4歳児クラス（年中）の10月は、運動会や遠足などの行事が目白押しの「実りの秋」です。 友だちと力を合わせて一つのことをやり遂げる経験を通して、クラスの団結力が強まり、個々の子どもたちも大きな自信をつける時期です。
もくじ
10月の特徴と観察ポイント
クラスにとってどんな時期？
運動会に向けた練習や本番を通して、「みんなで頑張る」「チームで勝つ」といった共通の目的意識が生まれます。ルールのある集団遊びが定着し、子どもたちだけで遊びを進めようとする姿が見られるようになります。
子どもにとってどんな時期？
運動能力が飛躍的に向上し、縄跳びや鉄棒、リレーなどに意欲的に挑戦します。また、秋の自然（木の実、紅葉）への関心が高まり、収集したり制作に使ったりする姿が見られます。言葉での伝え合いが深まり、葛藤も増えますが、話し合いで解決しようとする力が育ちます。
10月に特に観たい発達テーマ
- 運動機能の向上と挑戦（縄跳び、鉄棒、リレー）
- 仲間意識と競争心（チーム対抗、応援、協力）
- 秋の自然物への関心（収集、分類、制作への活用）
- 言葉による思考と伝達（経験画の説明、話し合い）
🌿 養護（生活・情緒）
🩷 生命の保持（食事・睡眠・排泄・健康・着脱）
Q1. 食欲の秋、食事量やマナーは？
- 活動量が増えてお腹が空き、「大盛りにして」とリクエストしていた。
- 苦手な食材も、「運動会でかっこよかったから」と頑張って食べていた。
- 箸の持ち方が安定し、小さな豆なども上手につまんでいた。
- 食事中の姿勢（足裏を床につける等）を意識し、落ち着いて食べていた。
- 友だちと楽しく会話しながらも、時間内に食べ終わっていた。
Q2. 衣服の調節（衣替え・気温差）への意識は？
- 登園後、気候に合わせて長袖や半袖を選んで着替えていた。
- 活動して体が温まると、「暑いから脱ぐ」と自分で調節していた。
- 脱いだ服をきれいに畳み、ロッカーやカゴに片付けていた。
- 肌着がはみ出ていることに気づき、ズボンに入れて整えていた。
- ボタンやファスナーを素早く留め、着替えのスピードが上がった。
Q3. 排泄（トイレ）の自立と生活リズムは？
- 活動の合間に自分からトイレに行き、排泄を済ませていた。
- 和式トイレの使い方（しゃがむ位置など）が定着していた。
- 排泄後、トイレットペーパーをきれいに畳んで使っていた。
- スリッパが乱れていると、次に使う人のために揃えていた。
- 失敗なく一日を過ごし、就寝中の排泄自立も進んできた（家庭との連携）。
Q4. 健康管理（手洗い・うがい）の徹底は？
- 戸外から帰ると、石鹸を泡立てて手首まで丁寧に洗っていた。
- 「ガラガラうがい」をして、上を向いて水を吐き出していた。
- 鼻水が出ると自分でかみ、ゴミ箱に捨てていた。
- 咳が出る時に、手で口を覆ったり横を向いたりしていた。
- 運動の合間に、自分から水筒のお茶を飲んで水分補給していた。
Q5. 休息（午睡）のとり方と目覚めは？
- 行事練習の疲れから、布団に入るとすぐに熟睡していた。
- 自分の布団を敷く手伝いをし、寝る準備を整えていた。
- なかなか寝付けない時も、静かに体を横にして休息していた。
- 目覚めが良く、自分で布団を畳んで片付けていた。
- 咳が出る時は横向きになるなど、自分で体勢を調整していた。
💚 情緒の安定（安心感・自己発揮）
Q1. 行事（運動会等）を通じた自信と達成感は？
- 「かけっこで1番だった！」と、嬉しそうに報告してくれた。
- 負けて悔し涙を流したが、「次は頑張る」と前向きだった。
- ダンスを堂々と踊り、見てもらう喜びを感じていた。
- 友だちと協力して一つのことをやり遂げ、満足そうな表情をしていた。
- 行事の後も、自信を持って生活や遊びに取り組んでいた。
Q2. 自分の気持ち（葛藤）のコントロールは？
- 遊びの切り替え時に「まだやりたい」と言ったが、時計を見て納得した。
