4歳児クラス(年中)の11月は、クラスの仲間意識が深まり、遊びが充実する時期です。 友だちとイメージを共有して遊ぶ楽しさを味わったり、秋の自然物を使って工夫して制作したりと、じっくりと活動に取り組む姿が見られます。また、寒暖差に対応した健康管理も大切なテーマです。
11月の特徴と観察ポイント
クラスにとってどんな時期?
大きな行事を乗り越えた自信から、クラス全体が落ち着き、まとまりが出てきます。友だち同士の結びつきが強くなり、気の合う仲間と長時間遊び込む姿が見られます。トラブルが起きても、保育者が見守る中で自分たちで解決しようとする場面が増えます。
子どもにとってどんな時期?
言葉の力が伸び、相手の話を聞いたり、自分の思いを筋道立てて話したりできるようになります。手先がさらに器用になり、ハサミや糊を使った細かい制作や、箸の正しい持ち方に挑戦する意欲が高まります。秋の深まりと共に、自然物(落ち葉、木の実)への関心も深まります。
11月に特に観たい発達テーマ
- 協同遊びの深化(役割分担、ルールの共有、話し合い)
- 言葉による表現と理解(理由を話す、相手の気持ちを考える)
- 手指の巧緻性と道具(箸、ハサミ、自然物の活用)
- 健康と生活の自立(うがい、衣服の調節、整理整頓)
🌿 養護(生活・情緒)
🩷 生命の保持(食事・睡眠・排泄・健康・着脱)
Q1. 寒暖差に応じた衣服の調節(自立)は?
- 登園後、気温に合わせて長袖か半袖かを選んで着替えていた。
- 活動して体が温まると、「暑い」と言って上着を脱いでいた。
- 寒さを感じると、自分からベストやトレーナーを着ていた。
- 脱いだ服をきれいに畳み、崩れないようにロッカーにしまっていた。
- 肌着がはみ出ていることに気づき、自分で直していた。
Q2. 健康管理(手洗い・うがい・鼻かみ)は?
- 外から帰ると、自ら進んで「ガラガラうがい」をしていた。
- 石鹸を泡立て、指の間や手首まで丁寧に洗っていた。
- 鼻水が出ると自分でかみ、ゴミ箱に捨てて手を洗っていた。
- 咳エチケット(手や腕で口を覆う)が習慣づいていた。
- 泥遊びの後、爪の間に入った泥もブラシで洗っていた。
Q3. 食事のマナーと箸の習熟度は?
- 箸を正しく持ち、小さな食材もつまんで食べていた。
- 茶碗を持って食べ、姿勢を正そうと意識していた。
- 口に物が入っている時は喋らず、飲み込んでから話していた。
- 苦手な野菜も、「風邪ひかないように」と頑張って食べていた。
- 食後、食器を種類ごとにきれいに重ねて片付けていた。
Q4. 排泄(トイレ)の自立と清潔習慣は?
- 尿意を感じて自分で行き、排泄後は水を流していた。
- トイレットペーパーを適切な長さに切り、きれいに拭いていた。
- 排泄後の手洗いを丁寧に行い、ハンカチで拭いていた。
- ズボンやシャツの乱れを、鏡を見て直していた。
- トイレのスリッパが乱れていると、手で揃えていた。
Q5. 睡眠(午睡)の質と目覚めは?
- 戸外でたくさん遊んだ日は、布団に入るとすぐに眠っていた。
- なかなか寝付けない時も、静かに横になって休息をとっていた。
- 自分のパジャマに着替え、脱いだ服をきれいに畳んでいた。
- 目覚めが良く、自分で布団を畳もうとしていた。
- 咳が出る時は横向きになるなど、自分で体勢を調整していた。
💚 情緒の安定(安心感・自己発揮)
Q1. 友だち関係での安心感と自信は?
- 仲良しの友だちと一緒にいることで、安心して活動に参加していた。
- 困っている友だちに「どうしたの?」と声をかけ、助けようとしていた。
- 集団ゲームで勝って喜び、負けても「次は頑張る」と言っていた。
- 自分の得意なこと(縄跳び、制作など)を友だちに見せていた。
- 好きな友だちと同じグループになり、嬉しそうに活動していた。
Q2. 自分の気持ち(葛藤)を言葉で伝えられますか?
