5歳児クラス(年長)の8月は、プール遊びや夏ならではのダイナミックな活動を通して、心身ともに大きくたくましくなる時期です。 「泳げるようになりたい」「みんなで勝ちたい」といった高い目標を持ち、それに向かって努力したり工夫したりする姿が見られます。
もくじ
8月の特徴と観察ポイント
クラスにとってどんな時期?
プール遊びでは、自分たちで準備運動を進めたり、チーム対抗で競い合ったりと、集団としての規律と団結力が高まります。夏祭りや共同制作など、クラス全員で一つの目標に向かう活動を通して、役割分担や話し合いが自然に行われるようになります。
子どもにとってどんな時期?
「伏し浮きができた」「逆上がりができた」など、具体的な技能の習得が自信につながります。知的好奇心が旺盛になり、夏の自然現象(夕立、影、虫の生態)に対して「なぜ?」「どうして?」と科学的な視点を持ち始めます。自分の体調を言葉で伝え、休息をとるなど、自己管理能力も育ちます。
8月に特に観たい発達テーマ
- 目標に向けた挑戦と達成(水泳、運動技能の習得)
- 集団の中での協同と競争(チームワーク、ルールの共有)
- 科学的な探究心(実験、観察、図鑑での調査)
- 生活の自己管理(時間管理、健康管理、整理整頓)
🌿 養護(生活・情緒)
🩷 生命の保持(食事・睡眠・排泄・健康・着脱)
Q1. 濡れた衣服(水着)の始末と整理整頓は?
- 脱いだ水着をきれいに畳み、プールバッグに整頓して入れていた。
- 裏返しになった服を素早く表に返し、身なりを整えていた。
- 忘れ物がないか自分で確認し、ロッカーを整理していた。
- 友だちと着替えの速さを競いながらも、丁寧に扱っていた。
- 濡れたタオルを絞り、水気を切って片付けていた。
Q2. 夏の盛りの食欲と食事マナーは?
- 暑さで食欲が落ちることなく、時間内に完食していた。
- 姿勢を正し、食器を持ってこぼさないように食べていた。
- 「三角食べ」が定着し、バランスよく食べ進めていた。
- 箸使いが上達し、細かい食材も器用に運んでいた。
- 自分たちで配膳を行い、量を調節しながら盛り付けていた。
Q3. 休息(午睡)の自己管理と切り替えは?
- 活動量が増えて疲れを感じ、布団に入るとすぐに休息していた。
- なかなか眠れない時も、体を休める大切さを理解して静かにしていた。
- 寝汗をかいて目覚めた際、着替えや水分補給を自分で行っていた。
- 「疲れたから少し休む」と、遊びの合間に休憩をとっていた。
- 目覚めが良く、自分で布団を畳んで次の活動の準備をしていた。
Q4. 排泄(トイレ)の習慣と見通しは?
- 活動の合間やプール前に、自分からトイレに行っていた。
- 和式トイレの使い方をマスターし、失敗なく排泄できていた。
- トイレットペーパーの芯を替えたり、スリッパを揃えたりしていた。
- 次の活動を予測し、早めにトイレを済ませていた。
- 排泄後の手洗いを丁寧に行い、清潔を保っていた。
Q5. 健康管理(水分・不調の訴え)への意識は?
- 喉の渇きを自覚し、活動の合間にこまめに水分補給をしていた。
- 「頭が痛い」「気分が悪い」など、体調の変化を具体的に伝えていた。
- 汗をかいたらタオルで拭き、清潔を保とうとしていた。
- 鼻水が出ると自分でかみ、ゴミ箱に捨てて手を洗っていた。
- 爪が伸びていることに気づき、切る必要性を理解していた。
💚 情緒の安定(安心感・自己発揮)
Q1. 挑戦する意欲と達成感は?
- 「顔を5秒つける」と目標を決め、何度も練習していた。
- できた喜びを「先生、見て!」と報告し、自信に満ちた顔をしていた。
- 失敗しても諦めず、「もう一回やる」と粘り強く取り組んでいた。
- 友だちの成功を自分のことのように喜び、称え合っていた。
- 苦手なことにも向き合い、少しずつ克服しようとしていた。
Q2. 葛藤のコントロールと解決力は?
