3歳児クラスの5月は、ゴールデンウィーク（GW）という長期休暇を挟むことで、4月に張り詰めていた緊張の糸が切れ、一時的に不安定になりやすい時期です。 しかし、連休明けの不安を乗り越えると、保育者との信頼関係が深まり、戸外での探索や友だちとの関わりが急速に広がっていきます。
5月の特徴と観察ポイント
クラスにとってどんな時期？
連休明けは「登園渋り」や生活リズムの乱れが見られ、4月のような泣き声が戻ることもあります。ゆったりとした関わりで安心感を取り戻しつつ、気候の良い日は積極的に戸外へ出て、発散できる環境を作ることが大切な時期です。
子どもにとってどんな時期？
「お家がいい」という甘えと、「幼稚園（保育園）で遊びたい」という意欲の間で揺れ動きます。情緒が安定してくると、ダンゴムシや草花などの身近な自然に強い興味を示し、じっくりと観察したり、触れたりすることに没頭します。
5月に特に観たい発達テーマ
- GW明けの情緒の安定（家庭と園の切り替え、安心感）
- 身の回りの自立（衣類の調節、排泄の成功体験）
- 春の自然との出会い（虫への興味、栽培への関心）
- 友だちへの意識（「一緒に」の楽しさ、玩具の貸し借り）
🌿 養護（生活・情緒）
🩷 生命の保持（食事・睡眠・排泄・健康・着脱）
Q1. 連休明けの「生活リズム」や「健康状態」は？
- 休み明けの疲れからか、午前中にあくびをする姿が見られた。
- 登園時は眠そうにしていたが、活動が始まると元気に動いていた。
- 気温の上昇に合わせて水分補給を求め、ゴクゴクと飲んでいた。
- 鼻水や咳などの症状が見られたが、自分で拭いたり手で覆ったりしていた。
- 食欲が落ちることなく、給食を楽しみにしていた。
Q2. 衣服の調節（暑い・寒い）と着脱の自立は？
- 汗をかいたことに気づき、「着替えたい」と保育者に伝えていた。
- 暑くなると自分で上着を脱ぎ、ロッカーにしまっていた。
- ボタンの掛け外しに集中し、時間がかかっても自分でやろうとしていた。
- ズボンの前後を確認し、立って履き替えることができた。
- 靴の左右を間違えずに履き、園庭へ飛び出していった。
Q3. 排泄（トイレ）の習慣と成功体験は？
- 遊びの途中でも尿意を感じ、「トイレ」と言って行くことができた。
- 失敗することもあったが、「出ちゃった」と事後報告ができていた。
- トイレットペーパーを自分で切り、拭こうとする意欲が見られた。
- 排泄後、スリッパを揃えたり水を流したりするのを忘れずにやっていた。
- 友だちと一緒にトイレに行くことを喜んでいた。
Q4. 食事の意欲とマナー（食具）は？
- スプーンを下握り（鉛筆持ち）にし、こぼさないように食べていた。
- 苦手な野菜も、「一口だけ頑張る」と言って挑戦していた。
- お椀を持って汁物を飲む動作が安定してきた。
- 「いただきます」「ごちそうさま」の挨拶を、手を合わせて行っていた。
- 食べ終わった後、食器を重ねて片付けようとしていた。
Q5. 休息（午睡）の入り方は？
- 連休明けで疲れやすく、布団に入るとすぐに眠っていた。
- 保育者にトントンされると安心し、リラックスした表情を見せていた。
- 自分のパジャマに着替え、脱いだ服を畳んで置いていた。
- なかなか寝付けない時も、静かに横になって体を休めていた。
- 目覚めた後、自分で布団を畳もうとする姿が見られた。
💚 情緒の安定（安心感・自己発揮）
Q1. GW明けの登園時（分離）の様子は？
- 連休明けは保護者と離れる際に泣いたが、抱っこですぐに落ち着いた。
- 「ママがいい」と甘える姿があったが、好きな遊びを見つけると切り替わった。
- 久しぶりの友だちや先生を見て喜び、笑顔で登園できた。
- 不安そうな表情をしていたが、所持品の始末をするうちに落ち着いてきた。
- 家庭での楽しかった出来事を、保育者に話して安心しようとしていた。
Q2. 自分の気持ち（甘え・主張）を出せていますか？
- 嫌なことがあると「イヤ！」とはっきり主張し、自分の意思を伝えていた。