- 玩具を取られて怒ったが、手を出さずに「返して」と言葉で伝えた。
- 自分の思い通りにならず泣いたが、理由を聞くと話し始めた。
- 「まだ遊びたい」と主張したが、時計を見て切り替えることができた。
- 友だちと意見が合わない時、「じゃあ、こうしよう」と提案していた。
- 悔しい気持ちを友だちに聞いてもらい、立ち直っていた。
Q3. 保育者との信頼関係(拠点)は?
- 困った時はすぐに保育者に相談し、アドバイスを求めていた。
- 楽しい出来事を、「先生、聞いて!」と報告に来ていた。
- 新しいことに挑戦する時、保育者に見守りを求めていた。
- 叱られた後も、素直に謝って関係を修復していた。
- 友だちとの秘密を、こっそり保育者に教えてくれた。
Q4. 遊びへの集中力と持続性は?
- ごっこ遊びの設定を友だちと話し合い、数日間にわたって続けていた。
- 制作活動で、最後まで丁寧に色を塗ったり貼ったりしていた。
- ブロックで複雑な形を作り、壊れないように大事にしていた。
- 図鑑を見て、興味のあるページをじっくりと眺めていた。
- 遊びの途中で片付けの時間になっても、続きをやりたがっていた(保存を求めた)。
Q5. 他者への共感と思いやりは?
- 泣いている友だちの背中をさすり、慰めようとしていた。
- 転んだ友だちに「大丈夫?」と声をかけ、助け起こしていた。
- 玩具を「どうぞ」と譲ったり、交代したりしていた。
- 友だちが褒められていると、一緒になって喜んでいた。
- 小さい子(3歳児以下)に対して、優しく接していた。
🌸 五領域(遊びと活動)
🩵 健康(身体機能・運動・安全)
Q1. 走る・跳ぶなどの運動能力の向上は?
- 腕を大きく振って力強く走り、カーブもスムーズに曲がれていた。
- 縄跳び(前跳び)に挑戦し、数回連続で跳べるようになった。
- 片足立ちで数秒間バランスを取り、ケンケンで進んでいた。
- 高いところから飛び降り、膝を使って柔らかく着地していた。
- スキップやギャロップのリズムで、軽やかに移動していた。
Q2. 遊具や用具を使った運動は?
- 鉄棒で「前回り」や「逆上がり」に挑戦し、繰り返し練習していた。
- ジャングルジムの頂上まで登り、遠くの景色を楽しんでいた。
- 平均台の上を、落ちないようにバランスを取って渡っていた。
- ボールを投げる時、相手の取りやすい位置を狙って投げていた。
- 竹馬やポックリに挑戦し、バランスを取って歩こうとしていた。
Q3. 手指の巧緻性(道具の操作)は?
- ハサミで連続切りをし、線に沿って曲線や複雑な形を切っていた。
- 粘土を細かくちぎり、指先で丸めて小さな実を作っていた。
- 糊を端まで丁寧に塗り、剥がれないように貼っていた。
- 折り紙を角と角を合わせて、丁寧に折ろうとしていた。
- 箸を使って、豆などの小さな物を掴む遊びを楽しんでいた。
Q4. 集団遊びでのルール理解(運動)は?
- 「しっぽ取り」で、自分のしっぽを守りながら相手を追いかけていた。
- 「だるまさんが転んだ」で、鬼の動きに合わせて止まっていた。
- ドッジボール(転がし)のルールを理解し、ボールから逃げていた。
- リレー遊びで、バトンを次の友だちに渡す流れを理解していた。
- 鬼ごっこでタッチされたら鬼になることを理解し、交代していた。
Q5. 危険回避や安全への意識は?
- 友だちとぶつからないように、前を見て走っていた。
- 「危ない」と声をかけると、すぐに動作を止めていた。
- 遊具の順番を守り、前の人が終わるのを待っていた。
- 散歩中、白線の内側を歩く意識を持っていた。
- 転んだ時、すぐに手をついて顔を守っていた。
🧡 人間関係(友だち・協同)
Q1. 友だちとの協同的な遊びは?