- チーム分けで揉めたが、話し合いで解決策を見つけていた。
- 負けて悔し涙を流したが、「次は勝つぞ」と気持ちを切り替えた。
- 自分の意見が通らなくても、グループの決定に従うことができた。
- 興奮しすぎた時に、深呼吸をして落ち着こうとしていた。
- 友だちと喧嘩をしたが、自分から謝って仲直りした。
Q3. 友だち関係での安心感と絆は?
- グループの仲間と協力し、信頼関係を深めていた。
- 困っている友だちに気づき、自然に手を差し伸べていた。
- 自分の弱みや悩みを、友だちに打ち明けていた。
- 友だちと一緒にいることで、安心して新しいことに挑戦していた。
- 秘密を共有し、仲間意識を高めていた。
Q4. 保育者との関係(自立的な関わり)は?
- 自分たちで解決できない時だけ、保育者に相談に来ていた。
- 活動の提案や意見を、保育者に堂々と伝えていた。
- 認められる喜びを感じ、さらなる意欲につなげていた。
- 甘えたい時はスキンシップを求め、心のバランスをとっていた。
- 保育者を信頼し、対等に近い関係で会話を楽しんでいた。
Q5. 見通しを持った行動と安定感は?
- 時計を見て行動し、次の活動への準備をスムーズに行っていた。
- 予定の変更があっても、理由を聞いて納得し対応していた。
- 遊びに夢中になりながらも、時間の区切りをつけていた。
- 落ち着いて話を聞き、状況を判断して動いていた。
- 自分の役割(当番など)を理解し、責任を持って果たしていた。
🌸 五領域(遊びと活動)
🩵 健康(身体機能・運動・安全)
Q1. 水中での身体能力(泳ぎ・浮く)は?
- 伏し浮きで脱力し、体が浮く感覚を掴んでいた。
- バタ足を使い、ビート板なしで少し進むことができた。
- 水中に潜って目を開け、底にあるリングを拾っていた。
- けのびの姿勢を意識し、体を一直線に伸ばしていた。
- 息継ぎのタイミングを計りながら、泳ごうとしていた。
Q2. 戸外での運動能力(鉄棒・縄跳び)は?
- 逆上がりに挑戦し、足の振り上げや腕の引きつけを意識していた。
- 走り縄跳びで、リズムよく園庭を回っていた。
- ドッジボールで、ボールを素早く避けたりキャッチしたりしていた。
- 登り棒を足を使って登り、頂上まで到達していた。
- リレーで全力疾走し、スムーズなバトンパスを行っていた。
Q3. 手指の巧緻性(道具の熟練)は?
- ハサミで複雑な曲線を切り、制作に活用していた。
- 雑巾を固く絞り、掃除に役立てていた。
- 紐結び(蝶結び)ができ、鉢巻やエプロンを自分で結んでいた。
- 細かいビーズを糸に通し、アクセサリーを作っていた。
- 鉛筆を正しく持ち、筆圧を調整して文字を書いていた。
Q4. プールの安全ルールと規律は?
- バディ(二人組)システムを理解し、相手の安全を確認し合っていた。
- 準備体操を号令に合わせて行い、体をほぐしていた。
- 「プールサイドは歩く」というルールを、友だち同士で注意し合っていた。
- 笛の合図ですぐにプールサイドに上がり、点呼に応じていた。
- 危険な飛び込みなどをせず、安全に遊んでいた。
Q5. 自分の体の状態(調整力)への理解は?
- 走るスピードを状況に合わせてコントロールしていた。
- 高いところから飛び降りる際、着地の衝撃を膝で吸収していた。
- 友だちとの距離感を掴み、ぶつからないように動いていた。
- 音楽に合わせて、体の各部位を別々に動かしていた。
- バランスを取りながら、平均台や一本橋を渡っていた。
🧡 人間関係(友だち・協同)
Q1. 協同的な活動(チームワーク)は?