- 甘えたい時に保育者の膝に来て、スキンシップを求めていた。
- 自分の思い通りにならず泣いたが、理由を聞くと落ち着いて話せた。
- 「自分でやるの！」と強い自立心を見せ、手伝いを断ることがあった。
- 嬉しい時に飛び跳ねたり拍手したりして、全身で表現していた。
Q3. 遊びへの集中と安定感は？
- 好きな遊び（ブロックやままごと）を見つけ、じっくりと取り組んでいた。
- 一人で集中して遊ぶ時間を持ち、心の安定を図っていた。
- 友だちの遊ぶ様子を気にしながらも、自分のペースで遊んでいた。
- 園庭に出ると開放感を味わい、のびのびと走り回っていた。
- 新しい環境や玩具にも慣れ、リラックスして過ごしていた。
Q4. 保育者との信頼関係（拠点）は？
- 困ったことがあると、すぐに担任のところへ来て助けを求めた。
- 「先生、見て！」と、できたことを何度も報告に来ていた。
- 遊びの合間に保育者と目を合わせ、安心を確認していた。
- 叱られた後も、気持ちを切り替えて保育者に甘えていた。
- 担任以外の職員にも親しみを持ち、話しかけていた。
Q5. トラブル時の反応や葛藤は？
- 玩具を取られて泣いたが、「返して」と言葉で言おうとしていた。
- 友だちとぶつかってしまった時、保育者に促されて「ごめんね」と言えた。
- 貸したくない気持ちと貸してあげたい気持ちの間で葛藤していた。
- 順番を守れずに割り込んだが、注意されると後ろに並び直した。
- 自分の言い分を聞いてもらうと、納得して譲ることができた。
🌸 五領域（遊びと活動）
🩵 健康（身体機能・運動・安全）
Q1. 戸外での活発な動き（走る・登る）は？
- 園庭を全力で走り回り、友だちと追いかけっこを楽しんでいた。
- 太鼓橋やジャングルジムに手足を使って登り、高いところからの景色を喜んでいた。
- 両足ジャンプ（グーパージャンプ）ができるようになり、連続で跳んでいた。
- 転んでもすぐに手をつき、泣かずに立ち上がって遊びに戻っていた。
- ボールを両手で持って投げたり、足で蹴って追いかけたりしていた。
Q2. 指先を使った遊び（操作性）は？
- 粘土を丸めたり、細長く伸ばして「ヘビ」を作ったりしていた。
- ハサミ（一回切り）に挑戦し、チョキンと切れる感触を楽しんでいた。
- クレヨンをしっかり握り、意図を持って丸や線を描いていた。
- シールを台紙から剥がし、狙った場所に貼ることができた。
- ブロックを繋げて、車や家などの形を作っていた。
Q3. 遊具や道具の使い方は？
- 滑り台を逆走せず、階段から登って座って滑っていた。
- 砂場でスコップやバケツを使い、山を作ったり型抜きをしたりしていた。
- 三輪車に跨り、足で地面を蹴って進んでいた。
- ブランコの座面にしっかり座り、保育者に背中を押してもらっていた。
- 鉄棒にぶら下がり、足を浮かせて数秒間耐えていた。
Q4. 危険回避や安全への意識は？
- 「危ない」と声をかけると、すぐに動作を止めていた。
- 友だちとぶつからないように、前を見て走っていた。
- 散歩中、白線の内側を歩く約束を守ろうとしていた。
- 階段の上り下りで手すりを持ち、慎重に移動していた。
- 熱い地面や遊具に気づき、触る前に確認していた。
Q5. 自分の体の状態への気づきは？
- 「疲れた」と言ってベンチに座り、休憩をとっていた。
- 喉が渇いたことを伝え、水筒のお茶を飲んでいた。
- 「ここ痛い」と、怪我をした場所を具体的に教えてくれた。
- 鼻水が出ると、自分でティッシュを取りに行っていた。
- 暑くて顔が赤くなっていたが、服を脱いで調整していた。
🧡 人間関係（友だち・協同）
Q1. 友だちへの関心や関わりは？
- 特定の友だちの名前を呼び、「一緒に遊ぼう」と誘っていた。
- 友だちが遊んでいる玩具に興味を持ち、「何してるの？」と近づいていた。
- 一人で遊んでいても、友だちと同じ場所にいることを好んでいた。