- 「一緒にやろう」と声をかけ、遊びに誘っていた。
- 砂場で協力して大きな山を作り、トンネルを繋げていた。
- ブロックで一つの街を作り、イメージを共有して遊んでいた。
- ごっこ遊びで役割(店員と客など)を決め、やり取りを楽しんでいた。
- チーム対抗のゲームで、作戦を立てていた。
Q2. トラブルの解決と交渉力は?
- 「貸して」「あとでね」「いいよ」のやり取りができていた。
- 順番抜かしをした子に、「並んで」と注意していた。
- 言い合いになったが、自分たちで解決策を見つけていた。
- 「じゃあ、ジャンケンで決めよう」と提案していた。
- 謝られたら「いいよ」と許すことができた。
Q3. ごっこ遊びの展開と役割は?
- 家族ごっこで、お母さん役やお父さん役になりきって会話していた。
- お店屋さんごっこで、「いらっしゃいませ」「100円です」と言っていた。
- 病院ごっこで、聴診器を当てて「お薬出しますね」と言っていた。
- 電車ごっこで、運転手と乗客に分かれて遊んでいた。
- 友だちの提案を受け入れ、遊びのストーリーを発展させていた。
Q4. 集団での役割意識は?
- 給食当番やお片付け当番を、張り切って行っていた。
- みんなの前で名前を呼ばれると、大きな声で返事をしていた。
- グループごとの活動で、友だちと一緒に行動していた。
- 先生の話を聞く時、静かに注目し、お喋りしている子に教えていた。
- クラスのルールを守り、みんなの手本になろうとしていた。
Q5. 競争心と仲間意識は?
- かけっこで「一番になりたい」と競争心を見せていた。
- 負けて悔しがり、「次は勝つ」と意欲を燃やしていた。
- チームの友だちを「頑張れー!」と応援していた。
- みんなで一つのことをやり遂げた時、喜びを分かち合っていた。
- 友だちの頑張りを認め、「すごいね」と言っていた。
💛 環境(自然・物・数量)
Q1. 秋の自然(落ち葉・木の実)への興味は?
- 落ち葉を集めて、「赤」「黄色」と色の違いを楽しんでいた。
- ドングリや松ぼっくりを拾い、種類や大きさの違いを比べていた。
- 落ち葉のシャワーをしたり、お風呂にしたりして遊んでいた。
- 木の葉の色が変わっていく様子に気づき、話していた。
- ススキや猫じゃらしを見つけ、振って遊んでいた。
Q2. 数量・形・色への関心は?
- ドングリを並べて、「1、2、3…」と数えていた。
- 「赤い葉っぱ」「茶色の葉っぱ」と、色の違いで分類していた。
- 丸、三角、四角の形を組み合わせて、家や車を作っていた。
- 「こっちの方が多い」「長い」など、比較する言葉を使っていた。
- 時計の数字に興味を持ち、「3になったらおやつ」と分かっていた。
Q3. 道具や素材の工夫は?
- 空き箱やカップを使い、見立て遊びを楽しんでいた。
- 自然物(枝、実)をごっこ遊びの食材や飾りに見立てていた。
- 廃材を使って、自分なりの楽器や乗り物を作っていた。
- 磁石がつく場所を探して、園内を探索していた。
- 虫眼鏡を使って、小さな虫や葉っぱの裏を観察していた。
Q4. 探索活動(発見・不思議)の様子は?
- 影踏み遊びをして、自分の影が伸びたり縮んだりするのを楽しんでいた。
- アリの巣を見つけ、餌を運ぶ様子をじっと観察していた。
- 雲の動きを見て、「何かの形に見える」と言っていた。
- 風で木が揺れるのを見て、風の強さを感じていた。
- 土の中にいる幼虫を見つけ、何の虫になるか想像していた。
Q5. 整理整頓や物の管理は?
- 玩具の片付け場所を写真で確認し、正しく戻していた。
- 自分のロッカーの中を整理し、持ち物を大切に扱っていた。
- 脱いだ靴を揃えて靴箱に入れていた。
- 落ちているゴミを拾い、分別して捨てていた。
- 友だちが片付けていないと、手伝ってあげていた。
💚 言葉(理解・発語・会話)
Q1. 会話(説明・報告)の力は?