- 友だちと意見がぶつかった時、手を出さずに言葉で伝えようとした。
- 順番待ちでイライラしていたが、深呼吸をして落ち着こうとしていた。
- 自分の意見が通らなくても、多数決や話し合いの結果に従っていた。
- 興奮しすぎた時に、保育者の声かけでクールダウンできていた。
Q3. 友だち関係での安心感は？
- 仲良しの友だちと一緒にいることで、安心して活動に参加していた。
- 困っている友だちに「どうしたの？」と声をかけ、助けようとしていた。
- 集団ゲームに参加し、みんなと一緒に遊ぶ楽しさを感じていた。
- 自分の思いを友だちに伝え、共感してもらうと喜んでいた。
- 好きな友だちと同じグループになりたがっていた。
Q4. 保育者との関わり（信頼）は？
- 嬉しい出来事を、「先生聞いて！」と真っ先に報告に来た。
- 困った時はすぐに助けを求め、一緒に解決しようとしていた。
- 新しいことに挑戦する時、保育者に見守りを求めていた。
- 叱られた後も、素直に謝って関係を修復していた。
- 保育者の手伝いを率先して行い、役に立つ喜びを感じていた。
Q5. 探索心や好奇心の広がりは？
- 散歩先で珍しい木の実を見つけ、図鑑で調べようとしていた。
- 「なんで空は青いの？」など、不思議に思ったことを質問していた。
- 園庭の隅々まで探索し、自分だけの宝物（石や実）を見つけていた。
- 季節の変化（葉の色づき等）に気づき、言葉にしていた。
- 新しい遊具や素材に興味を持ち、試行錯誤して遊んでいた。
🌸 五領域（遊びと活動）
🩵 健康（身体機能・運動・安全）
Q1. 走る・跳ぶなどの運動能力の向上は？
- 腕を大きく振って力強く走り、カーブもスピードを落とさず曲がれていた。
- 縄跳び（前跳び）に挑戦し、タイミングを合わせて跳ぼうとしていた。
- 片足立ちでバランスを取り、ケンケンパを楽しんでいた。
- 高いところから飛び降り、膝を使って柔らかく着地していた。
- スキップやギャロップのリズムで、軽やかに移動していた。
Q2. 遊具や用具を使った運動は？
- 鉄棒で「前回り」や「逆上がり」に意欲的に挑戦していた。
- ジャングルジムの頂上まで登り、遠くの景色を楽しんでいた。
- 平均台の上を、落ちないようにバランスを取って渡っていた。
- ボールを投げる時、相手の胸元を狙って投げられるようになった。
- 竹馬やポックリに挑戦し、バランスを取って歩こうとしていた。
Q3. 手指の巧緻性（道具の操作）は？
- ハサミで曲線や丸を切り抜き、制作に活用していた。
- 粘土を細かくちぎり、指先で丸めて小さな形を作っていた。
- 糊を端まで丁寧に塗り、剥がれないように貼っていた。
- 折り紙を角と角を合わせて、丁寧に折ろうとしていた。
- 箸を使って、豆などの小さな物を掴む遊びを楽しんでいた。
Q4. 集団遊びでのルール理解（運動）は？
- リレー遊びで、バトンを受け渡すルールを理解して走っていた。
- 「しっぽ取り」で、自分のしっぽを守りながら相手を追いかけていた。
- 玉入れで、カゴを狙って玉を投げ入れていた。
- 綱引きで、合図に合わせてチームで力を合わせていた。
- ドッジボールのルール（当たったら外野へ）を理解し始めていた。
Q5. 危険回避や安全への意識は？
- 友だちとぶつからないように、周りを見て走っていた。
- 遊具の正しい使い方を守り、安全に遊ぼうとしていた。
- 「危ない」と声をかけると、すぐに動作を止めていた。
- 散歩中、白線の内側を歩く意識を持っていた。
- 転んだ時、すぐに手をついて顔を守っていた。
🧡 人間関係（友だち・協同）
Q1. 友だちとの協同的な遊びは？
- 「一緒にやろう」と声をかけ、遊びに誘っていた。
- 砂場で協力して大きな山を作り、トンネルを繋げていた。
- ブロックで一つの街を作り、イメージを共有して遊んでいた。