- 友だちの真似をして、同じポーズをとって笑い合っていた。
- 泣いている友だちを見て、心配そうに顔を覗き込んでいた。
Q2. 物の貸し借りやトラブルへの対応は？
- 玩具の取り合いになったが、「貸して」「いいよ」「あとで」のやり取りを経験した。
- まだ貸したくない気持ちがあり、玩具を抱え込んで守ろうとしていた。
- 「どうぞ」と友だちに玩具を渡す優しさが見られた。
- 順番を守るのが難しかったが、保育者の声かけで待つことができた。
- トラブルの後、「ごめんね」と言って仲直りしようとしていた。
Q3. 集団遊びの芽生えは？
- 保育者を交えて、「むっくりくまさん」などの簡単なルール遊びを楽しんだ。
- 友だちと手を繋いで、輪になったり歩いたりすることを喜んでいた。
- 砂場で協力して大きな山を作り、トンネルを掘っていた。
- ごっこ遊びで「お母さん」「赤ちゃん」などの役割を決めていた。
- 電車ごっこで列になり、前の友だちの肩を持って歩いていた。
Q4. 保育者との関わりや信頼は？
- 遊びの中で発見したことを、「先生、見て！」と報告に来ていた。
- 困った時にすぐに保育者に助けを求め、解決しようとしていた。
- 手遊びや歌を保育者と一緒に楽しみ、模倣していた。
- 「大好き」と言って抱きつき、愛着を表現していた。
- 一斉活動の時、保育者の話を聞いて集まることができた。
Q5. 他者への思いやりは？
- 転んだ友だちに「大丈夫？」と声をかけたり、頭をなでたりしていた。
- 年下の子（2歳児）に対し、優しく接しようとしていた。
- 友だちが褒められていると、一緒になって喜んでいた。
- 困っている友だちに、玩具やティッシュを渡してあげた。
- 友だちが靴を履くのを手伝おうとしていた。
💛 環境（自然・物・数量）
Q1. 春の自然（虫・植物）への興味は？
- 園庭でダンゴムシを見つけ、手のひらに乗せて観察していた。
- アリの行列を追いかけ、どこに行くのか興味津々だった。
- シロツメクサやタンポポを摘み、花束にして保育者に渡していた。
- チョウチョが飛んでいるのを見つけ、指差して追いかけていた。
- イチゴや野菜の苗に水をやり、「大きくなあれ」と声をかけていた。
Q2. 数量や形、色への関心は？
- 「赤」「青」などの色の名前を言いながら、ブロックを集めていた。
- おやつや玩具の数を「いーち、にー」と数える真似をしていた。
- 丸、三角、四角の形を見分け、型はめパズルを楽しんでいた。
- 「大きい」「小さい」を理解し、石や葉っぱを比べていた。
- 「いっぱい」と言って、たくさんのドングリ（去年の残り）を集めていた。
Q3. 道具や玩具の扱い方は？
- 玩具をカゴから出し、使い終わると元の場所に戻そうとしていた。
- 糊の感触を楽しみながら、指につけて紙に塗っていた。
- スコップやバケツなどの道具を、用途に合わせて使っていた。
- 絵本を大切に扱い、ページを破らないようにめくっていた。
- 壊れた玩具を見つけると、「壊れてる」と保育者に知らせていた。
Q4. 栽培や飼育への関心は？
- 飼育ケースの中の幼虫やカメを、興味深そうに観察していた。
- 野菜の苗に水をあげる当番活動を、張り切って行っていた。
- 「トマト赤くなったかな？」と、生長を楽しみにしていた。
- 小さな命（虫など）を大切に扱うことを、経験を通して学んでいた。
- 図鑑を持ってきて、見つけた虫の名前を調べようとしていた。
Q5. 探索活動（発見・不思議）の様子は？
- 散歩中に新しい発見（看板や花）をし、「これなに？」と質問していた。
- 影踏み遊びをして、自分の影が動く不思議さを楽しんでいた。
- 砂の湿り具合によって、固まり方が違うことに気づいていた。
- 風で回る風車を見て、風の存在を感じていた。
- 鏡に映る自分を見て、変な顔をしたりポーズをとったりしていた。
💚 言葉（理解・発語・会話）
Q1. 言葉での表現（連休の報告など）は？
- 「パパと公園行ったよ」など、休み中の出来事を片言で話してくれた。