- 「昨日、〇〇へ行って、△△したよ」と、時系列で話していた。
- 「お腹が痛いから、トイレに行く」と、理由を説明できていた。
- トラブルの状況を、「〇〇ちゃんが、こうして…」と順序立てて話した。
- 自分の発見や感動を、具体的な言葉で伝えようとしていた。
- 「~したい」と、自分の希望を明確に伝えていた。
Q2. 言葉の理解力(指示・物語)は?
- 「帽子を被って、水筒を持ってきて」という二つの指示を理解していた。
- 紙芝居の内容を理解し、感想を言葉で言っていた。
- クイズ遊びで、ヒントを聞いて答えを考えていた。
- 約束事やルールを言葉で聞き、守ろうとしていた。
- 「どうして?」という質問に、自分なりの考えを答えていた。
Q3. 友だちとの言葉によるやり取りは?
- 「入れて」「いいよ」などの遊びの言葉を使っていた。
- ごっこ遊びの中で、役になりきって会話を続けていた。
- 「それはダメだよ」と、友だちに優しく注意していた。
- 名前を呼び合い、楽しそうにお喋りしていた。
- 秘密話をして、友だちとの特別感を共有していた。
Q4. 語彙(ごい)の豊かさと表現は?
- 「ふわふわ」「チクチク」などのオノマトペを使っていた。
- 色や形、大きさなどを表す形容詞を正しく使っていた。
- 虫や花の名前をたくさん知っていて、教えてくれた。
- 「ありがとうございます」「ごめんなさい」などの挨拶が適切に使えた。
- 自分の名前(フルネーム)や年齢を、はっきりと言えていた。
Q5. 歌や言葉遊びへの興味は?
- 季節の歌(どんぐりころころ等)を、歌詞を覚えて歌っていた。
- しりとり遊びのルールを理解し、少しずつ繋げられるようになった。
- 絵本のフレーズを真似して、言葉のリズムを楽しんでいた。
- 自分の名前の文字(ひらがな)に興味を持っていた。
- 面白い響きの言葉を見つけ、繰り返し言って笑っていた。
💜 表現(感性・創造)
Q1. 描画(イメージの表現)の充実は?
- 経験したこと(運動会、遠足、芋掘り)を、画用紙いっぱいに描いていた。
- 頭足人(顔から手足)を描き、家族や友だちを表現していた。
- 好きな色を選び、塗り絵を枠からはみ出さないように塗っていた。
- 描いた絵にストーリー性を持たせ、説明してくれた。
- ぐるぐると丸を描き、食べ物に見立てていた。
Q2. 制作活動(工夫・構成)は?
- ハサミで切った紙を糊で貼り、形を作っていた。
- 折り紙を折って、ドングリやキノコを作っていた。
- 廃材(箱やカップ)を組み合わせて、立体物を作っていた。
- 自然物(落ち葉、木の実)を制作に取り入れ、リースなどを作っていた。
- 完成した作品を友だちと見せ合い、認め合っていた。
Q3. 音楽・リズム表現の豊かさは?
- 曲の雰囲気に合わせて、速く動いたりゆっくり動いたりしていた。
- 友だちと手を繋ぎ、円になって回るダンスを楽しんでいた。
- 楽器(鈴、タンバリン)を使って、合奏のようなことをしていた。
- 歌詞の意味を理解し、感情を込めて歌っていた。
- 即興で歌を作り、楽しそうに口ずさんでいた。
Q4. ごっこ遊びの世界観と展開は?
- お店屋さんごっこで、「いらっしゃいませ」とやり取りを楽しんでいた。
- ヒーローになりきって、かっこいいポーズやセリフを決めていた。
- 病院ごっこで、聴診器や注射器を使って診察していた。
- 遠足ごっこで、リュックを背負って歩き回っていた。
- 友だちとイメージを共有し、遊びを長時間続けていた。
Q5. 感動や発見の表現は?
- 夕焼けを見て、「空が赤いね」「きれいだね」と感動していた。
- 虫の鳴き声を聞いて、「何の音?」と耳を澄ませていた。
- きれいな落ち葉を見つけ、「見て!」と嬉しそうに見せてくれた。
- 友だちの作品を見て、「すごいね」「上手だね」と褒めていた。
- できた喜びを全身で表現し、自信に満ちた顔をしていた。



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