- ごっこ遊びで役割（店員と客など）を決め、やり取りを楽しんでいた。
- チーム対抗のゲームで、作戦を立てようとしていた。
Q2. トラブルの解決と交渉力は？
- 玩具の貸し借りで、「貸して」「あとでね」「いいよ」と言い合っていた。
- 自分の気持ちを言葉で伝え、相手の話も聞こうとしていた。
- 「じゃあ、ジャンケンで決めよう」と解決策を提案していた。
- 順番抜かしをした子に、「並んで」と注意していた。
- 保育者に頼らず、子ども同士で解決しようとする姿が見られた。
Q3. 他者への思いやりや共感は？
- 転んだ友だちに「大丈夫？」と声をかけ、助け起こしていた。
- 泣いている子がいると、ティッシュを持ってきてあげていた。
- 年下の子（2・3歳児）に対し、優しく接したり玩具を譲ったりしていた。
- 友だちが褒められていると、一緒になって喜んでいた。
- 困っている友だちに、自分の持っているものを貸してあげていた。
Q4. 集団での役割意識は？
- 給食当番やお片付け当番を、張り切って行っていた。
- みんなの前で名前を呼ばれると、大きな声で返事をしていた。
- グループごとの活動で、友だちと一緒に行動していた。
- 先生の話を聞く時、静かに注目し、友だちにも促していた。
- クラスのルールを守り、みんなの手本になろうとしていた。
Q5. 競争心と仲間意識は？
- かけっこで「一番になりたい」と競争心を見せていた。
- 負けて悔しがり、「次は勝つ」と意欲を燃やしていた。
- チームの友だちを「頑張れー！」と大声で応援していた。
- みんなで一つのことをやり遂げた時、喜びを分かち合っていた。
- 友だちの頑張りを認め、「すごいね」と言っていた。
💛 環境（自然・物・数量）
Q1. 秋の自然（虫・植物）への興味は？
- 散歩先でドングリや松ぼっくりを夢中で拾い集めていた。
- バッタやコオロギを捕まえ、カゴに入れて観察していた。
- 落ち葉の色の違い（赤、黄、茶）に気づき、集めていた。
- キンモクセイの香りに気づき、「いい匂い」と話していた。
- 秋の空を見て、「雲が高いね」「うろこ雲だ」と話していた。
Q2. 数量・形・色への関心は？
- 玉入れの玉を数え、「どっちが多いかな？」と比べていた。
- ドングリを並べて、「1、2、3…10個ある」と数えていた。
- 形（丸、三角、四角）を組み合わせて、構成遊びを楽しんでいた。
- 「こっちの方が長い」「重い」など、比較する言葉を使っていた。
- 時計の数字に興味を持ち、「3になったらおやつ」と分かっていた。
Q3. 道具や素材の工夫は？
- 空き箱やカップを使い、見立て遊びや制作を楽しんでいた。
- 自然物（枝、実）をごっこ遊びの食材や飾りに見立てていた。
- 廃材を使って、自分なりの楽器や乗り物を作っていた。
- 磁石がつく場所を探して、園内を探索していた。
- 虫眼鏡を使って、小さな虫や葉っぱの裏を観察していた。
Q4. 探索活動（発見・不思議）の様子は？
- 影踏み遊びをして、時間によって影の長さが変わることに気づいた。
- アリの巣を見つけ、餌を運ぶ様子をじっと観察していた。
- 鏡を使って、光の反射（キラキラ）を楽しんでいた。
- 風で木が揺れるのを見て、風の強さを感じていた。
- 砂の湿り具合によって、団子の作りやすさが違うことに気づいていた。
Q5. 整理整頓や物の管理は？
- 玩具の片付け場所を写真で確認し、正しく戻していた。
- 自分のロッカーの中を整理し、持ち物を大切に扱っていた。
- 脱いだ靴を揃えて靴箱に入れていた。
- 落ちているゴミを拾い、分別して捨てていた。
- 友だちが片付けていないと、手伝ってあげていた。
💚 言葉（理解・発語・会話）
Q1. 会話（説明・報告）の力は？
- 「昨日、〇〇へ行って、△△したよ」と、時系列で話していた。
- 経験画を描きながら、その時の状況を詳しく説明していた。