- チーム対抗のゲームで、作戦を立てて協力していた。
- グループで一つの大きな制作物(神輿など)を作っていた。
- 役割分担をして、お店屋さんごっこの準備を進めていた。
- 友だちの意見を聞き入れ、より良い方法を探していた。
- 互いに励まし合いながら、目標に向かって努力していた。
Q2. リーダーシップとフォロワーシップは?
- 遊びの中心になり、みんなに指示を出したりまとめたりしていた。
- リーダーの提案に協力し、自分の役割を果たしていた。
- 意見が割れた時、仲裁役を買って出る子がいた。
- 困っている友だちに気づき、助け舟を出していた。
- 当番活動で、みんなの前で自信を持って号令をかけていた。
Q3. 競争心と仲間意識は?
- リレーや水泳大会で、「勝ちたい」という強い気持ちを見せていた。
- 負けて悔しがり、「次は絶対勝つ」と闘志を燃やしていた。
- 勝ったチームを称え、拍手を送ることができた。
- チームの仲間を全力で応援し、一体感を感じていた。
- 「みんなで頑張ったから楽しかった」と感想を言っていた。
Q4. 年下の子や異年齢児への関わりは?
- 泣いている年少児を慰め、部屋まで連れて行ってあげていた。
- 着替えや靴の脱ぎ履きを手伝い、優しく教えていた。
- 一緒に遊ぶ時、手加減したりルールを簡単にしてあげたりしていた。
- 異年齢交流で、お兄さん・お姉さんらしく振る舞っていた。
- 「危ないよ」と優しく注意し、守ってあげようとしていた。
Q5. 公共心とマナーの意識は?
- みんなで使う玩具や道具を大切にし、整理整頓していた。
- 廊下や階段での歩き方(右側通行)を守っていた。
- 挨拶を自分から進んで行い、場に応じた言葉遣いをしていた。
- 順番待ちの列を守り、割り込みなどを注意していた。
- 落ちているゴミを拾い、環境美化に努めていた。
💛 環境(自然・物・数量)
Q1. 夏の自然(セミ・植物)への科学的な探究心は?
- セミの羽化に立ち会い、命の尊さや不思議さを感じていた。
- 虫の種類や特徴を図鑑で調べ、友だちと知識を共有していた。
- アサガオの色水実験で、酸・アルカリ(石鹸水等)による変色を楽しんでいた。
- 夏野菜の収穫を通して、植物の生長過程を理解していた。
- 雲の動きや形を見て、天気の変化を予測していた。
Q2. 数量・図形・時間への関心は?
- 時計を見て、「あと10分で片付けだね」と時間を管理していた。
- 点数を計算したり、順位をつけたりして遊んでいた。
- カレンダーを見て、行事までの日数を数えていた。
- 図形の展開図に興味を持ち、箱を組み立てていた。
- 物の長さを測ったり、重さを比べたりしていた。
Q3. 水の性質や物理的な現象への興味は?
- 船を作り、どうすれば倒れずに浮くか工夫していた。
- ホースを使って、水が流れる仕組み(高低差)を試していた。
- 水の量によって、叩いた時の音が変わることに気づき、音階を作っていた。
- 氷が溶ける時間を、日向と日陰で比べて実験していた。
- 鏡の反射を利用して、光を壁に映して遊んでいた。
Q4. 道具の操作と工夫は?
- 廃材を使って、水鉄砲や動くおもちゃを発明していた。
- 磁石の性質(S極・N極)を利用して、魚釣りゲームを作っていた。
- 虫眼鏡を使って、太陽の光を集める実験をしていた。
- 楽器の構造に興味を持ち、音の出る仕組みを考えていた。
- 壊れた玩具を、テープなどで修理しようとしていた。
Q5. 文字や記号への関心は?
- 自分の名前だけでなく、友だちへの手紙もひらがなで書いていた。
- 絵本をスラスラと読み、友だちに読み聞かせをしていた。
- 街中の看板やポスターの漢字に興味を持ち、読み方を聞いていた。
- 楽譜の音符に興味を持ち、読もうとしていた。
- 分からない字があると、五十音表を見て調べていた。
💚 言葉(理解・発語・会話)
Q1. 論理的な会話(理由・説明・交渉)は?