- 「これ、おいしいね」「痛いよ」など、今の気持ちや状況を伝えていた。
- 「～したい」と自分の要求をはっきりと言葉にしていた。
- 自分の名前（フルネーム）や年齢（3歳）を言えるようになった。
- 「なんで？」「どうして？」と、理由を知りたがって質問していた。
Q2. 友だちとの言葉のやり取りは？
- 「貸して」「いいよ」「あとで」などの貸し借りの言葉を使っていた。
- 「おはよー」「バイバイ」と、友だちと挨拶を交わしていた。
- ごっこ遊びの中で、役割に応じた言葉（いらっしゃいませ等）を使っていた。
- 友だちの名前を呼び、遊びに誘っていた。
- 言葉で伝えられず手が出そうになったが、保育者の代弁で落ち着いた。
Q3. 言葉の理解力（指示・物語）は？
- 「帽子を被って、靴を履こうね」という二つの指示を理解して動けていた。
- 絵本の読み聞かせを集中して聞き、簡単な質問に答えていた。
- 「片付けの時間だよ」という言葉を聞いて、行動を切り替えていた。
- 「走らないで歩こうね」という約束を理解し、守ろうとしていた。
- 名前を呼ばれると、元気に「はい」と返事をしていた。
Q4. 歌や手遊びの言葉は？
- 「こいのぼり」などの季節の歌を、歌詞を覚えて歌っていた。
- 手遊びの言葉に合わせて、指や体を動かして楽しんでいた。
- 絵本のフレーズを覚え、保育者と一緒に唱えていた。
- リズムに合わせて、「トントン」などの擬音語を言っていた。
- 替え歌を作ったり、言葉遊びを楽しんだりしていた。
Q5. 丁寧な言葉や挨拶は？
- 朝と帰りの挨拶を、自分から元気よく行っていた。
- 何かしてもらった時に、「ありがとう」と言葉で伝えていた。
- ぶつかった時に「ごめんね」と謝ることができた。
- 食事の前後、「いただきます」「ごちそうさま」を言っていた。
- 「先生、さようなら」と名前をつけて挨拶していた。
💜 表現（感性・創造）
Q1. 描画（お絵描き）の表現は？
- グルグル描きから、閉じた円や顔らしき形を描くようになってきた。
- 「これはママ」「アンパンマン」と、描いたものに意味づけをしていた。
- 好きな色を選び、画用紙いっぱいに力強く描いていた。
- 複数の色を使い分け、カラフルな表現を楽しんでいた。
- 描いた絵を保育者に見せ、嬉しそうに説明していた。
Q2. 制作活動（こいのぼり・プレゼント）は？
- 糊を指につけ、折り紙やパーツを貼る作業を楽しんでいた。
- シールを並べて貼ったり、重ねて貼ったりして模様を作っていた。
- 新聞紙を丸めて、何か（ボールやお弁当）に見立てていた。
- クレヨンで模様を描き、こいのぼりの制作に取り組んでいた。
- 母の日のプレゼント作りで、相手の顔を思い浮かべながら作っていた。
Q3. 音楽やリズム遊びの様子は？
- ピアノの音に合わせて、カエルやウサギなどの動物になりきって動いていた。
- 音楽が止まるとピタッと止まり、即時反応を楽しんでいた。
- 楽器（鈴やカスタネット）を持ち、リズムに合わせて鳴らしていた。
- 友だちと手を繋ぎ、輪になって歌うことを楽しんでいた。
- 好きな曲が流れると、自然と体が動き出し踊っていた。
Q4. ごっこ遊びや見立て遊びは？
- エプロンをつけてお母さんになりきり、料理を作っていた。
- ブロックを電話に見立てて、「もしもし」と会話していた。
- 砂場で作ったものを「カレーライス」に見立ててご馳走してくれた。
- ぬいぐるみをおんぶして、子守唄を歌っていた。
- バスごっこで運転手になりきり、ハンドルを握る真似をしていた。
Q5. 感動や発見の表現は？
- きれいな花を見て「うわあ、すごい」と目を輝かせていた。
- ダンゴムシが丸まるのを見て、驚きと喜びを言葉にしていた。
- できた喜びを「やったー！」と全身で表現し、ジャンプしていた。
- 面白いことを見つけ、友だちと顔を見合わせて大笑いしていた。
- 絵本の悲しい場面で、神妙な顔つきをしていた。
コメント