拍手を送り、健闘を称えていた。
- 「次は絶対勝つぞ」と、前向きな言葉を掛け合っていた。
- ルールを守って正々堂々と戦うことを楽しんでいた。
- 苦手な子を責めず、応援して支えていた。
💛 環境(自然・物・数量)
Q1. 春の自然(変化)への気づきは?
- 園庭の桜の蕾が膨らんでいるのを見つけ、「春だね」と話していた。
- テントウムシやつくしを見つけ、春の訪れを喜んでいた。
- 日差しが暖かくなったことを感じ、薄着になりたがっていた。
- 球根の芽が出てきたことに気づき、生長を楽しみにしていた。
- 冬越しの虫を見つけ、そっと観察していた。
Q2. 数量・時間・時計への理解は?
- 時計を見て、「長い針が12になったら片付け」と行動していた。
- 「あと何分?」と時間を気にかけ、見通しを持っていた。
- カレンダーを見て、卒園式までの日数を数えていた。
- 人数を数えて、チーム分けや配り物を正確に行っていた。
- 簡単な足し算や引き算(合わせていくつ、残りはいくつ)を理解していた。
Q3. 文字や記号への関心(読み書き)は?
- 自分の名前や友だちの名前を、漢字交じりで読もうとしていた。
- 友だちや先生への手紙を、ひらがなで文章にして書いていた。
- 絵本をスラスラと読み、内容を理解していた。
- 街中の看板や時間割表の文字に興味を持っていた。
- 自分の持ち物に名前を書こうとしていた。
Q4. 科学的な興味(観察・実験)は?
- 磁石の性質(S極・N極)を利用して遊んでいた。
- 氷が溶ける様子を観察し、温度との関係に気づいていた。
- 鏡の反射を使って、光を動かして遊んでいた。
- コマの回る仕組みや、凧の揚がる原理に興味を持っていた。
- 図鑑を使って、分からないことを自分で調べようとしていた。
Q5. 整理整頓や物の管理(就学準備)は?
- 自分のロッカーの中を整理し、持ち帰るものと置いておくものを分けていた。
- 玩具の片付け場所を分類し、きれいに並べていた。
- 共有の道具(マーカー、糊)の蓋を閉め、大切に使っていた。
- 道具箱の中身を確認し、足りないものを保育者に伝えていた。
- 掃除の時間に、雑巾がけや掃き掃除を丁寧に行っていた。
💚 言葉(理解・発語・会話)
Q1. 論理的な会話(発表・説明)の力は?
- クラスのみんなの前で、思い出や将来の夢を発表していた。
- 「~だから、~だと思う」と、理由を明確に述べていた。
- トラブルの経緯を、順序立てて客観的に話していた。
- 相手の質問に対して、的確な答えを返していた。
- 自分の考えを整理して、相手に伝わるように話していた。
Q2. 語彙の豊かさと表現力は?
- 「感動した」「寂しい」「誇らしい」など、複雑な感情を表す言葉を使っていた。
- 敬語(丁寧語)を意識して、園長先生やお客様と話していた。
- ことわざや四字熟語に興味を持ち、意味を知ろうとしていた。
- しりとり遊びで、語彙の豊富さを見せていた。
- 絵本に出てくる言葉を引用して、会話に使っていた。
Q3. 文字の読み書きへの意欲は?
- 卒園文集などに、自分の名前や夢を文字で書いていた。
- 友だちと手紙交換をし、気持ちを文字で伝えていた。
- わからない字があると、辞書や表で調べていた。
- カタカナや数字にも興味を持ち、書こうとしていた。
- 書き順を意識して、丁寧に文字を書いていた。
Q4. 物語の創作と共有は?
- 続きのストーリーを想像し、友だちと劇遊びに発展させていた。
- 自分で絵本を作り、ストーリーを書き込んでいた。
- 経験したことを日記のように話し、聞かせてくれた。
- ペープサートや人形劇で、役になりきってセリフを言っていた。
- 素話を聞いて、頭の中でイメージを映像化し楽しんでいた。
Q5. グループ討議(話し合い)の力は?
- 司会役になり、「他に意見はありますか?」と進行していた。
- 人の話を遮らずに最後まで聞き、手を挙げて発言していた。
- 少数意見にも耳を傾け、「それもいいかも」と検討していた。
- 結論が出るまで粘り強く話し合い、決定事項を守っていた。
- 友だちの意見に共感し、頷きながら聞いていた。
💜 表現(感性・創造)
Q1. 描画(思い出画・自画像)の表現力は?
- 園生活の思い出を、細かい描写で表現豊かに描いていた。
- 自分の顔(自画像)を、鏡を見ながら特徴を捉えて描いていた。
- 遠近法や重なりを意識して、空間を描いていた。
- 背景まで丁寧に塗り込み、画面全体を使っていた。
- 混色を楽しみ、自分だけの色を作って塗っていた。
Q2. 制作活動(卒園制作・プレゼント)は?
- 感謝の気持ちを込めて、保育者や親へのプレゼントを作っていた。
- 卒園制作で、友だちと協力して大きな作品を作り上げた。
- 廃材を組み合わせ、工夫して立体的な作品を作っていた。
- 必要な材料を自分で選び、設計図を描いてから作っていた。
- 丁寧に仕上げようと、根気強く取り組んでいた。
Q3. 音楽・リズム表現の豊かさは?
- 卒園式の歌を、歌詞の意味を理解して心を込めて歌っていた。
- 楽器の合奏で、指揮を見てリズムを合わせようとしていた。
- 曲の雰囲気に合わせて、強弱をつけて歌っていた。
- 友だちと声を合わせ、ハーモニーを楽しんでいた。
- 即興で歌を作り、楽しそうに口ずさんでいた。
Q4. 劇遊びや身体表現は?
- 役になりきって、大きな声でセリフを言い、演じていた。
- 友だちと掛け合いを楽しみ、劇を作り上げていた。
- 衣装や小道具を自分たちで作り、世界観を表現していた。
- 恥ずかしがらずに、みんなの前で堂々と表現できていた。
- 感情を込めて、身体全体で表現していた。
Q5. 感動や美しさへの感性は?
- 梅の花の匂いを嗅ぎ、「春の匂いがする」と言っていた。
- 友だちの作品の素晴らしい点を、具体的に褒めていた。
- 音楽を聴いて、「悲しい気持ちになる」「元気になる」と感じていた。
- 卒園式の練習で、厳粛な雰囲気を感じ取っていた。
- みんなで力を合わせて成し遂げた瞬間に、喜びを共有していた。



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