- 「〇〇だから、こうしたいと思う」と、筋道立てて意見を言っていた。
- トラブルの経緯を、第三者に分かるように説明していた。
- 遊びのルールを提案し、みんなが納得するように説明していた。
- 「もし雨が降ったら、こうしよう」と、仮定の話をしていた。
- 相手の意見を聞き、「なるほど」と理解を示していた。
Q2. グループでの話し合い(討議)は?
- 司会役になり、友だちの発言を促していた。
- 挙手をして発言し、人の話を遮らずに聞いていた。
- 少数意見にも耳を傾け、取り入れようとしていた。
- 結論が出るまで、粘り強く話し合っていた。
- 決まったことを守り、協力して実行していた。
Q3. 語彙の豊かさと表現力は?
- 「悔しい」「誇らしい」など、複雑な感情を表す言葉を使っていた。
- オノマトペや比喩を使って、生き生きと表現していた。
- ニュースやテレビで覚えた難しい言葉を使ってみていた。
- 敬語(丁寧語)を意識して、目上の人と話していた。
- しりとりで、「ん」がつかないように言葉を選んでいた。
Q4. 物語の創作と共有は?
- 続きのストーリーを想像し、友だちと語り合っていた。
- 経験したことを日記のように話し、聞かせてくれた。
- 登場人物になりきって、感情を込めてセリフを言っていた。
- 素話を聞いて、頭の中でイメージを映像化していた。
- 自分たちで作ったお話を、劇にして演じていた。
Q5. 文字の読み書きへの意欲は?
- 友だちにお手紙を書き、気持ちを伝えていた。
- 自分の持ち物に、名前を書いていた。
- 絵本のタイトルを読み、自分で選んでいた。
- 平仮名の書き順を気にしながら書いていた。
- カタカナや数字にも興味を持ち、書こうとしていた。
💜 表現(感性・創造)
Q1. 描画(観察画・構成画)の表現力は?
- プールの様子を、人物の動きや水のしぶきまで細かく描いていた。
- 観察したセミや夏野菜を、形や色を忠実に再現しようとしていた。
- 遠近法や重なりを意識して、空間を描いていた。
- 自分の感じたことや想像したことを、自由に表現していた。
- 共同画で、友だちと全体のバランスを考えて描いていた。
Q2. 制作活動(素材の活用・工夫)は?
- 様々な廃材を組み合わせ、動く仕組みのある作品を作っていた。
- 提灯や飾り作りで、切り紙や編み込みなどの高度な技法を使っていた。
- 色の配色を考え、美しく仕上げようとしていた。
- 必要な材料を自分で選び、工夫して使っていた。
- 壊れにくいように、接着方法(糊、テープ、ボンド)を考えていた。
Q3. 音楽・リズム表現の豊かさは?
- 曲のイメージに合わせて、即興でダンスを考えていた。
- 楽器(木琴、太鼓など)の音階やリズムに関心を持っていた。
- 輪唱や合奏に挑戦し、友だちと音を合わせる楽しさを感じていた。
- 歌詞の意味を理解し、感情を込めて歌っていた。
- 手拍子や足踏みで、複雑なリズムを刻んでいた。
Q4. 劇遊びやごっこ遊びの演出は?
- 衣装や小道具を自分たちで作り、役になりきっていた。
- お化け屋敷ごっこで、音響や照明(暗幕)などの演出を工夫していた。
- セリフだけでなく、表情や動きでも表現していた。
- 客席を作り、他のクラスの友だちを招待して見せていた。
- ストーリーに起承転結を持たせ、展開を楽しんでいた。
Q5. 感動や美しさへの感性は?
- 夕立の後の虹や、夕焼けの美しさに感動していた。
- 虫の羽化の瞬間に立ち会い、命の尊さを感じていた。
- 友だちの作品の素晴らしい点を具体的に褒めていた。
- 音楽を聴いて、「悲しい気持ちになる」「元気になる」と感じていた。
- 自然の中の不思議さ(影、反射など)に驚き、興味を持っていた。



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