- トラブルの状況を、「〇〇ちゃんが、こうして…」と順序立てて話した。
- 「～だから、～したい」と、理由をつけて自分の意思を伝えていた。
- 相手の目を見て、伝わるように話そうとしていた。
Q2. 言葉の理解力（指示・物語）は？
- 「帽子を被って、水筒を持って、並んでね」という複数の指示を理解していた。
- 紙芝居の内容を理解し、感想や予想を言葉にしていた。
- クイズ遊びで、ヒントを聞いて答えを考えていた。
- 約束事やルールを言葉で聞き、守ろうとしていた。
- 「どうして？」という質問に、自分なりの考えを答えていた。
Q3. 友だちとの言葉による話し合いは？
- 「鬼ごっこする人、この指とまれ」と、言葉で遊びに誘っていた。
- ごっこ遊びの配役を、話し合いで決めようとしていた。
- 「それはダメだよ」と、友だちにルールを教えていた。
- 作戦会議で、「こうしたらいいんじゃない？」と提案していた。
- 秘密話をして、友だちとの特別感を共有していた。
Q4. 語彙（ごい）の豊かさと表現は？
- 「ふわふわ」「チクチク」などのオノマトペを使っていた。
- 色や形、大きさなどを表す形容詞を正しく使っていた。
- 虫や花の名前をたくさん知っていて、教えてくれた。
- 「ありがとうございます」「ごめんなさい」などの挨拶が適切に使えた。
- 自分の名前（フルネーム）や年齢を、はっきりと言えていた。
Q5. 歌や言葉遊びへの興味は？
- 季節の歌（どんぐりころころ等）を、歌詞を覚えて歌っていた。
- しりとり遊びのルールを理解し、少しずつ繋げられるようになった。
- 絵本のフレーズを真似して、言葉のリズムを楽しんでいた。
- 早口言葉や面白い響きの言葉を、繰り返し言っていた。
- 自分の名前の文字（ひらがな）に興味を持っていた。
💜 表現（感性・創造）
Q1. 描画（イメージの表現）の充実は？
- 運動会の絵を描き、自分や友だちの姿を表現していた。
- 人物の顔だけでなく、手足や体、服の模様も描けるようになった。
- 地面（基底線）を描き、空間を意識した絵になってきた。
- 好きな色を選び、塗り絵を枠からはみ出さないように塗っていた。
- 描いた絵にストーリー性を持たせ、説明してくれた。
Q2. 制作活動（工夫・構成）は？
- 拾ったドングリや落ち葉を使って、ケーキや顔を作っていた。
- ハサミで切った紙を組み合わせて、形を作っていた。
- 糊の量を調整しながら、きれいに貼ろうとしていた。
- 廃材（箱やカップ）を組み合わせて、立体物を作っていた。
- 完成した作品を友だちと見せ合い、認め合っていた。
Q3. 音楽・リズム表現の豊かさは？
- 曲の雰囲気に合わせて、激しく動いたり静かに動いたりしていた。
- 友だちと手を繋ぎ、円になって回るダンスを楽しんでいた。
- 楽器（タンバリン、鈴）を使って、合奏のようなことをしていた。
- 歌詞の意味を理解し、感情を込めて歌っていた。
- 運動会の曲が流れると、自然と体が動き出していた。
Q4. ごっこ遊びの世界観と展開は？
- 遠足ごっこで、リュックを背負ってお弁当を食べる真似をしていた。
- お店屋さんごっこで、「いらっしゃいませ」とやり取りを楽しんでいた。
- ヒーローになりきって、かっこいいポーズやセリフを決めていた。
- 病院ごっこで、聴診器や注射器を使って診察していた。
- 友だちとイメージを共有し、遊びを長時間続けていた。
Q5. 感動や発見の表現は？
- 夕焼けを見て、「空が赤いね」「きれいだね」と感動していた。
- 虫の鳴き声を聞いて、「秋の声だね」と言っていた。
- きれいな落ち葉を見つけ、「見て！」と嬉しそうに見せてくれた。
- 友だちの作品を見て、「すごいね」「上手だね」と褒めていた。
- できた喜びを全身で表現し、自信に満ちた顔をしていた。
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